広末涼子、伊藤淳史、濱田岳の3人が主演を務めるテレビ東京系列ドラマスペシャル「望郷」。9月28日(水)よる9時から放送されたこのドラマは、湊かなえの傑作ミステリー短編集「望郷」の3編をオムニバスドラマ化した意欲作。

淡路島に住み執筆を続ける原作者・湊かなえが、
“島”と“都会=東京”を、
殺人者の表と裏を、
島の美しさと、疎ましさ、
島を去る者と、島に残る者…。
光と影のように対照的に描きながらも、
それらが常に表裏一体である事を描いてゆく。
一瞬悪人に見えた人間が、その仮面の下に人間の悲哀をたたえて横たわっている。
3つの物語に共通して描かれているのは、家族だ。
3人の主人公、彼らを揺さぶる登場人物たちの圧巻の演技に言葉が出てこない。

「みかんの花」あらすじ

主人公の富田美里(広末涼子)は、白綱島に暮らす主婦。
美里はいつになく化粧をしてお出かけモードだ。
認知症を患う母の富田安江(倍賞美津子)は、出かける美里に向かって「どこに行くのお姉ちゃん?」と声をかける。

白綱島市は全国で唯一残る一島一市だったが、過疎化の勢いは止めることができず対岸の市に吸収合併されることになり、市では閉幕式が行われることとなった。
閉幕式で美里は久しぶりに姉の桂木笙子(水野美紀)と再会する。
笙子は20年前に上京して以来一度も帰省したことがなかったが、小説家として有名になり、来賓として閉幕式に呼ばれたのだった。

「母なる海と父なる大地…わが故郷が失われると聞いて何度涙を…」と、センチメンタルな文章を読み上げる姉・笙子に対し、美里は思わず客席から「ならあんたが島に住んで税金納めなよ!」と叫ぶのだった。

笙子の同級生で20年前笙子と付き合っていた宮下邦和(水橋研二)の運転する車で、20年ぶりに実家へ戻る笙子と美里。
美里は姉がいなくなった20年前から今までのことを思い出していた。

20年前に交わしたある約束

20年前に市役所職員だった美里の父は、交通事故で突然帰らぬ人となる。
しかし、事故死した車には、職場の部下の若い女性が乗っていたため、父の死後、安江と美里と笙子の3人は、街の中で孤立していき、無言電話や陰湿ないじめが続いた。

そんな頃、東京からやってきたバックパッカーの男・奥寺健一(田中圭)に恋心を抱いた15歳の美里(山口まゆ)。
女所帯で頑張ってきた富田家に、健一は爽やかな都会の風を運んできたように美里は感じていた。
少女の美里は東京へ行くことを夢見ていた。
健一は美里に東京へ連れて行ってあげようか? と提案する。
勉強をして試験で良い結果を出し東京の大学へ進学するという約束を健一とするのだった。

ある日突然美里は裏切られる

しかし、ある日健一は美里との約束を反故にし、突然姿を消す。
「ごめんねお母さん、美里。健一さんと東京へ行きます」…という置き手紙を残し、笙子までもが健一と一緒に島からいなくなってしまう。

20年目の再会

美里は、富田家のみかん畑を市に売った土地の前で、
「安心しろ。基礎は取り壊さない。上物を作り変えるだけだから」と邦和と笙子が話すのを見かけていた。

実家に戻ってきた笙子を、認知症の母・安江は明るく迎え入れる。
笙子のことはしっかり覚えているようだった。
美里の夫・宮田達也(中村靖日)や、美里の娘・ 富田美香子(田辺桃子)は、笙子のことを先生と呼んだりして都会に馴染んだ洗練された笙子を褒め称えるので、美里はますます苛立ちを隠せない。

笙子から教えられた健一の素顔

笙子と二人になった美里は今までの思いをぶつける。
東京へ行きたいという思いを押し殺し、老いた母の世話で島に縛り付けられてきた20年。自分を置いて出て行った恨みを抱き続けている、と美里は告白する。
そして、健一とはどうなったのか? と笙子に美里が尋ねると、笙子は東京に出て3ヶ月で別れたという。

富田家の畑を売った800万円。健一はそれが目当てだったという。
実家にあった貯金通帳を漁っていた健一を見つけてしまった笙子だったが、
「一緒にここを出て行こう、俺が自由にさせてやる」と言うので騙されたふりをして一緒に島を出たという。自分も東京に憧れていたから…と。

