NHK朝の連続ドラマ「とと姉ちゃん」9月19日週(朝8時から放送)「常子、大きな家を建てる」で、ついに小橋常子(高畑充希)は、とと・竹蔵(西島秀俊)に誓った最後の約束“我が家を建てる”ことを実現します。いっぺんに9人の大所帯。久しぶりに小橋家全員が一つ屋根の下に暮らせるようになり、かか・君子(木村多江)の喜びはひとしおです。ところが、その君子に異変が…。

「24週目(常子、小さな幸せを大事にする)」のおさらい(139話〜144話)

「大東京新聞」の記者・国実恒一(石丸幹二)は、「あなたの暮し」が広告掲載もせず、なぜ発行を維持し、読者から支持されるのか不思議に思い「あなたの暮し出版」に取材を申し込みます。しかし当時、アカバネ電器製造の社長・赤羽根憲宗(古田新太)のいやがらせにあい、急きょ差し替え原稿を作成しなければならない事情があった花山伊佐次(唐沢寿明)は取材を断ります。
だが、週刊誌などで、同誌の売りである“商品試験”の疑惑が掲載されるにおよび、公開の商品試験を行ってはどうかと国実記者は執拗に食い下がります。

そして、最初は週刊誌の記事など一顧だにしなかった常子とも花山も、読者のためにいわれなき中傷と戦うことを決意します。
公開の洗濯機の商品試験はメーカー側、「あなたの暮し出版」のスタッフ、そして一般消費者の目の前で行われました。その結果は、使う側の立場に立った「あなたの暮し」の正当性が認められたのです。おまけに、アカバネ電器製造の洗濯機に使われているプラグには、鉄製のものに金メッキを施して真鍮に見せかけている不正も発覚。
のちに赤羽根社長が陳謝している記事が「大東京新聞」に載り、いやがらせも収束したのです。

そんな中、かねてから付き合っていた美子(杉咲花)と南大昭(上杉柊平)の結婚が決定。小橋家、水田家を交えての祝宴の途中、12年ぶりに突然、叔父・小橋鉄郎(向井理)が妻・幸子(岩崎ひろみ)と一緒にやって来るというアクシデントも起こります。

「145話」かか・君子がガンに侵され…

公開の商品試験によって正当性を認められた「あなたの暮し」も、ついに発行部数80万部に達します。その時代のオピニオンリーダーとして社会からも認められ、経営も安定してきました。
そして昭和39年。オリンピックの年に、常子は大きな我が家を建てたのです。
前々から約束していたように、小橋家の家族全員が同居。小橋家は、とと姉ちゃんこと常子と君子。水田家は水田正平(伊藤淳史)・鞠子(相楽樹)夫妻と長女・たまき(蒔田彩珠)、長男・潤(山下心煌)。南家は南大昭・美子夫妻と長女・真由美(上杉美風)が加わり、9人の大所帯となっています。
鞠子の娘・たまきは13歳。潤は5歳。美子の娘・真由美は4歳になっています。
時の経つのは早いもの。かか・君子にとっては毎日、孫のお守をし、娘たちはそれぞれが自分の道を歩み、心配のかけらもありませんでした。

いっぽう「あなたの暮し出版」では、女性が働きやすい環境を整え、子育てを終えた女性の採用も積極的に行っていました。その中には常子の親友である中田綾(阿部純子)の姿も見えます。
花山は雑誌の中に、なにか自分にだけしか書けないものを書いてみろと、常子に言います。常子は戸惑いながらも、自分にしか書けないテーマを探すことを開始。日本も高度成長期に入り、何もかもが順調に滑り出そうとしていたのです。
ところがここにきて君子が身体の不調を訴え始めます。医者の診断によってそれは“ガン”だと判明しました。戸惑う三姉妹は…。

「146話」思い出が走馬灯のように駆けめぐる君子

かか・君子の症状が重いことを、常子は医者の告知によって知りました。心の中には母の死を受け入れなければならない自分と、母の病気が嘘であってほしいと願う自分とが交差しています。しかし、竹蔵との約束である“家族を守ってほしい”ことを考えれば、感情を表に出してはいけない、そんな思いもあります。
君子は、入院して一人病室にいる寂しさが嫌で、自宅療養を希望します。常子は最後のひとときも考えて、君子の望み通りにします。

