歴史・時代小説は読まないという人もいるかもしれない。しかし、一度その魅力を知るとググッと惹きつけられるのが、この小説のおもしろさだ。そのきっかけにふさわしい3冊を厳選してみた。

吉川英治が描く『黒田如水』

まずオススメしたいのが『三国志』や『宮本武蔵』などの数々の時代小説を世に送り出した吉川英治の『黒田如水』だ。
2014年のNHK大河ドラマ『軍師官兵衛』の原作でもある本書。
如水とは官兵衛が後年に名乗った「号」であり、現代では官兵衛の名で親しまれている。
織田信長と毛利輝元との巨大勢力に挟まれた小寺政職の家老であった官兵衛だが、類まれな才覚と度胸で、頭角をあらわし軍師として名をはせていく。特に羽柴秀吉(豊臣秀吉)と竹中半兵衛との出会いは、彼の運命を大きく変え軍師として才覚をあらわし、“秀吉に天下を獲らせた男”として後世にも語り継がれている。
そんな黒田官兵衛の活躍が読める本作、戦時中に書かれた作品だが全く古さを感じさせない文章は読みやすく、一気読みするおもしろさだ。

動乱期の英雄、坂本龍馬の活躍をイキイキと描く

吉川英治と並ぶ日本を代表する歴史作家といえば、司馬遼太郎だ。多くの作品を生み出してきた彼だが、その中でも坂本龍馬をモデルにした『竜馬がゆく』は人気の高い作品といえる。
本作は坂本龍馬とは違う架空の人物を描いたフィクションとして龍の字を竜に変えていると言われている。フィクションとはいえ、本書は実際の坂本龍馬をモデルにしているため彼の人生を辿っている。
何度も映画化やドラマ化されており、幕末に活躍した坂本龍馬の人生について知らない人はいないだろう。しかし、彼がどんな人生を歩み、どんな結末を迎えるかを知っていても、間違いなくハマるってしまう作品だ。
本書は歴史小説としてだけでなく青春小説として読んでもおもしろく、竜馬の幼少時代から青年期までを描いており、そのスケールの大きさに思わず一気読みする人も多いのではないだろうか。
全8巻の長編小説だが、読み手を飽きさせることはなく、司馬遼太郎の作家としてのはかり知れない才能を感じさせる。

戦国時代に瀬戸内海で活躍した海賊の物語

『村上海賊の娘』は2013年に吉川英治文学新人賞と本屋大賞を受賞し、大変話題となった和田竜の長編歴史小説だ。
和田竜の「竜」の字は、坂本龍馬好きの実母が名付けた。和田自身も司馬遼太郎の代表作『竜馬がゆく』に感銘を受けて、時代小説家としての道を志している。
小説であるが、史実や時代考証がしっかりしており、リアルで緊迫した様子が伝わってくる本作。主人公のヒロイン「景」は、瀬戸内海で最大勢力を誇る海賊の娘であり、自身も男勝りの女海賊である。作中の景は嫁のもらい手もいない醜女として描かれているがとても魅力的な女性で、読んでいるものを魅了する。
900ページ超えの長編であるにも関わらず、累計100万部のミリオンセラーとなっている本作。現在、マンガ化がされており、映画化も期待される作品だ。

はじめての方でも読みやすいものを3冊選んでみました。いずれも実力派の作家が描き上げた渾身の作であり、後世でも読み継がれていくだろう。どれも読者を惹きつける魅力にあふれている作品だ。