尾野真千子主演、NHK土曜ドラマ「夏目漱石の妻」。9月24日(土)よる9時に放送された第1話は、裕福な家庭に育った中根鏡子が、高校教師の夏目金之助に嫁いでいき、激動の人生をスタートさせる。夏目金之助役に長谷川博己、中根重一役に舘ひろしと豪華キャストがラインナップされた大人が楽しめるドラマがいよいよ始まった。

尾野真千子という女優

「結婚」「流産」「自殺未遂」…人生にとってとてつもなく大きな出来事が1話の脚本に3つも入っている。にもかかわらずジェットコースターストーリーではない。落ち着いた大人のドラマに仕上がっているのは、キャスト・スタッフの総合力なのだろう。
だが、あえてそこで尾野真千子の名を挙げたい。
決して美人ではないのに、時に抱きしめたいほど愛くるしく、時に痛いほど切なく、時に怖いほど寂しく、いつの間にか一緒に涙してしまう。
73分間という長さを忘れさせる魅力。中根鏡子という役に巡り合った尾野真千子を4週も観ることができる幸せを、皆さんと一緒に噛みしめていきたい。

中根鏡子、夏目金之助の妻となる

裕福な家庭に育った中根鏡子(尾野真千子)は、父・重一(舘ひろし)から勧められた見合いで、夏目金之助(長谷川博己)と出会った。寡黙だが、時折言うことが面白く、鏡子は爆笑する。その3日後の街中、人力車ですれ違うも無視を決め込む金之助に、鏡子は決心した。「あの方のお嫁に行こう」と。
結婚は決まったが、金之助の就職は東京では決まらず、熊本の高校で教師をすることになった。こうして鏡子と金之助、それに女中のおタカの3人での熊本暮らしが始まった。

朝寝坊の鏡子。同僚を下宿させる金之助

翌日、鏡子は寝坊した。なんで起こしてくれなかったとおタカに詰め寄るが、3度も起こしたと言い返される。次の日も寝坊して金之助に嫌味を言われる始末。結局、鏡子の寝坊癖は治らないままだった。方や金之助は、鏡子に相談もなく同僚を無料で下宿させるという。女房は亭主に黙って従え的な言い草に、鏡子は従わず、同僚から下宿代として5円払うと言わせてしまう。すると金之助は、女中のおタカを東京へ帰せと言う。
お互いのことを理解するには時間が足りず、それでも2人は何とか新婚生活を送っていたのだが、金之助の父の葬儀に参列するため東京へ向かった時から2人に暗雲が立ち込めていく。

家族を信じられない金之助。夫へ愛を伝えられない鏡子

東京への車中、金之助は夏目家のことを語った。自分は父に捨てられた。母は早く死んだ。夏目家に自分の居場所はない。生い立ちが悲惨な金之助だけに鏡子の恵まれた家庭に嫉妬してしまう。それが自分でわかっていても、直すことはできない。じっと聞いていた鏡子の顔が苦痛で歪んだ。列車の揺れがいけなかったのだろう。流産だった。

養生のため、鏡子は中根家に戻った。そこには金之助が渇望する一家団欒がある。その中に入っていけない金之助は、先に熊本へと帰ってしまう。この離れ離れの時間が、2人の間に大きな溝を形成させた。
熊本へ戻ってきた鏡子を迎えたのは、金之助の無視だった。仕事が忙しい。家に帰っても相手をする暇がない。朝が苦手な鏡子は、金之助と会うことすらできない。
身体は良くなったとはいえ、心は夫の愛を必要としている。たまらず、鏡子は職場の学校へと出向き、金之助を探し出すと、笑顔で一生懸命に手を振った。だが、金之助は無視した。気づいていたのに無視をしたのだ。
痛かった…。心が折れた…。

雨降る帰路、通りかかった橋の上から…身を投げてしまった鏡子。だが、天は鏡子を見捨てなかった。
釣り船の人に助けられた鏡子が寝ている側で、金之助が吐露する。流産して、僕はやはり家族に縁がないのだと思った。間違っていた。僕には寂しくて学校まで顔を見に来てくれる人がいる。そんな鏡子を愚かな行為で失うところだった。すまない。
自分をさらけ出した金之助に涙する鏡子。
2人の夫婦としての歩みはようやく前を向くことができたようだ。

鏡子が尋ねる。「あなたの夢はなんですか?」と。
金之助が恥ずかしそうに言う。「小説家になりたい」と。

次回第2話は、10月1日(土)よる9時より放送

仲睦まじい夫婦に試練。金之助がイギリス留学へ。次回第2話は、NHK総合で10月1日(土)よる9時より放送。

原案は夏目鏡子、松岡譲の「漱石の思い出」。

「夏目漱石の妻」 公式サイト(http://www.nhk.or.jp/dodra/souseki/)