ある日の朝。君子は少し気分がよくなって、寝床から起き上がり孫たちがいる居間へ向かいました。鞠子の娘・たまきが美子の娘・真由美の髪を梳いています。ところが髪を梳きながらたまきが咳ばかりしているので、君子は心配になって、たまきの額に手をやるとひどい熱。学校を休んで横になるように勧めます。素直にうなずくたまき。
代わりに君子が真由美の髪を梳いてあげているうちに、いつしか君子は若かったころの自分を思い出しました。
こうして小さかった頃の美子にも、髪を梳いてあげていた自分。浜松から深川に上京したときの頃。家計の助けにと三姉妹が鳩を捕獲しようとした話。最初の事業である「練り歯磨き」が爆発した事件。親子で空襲を避けるために防空壕で一夜を明かしたこと。いろいろな出来事が走馬灯のように思い出されます。
そして、みんなと楽しく夕食を囲みながら、「あと何回、みんなでご飯を食べられるのかしら…」とつぶやくのでした。

「147話」とと・竹蔵の位牌に向けて報告する君子

君子が自宅療養をしてから半年が過ぎました。花山が見舞いに来ました。君子の前では、花山は常に礼儀正しく接します。思えば君子と花山が最初に出会ったのは、借家の雨漏りがひどくて大工を頼んだ時のこと。常子を訪ねてきた花山を大工と勘違いして家にあげてしまったのが最初です(88話)。
あれから20年近くが経とうとしています。
花山が君子の寝ている部屋に入った時、君子は介添え役の常子に、花山と二人きりにしてと伝えます。
常子が部屋から出って行くと、君子はいくぶん背筋を伸ばし花山に、「娘たちを立派に育てていただき、感謝しています」とお礼を述べるのでした。

いつになく神妙に聞いていた花山がその感謝の言葉に押されるかのように、いままで胸に秘めていたことを話はじめます。それは、終戦後「あなたの暮し」創刊と同時に、「雑誌作りに人生をかける」と宣言した常子の生涯はこれで良かったのかという思いです。
妹たちの幸せを願い、鞠子や美子の結婚を祝福したとと姉ちゃん。でも、一般の女性のように家庭を持ち、子供を育てるという幸せもあったのではないのだろうか。それを「あなたの暮し」が足かせとなった…。そんな忸怩たる思いが花山にはあったのです。
それに対して君子は、「常子は幸せだと思います」。なによりも、そんな風に見守ってくれる人がいるのだから、と伝えます。花山はふと重荷が下りたような気がしました。

花山が帰った後、君子の枕元に三姉妹が集まります。冬の柔らかな日差しが部屋の中に差しこみます。君子は常子、鞠子、美子を前に、日ごろの感謝を述べ、美子に行李を持ってくるように頼みます。その中には、とと・竹蔵と最後のお花見をした桜の造花や、KT歯磨きなど、家族みんなの思い出の品が保存してあったのです。
君子は夫・小橋竹蔵の遺影の前に行くと、心の中で何かを報告するように手を合わせました。
それから10日後。昭和40年1月、君子は安らかに息を引き取るのでした。

「148話」常子が「小さな幸せ」を1冊の本に!

小橋家では今日も全員一緒に食卓につきます。しかし君子の席はぽっかり空いたまま。常子は寂しさを感じます。ととの代わりとして小橋家を守ってきた常子ですが、心のよりどころは母親であるかか・君子でした。
ととが死んだとき、家長としてみんなの前では悲しみを顔に出すまいと考えた小さい頃の常子。どうしても堪えきれずひとり桜の木の下で泣いている時に慰めてくれたのは母です(6話)。
星野との別れでも優しく肩をなでてくれた母(60話)。その母はもういない。その悲しみは食卓で食事をしている水田家も南家もみな同じでした。
でも、これからも前を見て歩く。それがとと姉ちゃん。常子は気を取り直して会社に向かいました。
常子は君子の死を通して、過日、花山が言っていた“自分にしか書けないテーマ”を思いつきました。それは、日々の暮しの中に小さな幸せを見い出した、君子の教えをまとめておくことでした。花山もそのテーマに賛同します。

それから8年の歳月が流れ、常子が「あなたの暮し」の中で書き貯めた原稿は、「小さな幸せ」と題して一冊の本にまとめられたのです。
いっぽう花山は5年前に心筋梗塞に倒れますが、かけがえのない名編集長として、会社に専属のベッドを持ち込みながら雑誌を作る毎日でした。

