新聞やテレビで連日取り上げられる児童虐待。その目を背けたくなる惨状を描いた『ちいさいひと 青葉児童相談所物語』の内容や、なぜ子育て世代を中心に話題となっているのかなどを分析する。

壮絶な児童虐待の現場を描く『ちいさいひと 青葉児童相談所物語』

2010年から2013年まで、小学館が発行する『週刊少年サンデー』で連載。連載が終了した後、2015年より電子書籍版が販売されたのをきっかけに、子育て世代にも読まれるようになり大きな反響を得るに至った。本作品は家庭環境に問題のある子どもたちを守る児童福祉司が主人公。子供どもたちを取り巻くさまざまな問題に直面しながら、児童虐待の現場に切り込む姿が描かれている。

『ちいさいひと』の青葉児童相談所が直面する児童虐待

第1巻は新米児童福祉司の相川健太を主人公に物語は進む。母親の育児放棄によって劣悪な環境で餓死寸前だった幼い姉妹は、自らも過去に虐待を受けた健太の“カン”によって助けられる。ただ、母親が抱える闇は深く、救出された子供に吐き捨てられた母親の言葉に戦慄するだろう。
第2巻、虐待を受けたと思われる兄妹が児童相談所に保護されるあと一歩のところで姿を消してしまう。幼い子どもに目を覆いたくなるほどの傷を負わせる父親に怒りを覚える。
第3巻は東日本大震災後に宮城県内の児童相談所を取材して構成されたストーリー。ボランティアとして被災地を訪れた健太が目にしたものとは?
以降、児童虐待の闇に切り込むさまざまなドラマが描かれている。

なぜこれほどまでに『ちいさいひと』が話題になったのか

電子書籍版の読者に子育て世代が多いこともあり、話題となった本作品。親の子育てに対する不安や孤独など、リアルな現状が描かれていると反響は大きい。核家族が増えたことで、経済的に厳しい環境の中で子育てをしている家庭が増えているだけに強い共感を得たのだろう。

児童虐待について描かれた本作品を通して感じること

2015年度に全国の児童相談所が対応した件数は10万件を超えた。現実でも多くの子育て世代が不安や孤独を抱えている。本作品と同様に、厳しい環境の中で適切な支援を受けられない親は追い詰められ、そして何の罪もない子どもたちにやり場のない怒りや悲しみの矛先が向けられているのだ。

自ら環境を選べない子どもたちの悲惨な現状に少しでも興味を持ったなら本作品をおすすめする。すべての子供たちが不当な虐待を受けず、無償の愛を知り、健やかに成長できることを願ってやまない。