そして笙子は仕事があるからと、ほどなく東京へ戻っていく。

認知症の母が告白する20年前の出来事

お盆が来て迎え火を焚く安江。
そんな母を見て、「お父さんもお姉ちゃんも帰ってこないわよ!」と苛立つ美里。
すると、安江は
「お姉ちゃんは帰ってこない。だってお母さんの罪を背負って出て行ったんだから…」と突然泣き出すのだった。

「私はこのみかん畑に咲く夕日が一番好きなの…」と20年前語っていた笙子の言葉を美里は思い出し、港へ走りだす。
美里には全てが理解できた。

美里が港に着くと、すでにフェリーは出港していた。
フェリーに乗った小さな姉に向かって、「お姉ちゃん!」と美里は叫ぶ。

「海の星」あらすじ

白網島出身の浜崎洋平(伊藤淳史)は、東京で妻の浜崎友美(紺野まひる)、息子の浜崎太一(五十嵐陽向)と3人で幸せに暮らしていた。
太一が釣りに行って釣ってきた魚料理を見て、昔のことを思い出す洋平。
太一にパパと釣りに行きたい! とねだられて、不機嫌になる洋平。

そんな洋平の元に、白網島にいた頃の高校時代の同級生・真野美咲(平山あや)から、ある日一枚のハガキが届く。
美咲が仕事で上京するのでどうしても会って欲しいという。
お父さんのことでどうしても伝えたいことがあるのだという。

洋平が幼い頃、突然失踪した父親

20年前洋平の父親・浜崎秀夫(橋本じゅん)は、「タバコを買いに行ってくる」と家を出たっきり、行方不明になってしまった。
母親の浜崎佳子(若村麻由美)は毎日必死で洋平を探すが見つからない。
父親が失踪してから佳子は慣れない勤めに出て、必死で家庭を守った。
幼少期の洋平(加藤清史郎)は、母親を助けるために少しでも何かしたいと、父親の釣竿を海へ持ち出し、魚を釣って夕飯にした。

洋平の大叔父(モト冬樹)は、秀夫は海に入って自殺したのかもしれないから実家に帰ったらどうか? と言うが、そんなはずはない、と佳子は反発する。

謎の親切なおっさんが 洋平を助ける

そんなある日、いつものように洋平が海で釣りをしていると、 “おっさん”こと真野幸作(椎名桔平)が、こんな小さい魚じゃあお腹いっぱいにならんだろう、と大きな魚を洋平に分け与えてくれる。
そして、度々おっさんは、洋平に魚を分け与えては、ついには家に上がりこんでタコを料理するまでに。
おっさんは、2週間おきに家に来て魚料理を作ったり、釣りを洋平に教えてくれた。

ある日おっさんは「お前の父ちゃんの噂を聞いたんだが…」と洋平に切り出すと、
「お父さんは離婚したわけでも死んだわけでもないから、お母さんはずっと待っているんだ」と洋平は答える。
そして母親に気があって自分たちに親切にするのだと思った洋平は、だんだんとおっさんが疎ましく思うようになってくる。

そして父親の失踪から3年が経ったある日、おっさんはスーツを来て百合の花束を持って家にやってくる。
そして秀夫のことはもう忘れたらどうか、と佳子に言うが、佳子は「あの人は生きているんです!」と叫んで、おっさんに金輪際家には来ないでくれとお願いする。

洋平は釣竿を持って海へ向かう。そこにはおっさんがいた。
もし父親が死んだと分かっていたら、今どうなってたと思う? とおっさんは洋平に聞く。
洋平は、そうだったとしても母親は再婚はしていないと思うと答える。

おっさんの偽善を感じた洋平

高校生になった洋平は、同級生の美咲(平祐奈)から手作りのクッキーを貰う。
それを食べて、洋平は以前おっさんが娘が焼いたクッキーと持ってきた物と同じ味だと気づく。
美咲は、自分の父親・幸作は、父親が死んだ家に通って魚や自分の作ったクッキーを持って行くボランティアをしていたと洋平に言う。
その家は俺の家だと、洋平は美咲に伝え、それは偽善だ、「母さん目当てにせっせと通って、こっぴどく振られたくせに!」と反論する。

おっさんが洋平の元へ通った本当の理由

再会した美咲は、父親の幸作が病気を患ったことで、ある告白をしたと洋平に言う。

幸作は20年前、洋平の父親が海で死んでいるところを目撃した。
しかし、そのことを洋平と佳子に言おうと思って、何度も家に通ったが言えずに3年間過ぎてしまったという。
そのことを美咲から知らされた洋平は一人島へ向かう。

