時事問題を取り扱ったバラエティー番組や、選挙特番など今やテレビで引っ張りだことなっている池上彰。彼が発表した「おとなの教養」はベストセラーとなりました。15万部を超えるベストセラーは伊達じゃない。

『おとなの教養』ってどういう本?

今、大人が学ぶべき教養とは何なのでしょうか? それをまとめたのが『おとなの教養』です。池上彰は本書の中で、現代人が学ぶべき7科目について説明しています。「宗教」では各宗教の成り立ちに触れ、「宇宙」では宇宙の起源から地球がいつ生まれたかや、ヒッグス粒子の話題などを幅広く言及しています。「人類の旅路」ではアフリカで誕生した人類がこれまで辿ってきた軌跡を、「人間と病気」では世界中で人類を苦しめたウィルスについて、他にも「経済学」、「歴史」、そして最後に「日本と日本人」とそれぞれのカテゴリー毎に講義形式で丁寧に説明されています。彼は、これらの教養の本質を総称して「生きる力」と定義しています。

情報化社会で生き抜くために

現在はさまざまな情報が氾濫する情報化社会です。この世を生き抜いていくためには正しい情報を取捨選択する必要があります。さらにいうと、その情報をどのように理解して自分の中に取り入れるかが大事になってきます。同じ情報にしても、受け取り側の捉え方でその意義は大きく変わってくるものです。池上彰は、選挙特番での立ち振る舞いからも分かるように、固定観念にとらわれない考え方をしていることでも世間から高い評価を受けています。今回、池上彰が七科を定義している背景に、ヨーロッパにあるリベラルアーツと呼ばれる”自由七科”がありますが、先入観を捨ててものごとを知ろうとする行動が第一に求められているのかもしれません。

知的魅力は大人としてのステータス

池上彰が出演している番組以外にも、各メディアでは教養をつけるための番組が多く制作されています。クイズ番組も人気で、物知りな芸能人に需要がある時代ですね。その流れは世間一般でも浸透しており、いろんな物事についての知識がある方が、もてはやされるようになっています。以前は経済力や体力が大人の男性としてはモテ要素となっていましたが、今は知的な男性が魅力があると思われているようです。よこしまな気持ちもあって、この本を手にとる人も少なからずいるのでしょう。

伝わりやすい表現の参考書

池上彰は、その分かりやすい解説にも定評があります。NHK教育で放送されていた「週間こどもニュース」では、子ども向けに難しいニュースをかみ砕いて説明しており、その頃から彼の実力は際立っていました。本書『おとなの教養』は対象が大人ですが、難しいテーマをやはり丁寧に伝わりやすく書いています。よって、読者の中には、教養をつけるという本来の目的以外にも、プレゼンテーション能力の良い見本としてこの本を支持している人もいるようです。表現力を磨きたいと思っている人にもマストアイテムとなっています。

時代を読み解き、未来へと進む

池上彰は、本書の7つの必須科目について共通する問題意識として、自分がどういう存在かを認識することの大切さを説いています。それぞれの事象について、その起源を知り、軌跡を辿っていくことで、一つの大きな流れを知ることができます。その通過点に現在地を指定することで、これからの未来も見えてくるのかもしれません。まずは自分の現在地が分かることが教養をつけるということなのでしょう。そこから先を見据えて、これからの世の中をどうやってサバイブするかが、読者の一人一人に問われています。

『おとなの教養』には、ただ単に物事を学べるということ以外に、これからを生きて行く上でのヒントがたくさん詰まっています。「人生のバイブル」として、この本をチェックしてみてください。