そんな中、社員の大塚寿美子(趣里)が雑談で、共働きは家が貧しいからだと、子供がからかわれていることを常子と花山に話します。それは昔からの友人である新沼康恵(佐藤仁美)や中田綾(阿部純子)も同じで、女性が働くことに世間ではまだ偏見がある時代だったのです。
その昼下がりのひととき、成長して大学生になった鞠子の長女・たまき(吉本実憂)が「あなたの暮し出版」にやってきました。

「149話」鞠子の長女が「あなたの暮し出版」の入社試験を受ける

鞠子の長女たまき(吉本実憂)は、常子の忘れ物を届けに「あなたの暮し出版」にやってきたのですが、社内の活気あふれる雰囲気を見て圧倒されます。大勢の社員が、何かの試験結果を見て一喜一憂している光景は、仕事に対する熱気があり、たまきは社会に役立つ仕事として生活情報誌「あなたの暮し」の編集の仕事に魅力を感じました。
スタッフが持ってきた試験データーに花山は驚きを隠せません。
「ほーっ、とうとうこんな日がやってきたか…」。それはスチームアイロンの試験結果でした。アメリカの一流メーカーに比肩し日本製品の数値が肉薄していたのです。
昭和30年代の安かろう悪かろうといった製品が多かった時代から、日本もようやく品質の安定した良品が出はじめてきたのです。

その夜、たまきは常子の部屋にやってきます。「私、叔母さんの会社で働きたい」と言いだしました。大学を卒業したら銀行で働きたいと聞いていた常子は驚きます。でも、世の中の役に立つ仕事がしたいというたまきの熱意にほだされ了承します。しかし、コネ入社と言われるのはお互い嫌なので、入社試験は受けることになりました。
たまきは一次二次とも入社試験に合格し、最終試験に挑みます。
最終試験は「あなたの暮し出版」の社内で行われました。花山が採用担当官でもあるので、試験内容は風変わりです。地元の中華屋さんのご主人・楊さん(陳建一)を呼んで、チンジャオロースを作ってもらい、その取材記事を書くというものです。
最終試験に残った20名近い学生は一斉に床の上で原稿を作成し始めます。そこに今度は大音量の音楽やら工事現場の騒音が流れてきて、応募者もビックリ。
花山は、「記者たるもの、どんなやかましい現場でも原稿を書かねばならない!」とプレッシャーを与えます。
果たして、たまきは無事、最終試験を突破することが出来るのでしょうか。

「150話」花山にも病の影が見え始めて…

最終の入社試験を受けてから2週間が経ちました。水田家では結果がどうなったか、たまきをはじめ水田家の家族一同も心配顔です。いくら常子が社長だからといっても、コネ入社はできません。常子も、たまきが受かるかどうか分からないのです。
やがて水田家に「あなた暮し出版」から1通の手紙が送られてきました。封を切るたまき。見守る家族。履歴書の下に“採用”の印が押されていました。採用されたのです。
そして昭和49年4月、水田たまきは「あなたの暮し出版」に出社することになったのです。

それからしばらくして社員の大塚寿美子(趣里)が、会社を辞めたいと願い出たのです。共働きに限界が来て、育児に専念したいというのです。そんな寿美子の話を聞いて、これからの世の中は女性の社会進出も多くなり、そのたびに止むを得ず、会社を退社する女性が多くなるのではと常子は危惧しはじめました。
常子は花山に、「社内の仕組みを変えたいと思います」と言い出しました。女性のために役立つ情報を標榜してきた生活情報誌「あなたの暮し」は、当時としては珍しく女性の多い職場で、この人たちに安心して働いてもらうためにも、社内環境の整備をするべきだと考えたのです。
花山はその考えを全面支持。経営者として成長した常子を頼もしく見つめます。
常子は花山に報告して部屋を出ます。ところがその後すぐに、花山は胸を苦しそうに手でつかみました。前から持病であった心臓病が徐々に、花山の体をむしばんでいたのです。

「最終回予告/花山、常子に礼を言う」

自分の身体のことも考え、花山は身辺を整理する時期に来たと感じます。戦後に生まれた世代のためにも、いろいろな人の戦争体験を取材し、記録として残そう。そのために原爆投下のあった広島に取材に行くのですが、その取材先で花山は倒れてしまいます。
慌てて入院先の病院に駆けつける常子。これからのことも考え、花山に自宅療養を命じるのですが…。

連続テレビ小説「とと姉ちゃん」公式サイト(http://www.nhk.or.jp/totone-chan/)