橋田壽賀子ドラマ「渡る世間は鬼ばかり」が、約一年半ぶりに復活した。TBS系列で9月18日(日)・19日(月・祝)よる9時から二夜連続で放送された。「幸楽」の改装問題でついに五月が一人ぼっちとなり、岡倉五姉妹それぞれの家族と関わりながら、孤独と向き合う姿を描く。

「幸楽」改装で、五月の自分探しの一カ月が始まる

小島勇(角野卓造)と五月(泉ピン子)が長年切り盛りしていた中華料理店「幸楽」が改装されることになった。跡を継いだ婿養子の田口誠(村田雄浩)と娘の愛(吉村涼)夫婦が、使わなくなった住居部分をお店にして広くする目的で決めたという。勇は相談を受けていたのだが、五月は知らぬ間に勝手に決められたことに激怒。しかし、すでに改装工事の1ヶ月間、五月と勇が暮らすマンションまで手配済み。今まで働きずくめだった両親にはのんびりして欲しいと、30万も渡される。
しぶしぶ改装のことを受け入れた五月は、気分を変えて旅行にでも行こうと勇を誘うが、勇は「おやじバンド」に専念すると言い朝から練習に出かけ、孫に遊びにおいでと誘うと「することがたくさんあるからムリ!」と突き放される。
長年「幸楽」一筋でやってきた五月には友達もおらず、いざ休暇を出されても何をやっていいのかわからない。バンドの練習に励む勇たちにお弁当を差し入れしても既に出前を取ったあと。皆に気を遣わせたと後で怒られ、とうとう途方にくれる。

眞の妻・貴子がおめでた!?

一人ぼっちになった五月は、久しぶりに息子に会いに、眞(えなりかずき)が働く会計士事務所を訪ねる。するとそこで眞の先輩の長谷部力矢(丹羽貞仁)から、眞の妻・貴子(清水由紀)が妊娠していると聞かされる。驚く五月だったが、これぞ私の出番と2人の家へ。つわりが酷い貴子のために大はりきりで手伝いに通い始めるが、眞は「貴子が気を遣ってかえって疲れる」と勇に相談。またしても勇から「人のことより自分が楽しめることをしろ」と怒られるのだった。
気を取り直し、五月は以前から気になっていた姑・小島キミ(赤木春恵)の様子を見に勇の妹・山下久子(沢田雅美)の元へ行くと、キミは、老人ホームへ入ったと聞かされる。「幸楽」で働くのをやめたキミはすることがなくなり、人の目の届く施設へ預けられたのだ。なんだか人事ではない五月。自分の老後のことを考え始めた五月は、自分の姉妹の家族の元を訪問しに行く。

姉妹それぞれの挫折と葛藤

五月が自分の姉妹の元を訪ねていくと、それぞれの家族のかたちが見えてきた。
長女の野田弥生(長山藍子)は、二人の子供が家を捨てて出て行き、育て方が悪かったのかと自分たちを責め、その悔いを埋めようと夫の良(前田吟)と夫婦二人、不幸な若者や子供たちの面倒を見ていた。
旅行代理店を経営している三女の高橋文子(中田喜子)は、亨(三田村邦彦)と結婚、離婚を繰り返し、またしても仕事を大事にして三度目の離婚を決断。
恋愛経験豊富な四女の大原葉子(野村真美)は、何度も恋人と別れて11歳年下の透(徳重聡)と巡り会って双子に恵まれ、一級建築士の資格を活かしてバリバリ仕事をしていた。
誰よりも波瀾万丈な人生を送ってきた本間長子(藤田朋子)は、料理人になりたいという娘の日向子(大谷玲凪)に「おかくら」を託し、往診専門の医師となった夫・英作(植草克秀)を支える覚悟を決めたという。

それぞれの家族のかたちを通して幸せを発見

また、娘の愛、誠夫婦にも一波乱あった。「おやじバンド」の一員である誠が練習ばかりで改装の手伝いをしてくれないことに腹を立てた愛は、バンドメンバーに明日から誠を参加させないように話をつけた。しかし、唯一の楽しみであった「おやじバンド」を奪われカッとなった誠はいきなり愛をビンタ! 勢い余って離婚問題にまで発展するが、老人ホームでの「おやじバンド」の演奏をこっそり見に行った愛は、誠が生き生きとしている姿を見て涙。お互いの行き過ぎた行動を反省し一件落着したのだった。

結局、五月はやりたいことが見つからず、最後には暇を埋めるためにラーメン屋で皿洗いのバイトを始める。しかし、それこそ五月がやっとみつけた居場所だったのだ。そこに偶然、「おやじバンド」がラーメンを食べにやってきて、勇にはジムに行くと嘘をついていた五月が勇に対し「ここが私のジムです!」と言い放った姿が可愛らしかった。それぞれの家族のあり方を見て、自分はこれまで「幸楽」で働いてきたことがなにより幸せだったのだと気付くのだった。

当たり前の毎日にある幸せ

最後、岡倉五人姉妹が改装したての「幸楽」に集まって乾杯する姿がなんとも微笑ましい。皆、それぞれの人生の中で挫折と葛藤を繰り返しながら生きているのだ。
ここまでそれぞれの家族の内情がしっかり描かれていると、皆それぞれがそれぞれで大変なのだ、と思わざるを得ない。人と人が関わることは家族であれ、他人であれ、時に面倒くさく、腹が立つし、逃げ出したくなることもたくさんあるが、人は人と関わることでしか最終的には喜びや幸せを感じることができない。
五月は一カ月の休みをもらって孤独と向き合ったことで、長年「幸楽」で働いてこれたことが何より幸せなことだったのだと気付かされた。これは当たり前の毎日の中にこそ幸せはあるという、橋田壽賀子氏からのメッセージなのだろう。

公式サイト(http://www.tbs.co.jp/oni/)