女性作家には、男性作家にはない独特の感性や視点がある。これから紹介する女性作家は、女性らしい繊細な感性で描かれ、ストーリーにも引き込まれるものがある。多くの作品を執筆している彼女たちの作品から、特にオススメの作品を紹介する。

ジュエリーにまつわる心にしみる短編集

角田光代作『おまえじゃなきゃだめなんだ』はジュエリーにまつわる短編小説集。タイトルの「おまえ(あなた)じゃなきゃだめなんだ」というセリフは女性なら言われたい、もしくは言いたい究極のセリフに違いない。
角田光代は『八日目の蝉』や『対岸の彼女』などの代表作がある。また、数々の文学賞を受賞しており、文学賞の審査委員も務める実力派の女性作家だ。

代を重ねて読み継がれている傑作の絵本

佐野洋子の代表作「100万回生きたねこ」は子供から大人まで楽しめる傑作絵本だ。本作からは佐野洋子の非常に繊細な感性を感じさせる。
生きる意味や本当の幸せについて考えさせられる本作、一生に一冊の絵本しか読めないと言ったらこの本を選ぶ人は多いかもしれない。
彼女の自叙伝の「シズコさん」も併せて読み彼女の感性に触れてみるのもいいだろう。

直木賞作家が江戸時代の道を歩き巡る企画本

宮部みゆきは『模倣犯』や『理由』、『火車』などの人気作品を世に送り出してきた人気のミステリー&時代小説家だ。
『平成お徒歩日記』は彼女が江戸時代の歴史的な場所を歩いて訪問する企画本となっている。学者が解説をする本とくらべて、彼女の時代考証は非常にわかりやすい。読むと歴史をもっと身近なものに感じるはずだ。

江國香織の描く切なくて淡いラブストーリー

『ほんものの白い鳩/LOVERS』は、恋愛の切なさや不合理さを教えてくれる江國香織の短編ラブストーリーだ。
江國は映画化もされた『きらきらひかる』、直木賞を受賞した『号泣する準備はできていた』など数多くの代表作を持ち、文学賞も多く受賞する日本を代表する女性作家だ。彼女は小説だけでなく、絵本や詩集、翻訳など多岐に渡る文学活動を精力的におこなっている。
まだ、江國作品を読んだことがないという人は『ほんものの白い鳩/LOVERS』を手にとってみてはいかがだろうか。

現代の「無職」をめぐる心模様を鋭く描写

山本文緒の『プラナリア』は直木賞を受賞したベストセラー短編だ。表題作の『プラナリア』は病気のために社会からドロップアウトした女性の社会復帰の難しさを丁寧に描いており、親や恋人に八つ当たりし、自己嫌悪に陥るという悪循環が悲しみを感じさせる。
表題作の『プラナリア』他、4作の短編が収められている本書は、非常に緻密な構成で、常に客観的に描いているため読者も入り込みやすい。

平凡な日常の中にある心温まる物語

大ベストセラーにもなった『阪急電車』は有川浩の代表作の1つだ。片道わずか15分しかない阪急電車を舞台にいろいろな人間ドラマが繰り広げられていく。「泣くのはいい。 だけど、 自分の意思で涙を止められる女になりなさい」などの名セリフが散りばめられている。読後に清々しい気分になれる傑作。

直木賞を受賞した女性作家を中心に6人の女性作家を選んでみた。佐野洋子のみが故人だが、2010年に亡くなる直前まで切れ味のいい作品を送り出している。もし、女性作家の作品が気になったなら、ぜひこの6冊を手にとってみてはいかがだろうか。