自由化が進んだ電力市場は、新設電力事業者数が減少に転じた。一方、小売りも様子見の人が多く、大きな市場の変化は起きていないようだ。

 再生可能エネルギーで発電した電気を、電力会社が一定価格で買い取る「再生可能エネルギーの固定価格買取制度」がスタートしたのが2012年7月。これにより多くの電力事業者が誕生したが、最近ではそのペースが鈍化している。

 東京商工リサーチが8月30日に発表した「2015年(1月〜12月)電力事業者の新設法人調査」によると、2015年に全国で新しく設立された電力事業者の数は、前年比33.4%減の2,189社だった。調査を始めた2009年以降で、電力事業者の新設数が前年を下回ったのは初めて。

 利用エネルギー別に分類(重複あり)すると、「太陽光・ソーラー」が1,461社で、前年の2,545社から大きく減少した。このほかでは、「風力」が前年比37社減の207社、「地熱」が同12社増の96社、「バイオ」が同29社増の111社、「ガス」が同10社増の26社だった。

 再生可能エネルギーの固定価格買取制度で太陽光の買取価格が段階的に引き下げられ、投資に見合う収益を上げにくい状況になっている。この影響で、「太陽光・ソーラー」の新設法人が大きく減少し、全体を押し下げた。また市場への参入企業の過剰感もあったと同社は分析している。

 一方、電力の小売り自由化も4月1日からスタートし、多くの事業者が参入した。しかし、電力会社を変更した人は一部にとどまっているようだ。

 凸版印刷株式会社は、運営する電子チラシサービス「Shufoo!」を利用する10代から60代の女性4万6,109名を対象に電気料金に関する意識調査を実施し、その結果を9月2日に発表した。調査期間は7月27日から31日。

 まず、電力自由化に関する認知度を調べたところ、97.2%が「内容を知っている」「聞いたことがある」と回答し、1月に実施した前回調査より12ポイント増加。電力自由化に関する認知度が大きく向上した。しかし、電力会社の変更の有無を聞くと、「変更した」は5.7%にとどまり、91.8%が「変更していない」と回答した。「わからない」は2.5%。また、今後の意向についても「しばらくは検討するつもりがない」が81.8%に達し、「現在検討している」(6.3%)、「年内には検討したい」(11.8%)、「すでに予定している」(0.3%)を大きく上回った。

 電力を取り巻く事業環境が大きく変化したものの、「再生可能エネルギーの固定価格買取制度」は一定期間が経過し、電力事業者の新設法人数は減少傾向にある。一方、小売り自由化による電力会社の変更は制度がスタートしたばかりで、利用者は様子見の状態になっているようだ。

サイトウ イサム[著]、加藤 秀行[著]