尾野真千子主演、NHK土曜ドラマ「夏目漱石の妻」。10月8日(土)よる9時に放送された第3話は、「吾輩は猫である」が評判となり、ようやく夏目家にもいい風が吹いてきそうな予感。ところが、金之助の義父・塩原昌之助(竹中直人)が縁を戻したいとやってきて…。

尾野真千子VS竹中直人

見応えのある対決だった。女優対怪優と言ったら失礼にあたるかもしれないが、土砂降りの中の2ショットはインパクト十分。クライマックスと呼ぶにふさわしいシーンだった。
「愛」というものの難しさを2人は表現していた。悪意を持ってやってきた塩原と、通せんぼをして夫を守る鏡子。悪VS善のようでいながら、2人に共通するのは金之助に対する愛だ。この難しいシチュエーションを雨中の対決に持っていった演出も素晴らしいが、やりきった2人も本当に素晴らしい。もう一度見たくなる名場面だった。

小説家の道へと進む金之助

「吾輩は猫である」が評判となった夏目金之助(長谷川博己)に、とある新聞社からオファーがある。給料を出すから小説を書いて欲しいというのだ。教師という職業が嫌いな金之助は転職したいというが鏡子(尾野真千子)は大反対。5人目の子供を腹に宿している身にしてみれば、教師の給料を捨てて不安定な小説家の道を選ぶなど言語道断なのだ。ところが、新聞社の給料が200円と知り方針変更。もともと金之助の夢に乗りたいと言っていた鏡子だけに、実益が伴った夢であれば、反対する理由もないのだった。

義父・塩原昌之助の登場

かくして夏目金之助は小説家・夏目漱石として執筆活動に入ったのだが、まさしく唐突に金之助の義父・塩原昌之助が訪ねてくる。昔のように縁を戻したいと口では言うのだが、懐に忍ばせていた念書を出し、暗に金を要求しているのは明らかだった。
鏡子は金之助の兄・直矩(津田寛治)に相談するが、直矩から聞かされたのは、あまりにも悲惨な金之助の幼少時代についてだった。夏目家の末っ子に生まれた金之助は父から愛されることもなく、塩原の養子になった。ところが直矩の兄たちが次々に亡くなってしまい、父は仕方なく金之助を買い戻すことにしたのだ。それも生活に困窮していた塩原の足元を見て、安い額で買い戻したという。
「金之助は、そのまま塩原に居た方が幸せだったと思う」という直矩の言葉が鏡子の胸に切なく響く。

義父との対決、そして…

再び、塩原がやってきた。今度ははっきりと200円を貸して欲しいと要求してきた。新聞社から相当な給料をもらっているはずだ。子供時代、お前にどれだけ金を使ったと思っている。買い戻した額は安すぎる。あと1000円もらってもいいぐらいだ…。ついに胃痛で倒れてしまった金之助に対しても「仮病じゃあないだろうな?」と迫る。そんな塩原に対し、金之助は胃を押さえながらも「あなたは、たった一人の大事な親だった」と言い返す。実の父から愛されず、家族というものを恨んでいた金之助が、唯一心を許していたのが塩原だった。今、塩原のせいで辛い思いをしても、過去の記憶は変わらない。そこには金之助の欲する愛が存在していた。
金之助の叫びは塩原にも鏡子にも伝わった。今日は失礼すると逃げるように夏目家を飛び出る塩原を、鏡子は追いかける。土砂降りの中、傘もささず、下駄も脱げたまま、追いかける。そして塩原を捕まえると、なけなしの100円を突き出した。夫が愛した人が、夫を脅さなければならないほど困窮している。鏡子は夫のために100円を渡し、その代わりとして念書を受け取った。これで金之助の胃痛は無くなるだろう。だが、家族はもう、私たちだけになったのだ。

次回第4話は、10月15日(土)よる9時より放送

いつまでも苦労が絶えない夫婦の行き着く先は…。次回第4話(最終回)はNHK総合で10月15日(土)よる9時より放送。

「夏目漱石の妻」 公式サイト(http://www.nhk.or.jp/dodra/souseki/)