堺雅人主演「真田丸」。9月は、日本史の中でも特に知られた大戦、関ヶ原の戦いが登場します。豊臣から徳川の世へと移って戦国時代が終わりを迎える中、真田家も大きな節目を迎えます。そして真田信繁(堺雅人)は、多くの別れを経験することになるのでした。

第35回 「犬伏」

前回、「直江状」を手にして激怒した徳川家康(内野聖陽)は、上杉征伐へと向かいます。

ところが真田家は上杉家に加勢することを決意。真田昌幸(草刈正雄)と家康、やはり永遠の宿敵です。

やりたい放題の家康にも、すっかり腰抜け状態の大老たち。そんな中、どうしても家康だけは止めなければ! と焦っているのが石田三成(山本耕史)。大谷吉継(片岡愛之助)の協力を得ると、各国大名に声をかけ、ついには挙兵します。

犬伏にいた真田家の男たちにも、三成挙兵の情報が届きます。昌幸は信幸(大泉洋)と信繁を呼び、3人だけで真田家の進む道を模索。

いつまでも戦国の世の武者でいたい父と、世の変遷に気づいている息子たち。この場で最後に大きな決断をしたのは、昌幸でもなければ信繁でもなく、信幸でした。

昌幸と信繁は豊臣方に、信幸は徳川方につく。真田家生き残りのための、苦渋の決断でした。

第2話でも、息子ふたりを前に「くじで決める!」と言っていた昌幸でしたが、その展開をリフレインしながらも時の流れは親子関係を大きく変えていました。この瞬間、信幸は父を越えたのではないでしょうか。

第36回 「勝負」

タイトルから察せられるように、ついに来ました関ケ原の戦い。

しかし「真田丸」は、あくまでも真田信繁が主人公。真田家は関ケ原で戦ったわけではないので、天下を二分する大戦も、この物語の中では傍流に過ぎません。

真田親子が徳川に反旗を翻したとの報告を受けた家康は、真田を攻めるよう息子の秀忠(星野源)に命じると、自分は西に向かいます。三成の動きが気になるのです。

今回の「勝負」は、関ケ原以上に「第二次上田合戦」がフィーチャーされます。また、徳川側となった信幸と対峙する信繁の、戸石城明け渡しのエピソードも。このドラマ、徹底して真田家を中心に物語が進められます。

昌幸の知略が秀忠を翻弄し、徳川随一の知将、本多正信(近藤正臣)すら圧倒する頭脳戦は圧巻。しかしこの先の歴史を知っていると、昌幸最後のあだ花にも見えます。

今回の秀忠は、歴史ドラマではおなじみの「海千山千の昌幸にやられっぱなしで、関ケ原に間に合わなかったダメ若」ではありません。いささか力み過ぎている二代目将軍ですが、自分に自信がないわけでもないようです。それだけに、「すぐに西に参れ」と家康から命ぜられて上田を後にしたときのガッカリぶりは、若さゆえの勢いという感じで面白い。

さて、事情を知らない真田側は、秀忠撤退と聞いて大喜び。またしても上田城で徳川勢を退けた! とお祝いムードです。そんな中、昌幸と信繁のもとに関ケ原の戦いの知らせが飛び込んできます。

わずか1日で勝負がついてしまった天下分け目の大戦。このドラマでも、わずか1分足らずで関ケ原のシーンは終わってしまいました。小早川の寝返りとか、島津勢の徳川本陣突入とか、一切なし。清々しいほどの潔さです。

歴史上の一大事を“その場で体感”する表現は、ドラマではよくあることです。そうではなくて、“伝聞を通じて知る”立場で表現されると、初めはぴんと来ない話が、次第に現実味を帯び、最後に事実だと確信する、そんな心の流れまでがリアルに感じられてぞくりとします。

第37回 「信之」 第38回 「昌幸」

関ケ原で三成が破れ、ついに天下は家康の手中に。形式上は「秀頼様をお守りする」立場とはいえ、時代は間違いなく豊臣から徳川へと動きました。

関ケ原の戦いの後始末。それが第37回の展開でした。関ケ原に参戦していなくても、真田親子も徳川に刃向かったのですから、当然咎めは受けます。しかも因縁の徳川VS真田。家康が甘い顔をするとは到底思えません。

犬伏で、勝った方が敗れた方の命を必ず救おうと決めた真田親子。信幸は父と弟のため、大坂まで出向いて必死の命乞いをします。そこに舅の本多忠勝(藤岡弘、)まで来て「聞き入られなければ、婿殿ともども上田城に籠って戦う」とまで。信幸ですらぎょっとしています。

忠勝のこの決死の嘆願もあり、真田親子は高野山のふもと、九度山にて蟄居となります。ほっとする信幸ですが、「父の名である“幸”を捨てよ」と家康に命じられます。

以降、“信之”と名乗ることになるわけですが、ここから時代はさらに動きます。

第38回では、すっかり若武者に成長した豊臣秀頼(中川大志)が登場。その凛とした姿に、家康はたちまち危機感を覚えます。二条城での謁見のシーンは、最後の戦いの火種が生まれた瞬間でした。

また、この回では実に多くの人物がこの物語を去ります。かつて北条家重臣だった板部岡江雪斎(山西惇)、三成に「秀頼様を命をかけてお守りしろ」と託された加藤清正(新井浩文)、信之の舅、本多忠勝。そして…真田昌幸。

家康は、最後に昌幸と顔をあわせたときに、「兵、馬、武具、戦を起こす機会。すべてを奪う」と高らかに宣言しました。その言葉通り、昌幸は九度山から一度として出ることなく、この世を去ります。

家康による昌幸憎しの行為にも見えますが、昌幸に決して恩赦を出さなかったのは、執念深さというよりは用心深さのなせる業だったのかも。そのくらい昌幸は、家康にとって最後まで脅威だったのではないでしょうか。

死の床に就いた昌幸が最期に見たのは、武田信玄の幻。時代の流れを読みながら、仕える相手をころころと変えていた昌幸ですが、実は真の御屋形様は信玄ただひとりだった…昌幸は戦国時代にあっても、古いタイプの忠義者だったのかもしれません。

次回は、10月2日(日)午後8時より放送

昌幸が逝き、残された信繁。九度山に蟄居の身のまま、思いもかけぬ再会があります。次回、「真田丸」第39回「歳月」は、NHKで10月2日(日)午後8時より放送です。(BSプレミアムでは同日午後6時より。)番組公式サイトも充実しているので、そちらもチェックしてみてはいかがでしょうか。

これまでのエピソードを見逃した方は、以下のページで配信しています。

堺雅人主演NHK大河ドラマ「真田丸」 公式サイト(http://www.nhk.or.jp/sanadamaru/)