島には老いたおっさんがいた。
洋平は素直に20年前のことを感謝し、お礼を言う。

「雲の糸」あらすじ

白綱島出身の人気アーティストの歌手・黒崎ヒロタカ(濱田岳)の元に、島の同級生・的場裕也(大野拓朗)から電話がかかってくる。
裕也の父親が社長(西岡徳馬)を務める「的場鉄工所」の創業50周年の記念パーティーに出席して欲しいと誘われる。

しかし、ヒロタカは故郷に帰ることや、自分が白綱島の出身であることを知られたくなかったため、帰郷することに前向きになれなかったが、強引に裕也に取り決められてしまう。

帰りたくない故郷

ヒロタカは、人殺しの息子と言われ、島の人たちから無視され続け、少年時代はいじめられていた。
母の律子(麻生祐未)が、父親を殺したからだとヒロタカは独白する。
毎晩酒を飲んで暴れる父親を母親は刺したという。その時ヒロタカは1歳で記憶がない。

姉との思い出

ヒロタカの姉・磯貝亜矢(内山理名)が7年ぶりに帰省するヒロタカを迎えに出る。
ヒロタカは空を見上げていた。一筋の飛行機雲…。

15年前ーー。
子供の頃のヒロタカは、空の飛行機雲を指差して、姉・亜矢(井頭愛海)に雲の糸みたいと話していた。
亜矢は、それを見て「蜘蛛の糸みたいだね、いいことしていれば地獄から抜け出せる。何かいいことしてたら誰かが助けてくれるかもしれないってこと」といじめられたヒロタカを勇気付けるのだった。

ヒロタカ音楽との出会い

中学を卒業したヒロタカは、大阪へ出て就職した。
就職先の先輩(山崎まさよし)からギターを教えてもらい音楽の楽しさを覚える。
先輩から褒めてもらったヒロタカは路上ライブを始め、レコード会社にスカウトされる。

追い詰められるヒロタカ…追い詰める島人たち…

ヒロタカは、しぶしぶ「的場鉄工所」の創業50周年の記念パーティーに出席する。
壇上で事件の事を蒸し返され、島のみんなは家族だと言われヒロタカはひどく傷つく。散々いじめられ、無視され続けてきた島の人たち…。
そんな人たちが、手のひらを返したように、すり寄ってくる…。

裕也にも散々いじめられた。いじめられたヒロタカをいつも助けるのは亜矢だった。
律子はフェリー乗り場で掃除の仕事を懸命に続け家族を守ってきた。

ヒロタカは強引に裕也に壇上へ引っ張り出され歌わされたり、裕也が市議選に出る時の応援ソングを作ることになっていたりと、散々な目にあい、最後は気持ち悪くなって吐いてしまう。

ヘトヘトになって家に戻ると、律子が断れきれず受け取ったサイン色紙が机の上に山積みになっていた。                                   
耐えきれなくなったヒロタカは律子にこれまでに鬱憤をぶちまける。

床に土下座して謝る律子を抱き上げようとすると、その手首には切り傷が…。
自分のせいで、自分が歌手になったせいで母親を追い詰めたのでは…。

そして、ヒロタカは自分を責める人たちの幻聴に追われるように、港の波止場から海へ落ち…。

母親の罪に知られざる真実が…

一命を取り留めたヒロタカは病院のベットの上にいた。
亜矢が見舞い、たくさんのファンからの花束が届いていた。

「もう終わりだ…」
自分の母親が殺人を犯したということがバレたと、ヒロタカが悲嘆にくれると、亜矢は母親がなぜ父親を殺したのか、母親から言うなと口止めされていたその理由をヒロタカに教える。

酔った父親は幻聴からヒロタカの首を締めようとした。
それで、律子はヒロタカの命を守ろうと、父親を刺したのだった。
「僕が生まれてこなかったら、母さんは人殺しにならなかったの…?」とヒロタカが言うと、
亜矢は「卑屈にならなくていい」とヒロタカをたしなめる。
ヒロタカは今度は自分が家族を守る、と亜矢に向かって宣言する。
廊下の外では律子がその言葉を聞いて泣き崩れていた。

広末涼子×伊藤淳史×濱田岳主演ドラマ「望郷」 公式サイト(http://www.tv-tokyo.co.jp/boukyou/)