数々の映像化作品にもなっている医療小説。注目の作品がたくさんあります。「エンブリオ」「破裂」に「神の汚れた手」、そして「チーム・バチスタの栄光」など挙げたらキリがありません。今回はその中から選りすぐりの名作3作を紹介します。

『いらっしゃーい』から始まるストーリー。 「イン・ザ・プール」

場所は伊良部総合病院地下。ここにある神経科。この科を訪ねた患者たちは、甲高い声を最初に聞きます。「いらっしゃーい!」。その精神科医の名は伊良部一郎。色白で太っているのが特徴です。そこから患者は予想もしなかった体験をすることになります。プール依存症や陰茎強直症など、ココにくる人々も変わった人が多いのだが、医者もかなり変わっています。名医かヤブ医者かどちらかは最後までわからない。その展開が非常に面白い。いつの間にか治っている、いつの間にか治している。体が治ってくるというよりやはり治してもらっている、そういった面白さがこの小説の魅力です。精神科医という立場だからこそ楽しめる医療小説「イン・ザ・プール」、シリアスになりがちな医療小説とはまた違った、たまらない面白さがそこにはあります。

医療小説といえば「白い巨塔」は外せない

すべてはこの医療小説から医療の小説が始まったといえます。医療の現場の現実と理想、白い巨塔といわれるその理由、そしてその主人公である財前と言う名前すらも、誰もがドラマの域を超えてはっきりと覚えている医療小説。作家の山崎豊子さんの名前も相まって作品もどんどんと有名になりつつも、現代社会に問う医療とは何か今でも考えさせられる秀逸な作品です。

「神様のカルテ」は優しい気持ちになれる小説

主人公の栗原一止(くりはらいちと)は地方医療病院に勤める内科医。そんな一止には最近、大学病院から熱心な誘いがきていました。地方病院よりも医局に惹かれ揺れ動く一止は、あるとき兼ねてから入院していた末期癌患者・安曇さんから思いがけない贈り物をもらいます。「手遅れの患者」を救おうとしない大学病院、反対に「手遅れの患者でも」なんとか救おうとする地方病院。そんな正反対の顔を持つ病院のはざまで、一止は医師としての答えを出していきます。リアルな医療現場の話でありながら、優しさと愛にあふれるストーリーの「神様のカルテ」。医療小説やドラマが少し苦手な方でも、「神様のカルテ」から見始めると印象が変わるかもしれません。

数多く医療小説の中で、今回は「イン・ザ・プール」と「白い巨塔」、そして「神様のカルテ」の3作品を紹介しました。他にも魅力あふれる医療小説がたくさんあります。時間を作ってゆっくりと医療小説の世界を堪能してみてはいかがでしょうか。