長崎市在住のライターで劇作家の小川内(おがわうち)清孝さんが昨年12月12日、自身が脚本を手掛けた市民ミュージカルの舞台裏を描いた書籍「赤い花の記憶 天主堂物語 舞台裏」(長崎文献社刊)を刊行した。(長崎経済新聞)

 小川内さんは1958(昭和33)年、長崎市生まれ。大学卒業後、東京で紳士服専門店に就職。店長や本社人事部で社員教育などを担当した。しかし、30代半ばで業務縮小に伴う希望退職勧告に応じて長崎に帰郷する。店長時代の経験談を原稿用紙60枚程度にまとめ、ファッション雑誌の編集部に送ったところ、たまたま原稿を読んだ編集者から「とても面白い。連載を書かないか」と誘われてライターデビュー。2004年9月、突然「小脳梗塞」を発症した小川内さんは、幸いにも命に別条はなかったが激しい体調不良が続いてライターを継続できるか不安を覚えたため、賞金を目当てにラジオドラマの原作募集に応募したところ当選する。当時人気があった「モーニング娘。」演じるラジオドラマは、放送後にCD化され全国発売された。

 2005年6月、たまたま新聞で目にした「求む、ミュージカル原作」に応募したことをきっかけに、小川内さんは大村市体育文化センター「シーハットおおむら」(大村市幸町)の文化活動に深く関わるようになる。当時も体調不良は続いていたが、やがて劇作家として活躍を始める。主な作品はミュージカル「OMURAグラフィティー」「赤い花の記憶 天主堂物語」、平和朗読劇「としさんのあやの食堂」「今は春べと咲くやこの花」など。

 同書のタイトルでもある市民ミュージカル「赤い花の記憶 天主堂物語」は、シーハットおおむらで2014年8月9日に初演された。同年12月には歴史的な関わりが深い南島原市と熊本県天草市で再演され、さらに初演を観劇した長崎自動車の嶋崎真英社長が長崎公演を実現するための実行委員会を結成。2015年8月に長崎ブリックホールで公演され、翌年7月にも2日間にわたり同所で再演された。今でも再演を望む声が多いという。

 同書は第1部「脚本家への序走」、第2部「感動の舞台へ」で構成されており、小川内さんが小脳梗塞で倒れてから脚本家デビューするまでのエピソードや、「赤い花の記憶 天主堂物語」誕生秘話、舞台裏製作メモ、夢見ていた長崎ブリックホールでの公演実現とミュージカル仲間との絆などを「著者が語りかけるように」紹介する。

 「キリスト教関連遺産が世界遺産に登録できたら『赤い花の記憶』が再演されることを願って書いた」と小川内さん。「素晴らしい作品の舞台裏も、ぜひ多くの人に知ってもらいたい」とも。

 四六判サイズ、257ページ。価格は1,728円。