『リリーのすべて』(16)で第88回アカデミー賞助演女優賞に輝いたアリシアが、9年ぶりの『ボーン』シリーズ最新作『ジェイソン・ボーン』(10月7日公開)でヒロインを務めた。本作で初来日したアリシアにインタビュー。マット・デイモンとの共演秘話や、アリシアに多大な影響を与えた両親との絆についての話をうかがった。

アリシアが本作で演じたのは、マット演じる最強の暗殺者、ジェイソン・ボーンを追跡していくCIAのエージェント、ヘザー・リーだ。記憶を取り戻したボーンが、自身の家族を巡る過去に迫るなか、ヘザーはボーンとの駆け引きに挑む。アリシアは元々、本シリーズの大ファンだったので、『ジェイソン・ボーン』のオファーが来た時は歓喜したそうだ。

「14歳くらいの時、父が『ボーン・アイデンティティー』(02)を気に入って私に観せてくれたことがきっかけでシリーズを好きになったの。当時、いわゆるスパイ映画というものに関してはありきたりな固定概念しかもっていなかったけど、『ボーン・アイデンティティー』は全く新しいスパイ映画となっていてそれを払拭したわ。新しいアクションヒーローに共感できたし、彼は私たちが生活している世界に存在しているようなリアルなキャラクターだった」。

アリシアは、『007』シリーズと『ボーン』シリーズをこう比較する。「ボーンはマティーニも手にしないし、女性関係のやりとりもスパイ映画特有のものではなかった。また、自分が起こした行動の責任を自分で取ろうとするし、自分のアイデンティティを模索しているところが人間的に感じたわ。編集もドキュメンタリー映画っぽい感じで映像にはザラザラ感があり、アクションにも緊張感が感じられた。この映画以降、同じような作品が作られたけど、本シリーズほどは上手くいっていない気もするわ」。

来日イベントでは、父親と共に村上春樹の小説を何冊か読んでいて、来日を心待ちにしていたと語っていたアリシア。アカデミー賞の授賞式でも両親について「心から感謝したい。何でもできると信じさせてくれてありがとう」とスピーチしていたのが印象的だったが、やはり両親との絆は深いようだ。

「両親とはすごく仲がいいの。とても知的で本当に素晴らしい人たちよ。彼らは私に何かをするようにと強要することは一切ないけど、私がやりたいと思ったことはいつも応援してくれたの。だから私はすごく自信がもてたわ。大人になってからは残念ながら(両親が住むスウェーデンからは)距離があるのでなかなか会うことはできないけど、いまだに同じ本を読んで意見交換し合ったりするし、出演作の脚本も彼らに読んでもらったりして、いまでもつながりをもっているの」。

本作ではマット・デイモンと堂々渡り合ったアリシア。共演シーンは少ないが、現場では同日に撮影することも多く、オフショットでもかなりコミュニケーションをとることができたそうだ。「ラスベガスやワシントンDCでは何週間もご一緒できたの。マットはとにかく親切で地に足のついた人だし、仕事に対しても人に対しても熱い思いをもっているわ」。

共演して驚いたのは、マットのユーモアのセンスだった。「YouTubeでもアップされているけど、マットは本当にマシュー・マコノヒーのモノマネが得意なの。一晩中マシューの真似をしてくれた時もあったけど最高よ。本当に激似で、目を閉じればまるでそこにマコノヒーがいるみたいに感じたわ。また、ポーカーの腕も素晴らしくて、クラップス(ダイスを振ってやるゲーム)のやり方も教えてくれたりしたの」。

演じたヘザー・リーはかなりの野心家だが、アリシア自身は野心をもっているのだろうか?「そうね。良い意味での野心はあるかもしれない。ヘザーの野心は自分で望むものを手に入れるためなら誰かを傷つけたり何かを犠牲にすることもいとわないものだけど、私の野心は向上心に近いものだと思う。何かに対する熱い情熱は持つべきよね」。

アリシアは2016年、『ジェイソン・ボーン』の前に『リリーのすべて』、『エクス・マキナ』、『二ツ星の料理人』と3本の映画が日本でも公開され、人気急上昇中だ。さらに今後もブレイク必至となる『トゥームレイダー(原題)』が控えている。

「また再来日したいわ。『トゥームレイダー』でも日本に来たいから、今回一緒に来たスタッフに『次回来る時も1週間オフを取ってね』とお願いしているの。また父も日本が大好きだから絶対に来たいと思うのでいつか連れてきたいわ」。

日本ファンはいつでもウェルカム体制だが、まずは『ジェイソン・ボーン』での知的なアリシア・ヴィキャンデルをご覧いただきたい。【取材・文/山崎伸子】