市場動向調査企業であるTrendForceの半導体メモリ市場調査部門DRAMeXchangeは9月13日付け(台湾時間)で、2016年第2四半期(4〜6月期)におけるNAND型フラッシュメモリの売上高ランキング(表1)および各社の同分野におけるビジネス・技術動向調査結果を発表した。

SamsungやSK Hynixなどの韓国勢がシェアを拡大

NAND型フラッシュメモリの製造メーカーは6社に絞られているが、第2四半期の順位は、第1四半期の順と変わりはない。SK Hynixが売上高を前四半期比で38%ほど増やしたほか、Samsung Electronicsが同10%増としたのに対して、東芝とMicron Technologyの売上高は前四半期比で10%を超す下落となった。このため、韓国勢(SamsungとSK Hynix)が2ポイント以上シェアを増やし、業界5位のSK Hynixが4位のMicronに肉薄する状況となってきた。

第2四半期は、NANDメーカーに中国のスマートフォンメーカーからの大容量eMMC/eMCPの注文が入ったほか、AppleのiPhone 7発売前の在庫積み上げのために、供給が徐々にひっ迫していった期間となる。クライアント向けおよびエンタープライズ向けeMMCとSSDの大口契約価格の低下は、第2四半期に緩和されたほか、NANDのウェハ価格も4月から上昇し始めていたため、NAND業界全体の第2四半期の売上高は前四半期比で3.4%の増加となった。これは、NAND売上高の低下に歯止めがかかったサインである。

○2016年後半は売上高・利益とも継続して増加

DRAMeXchangeの調査ディレクターであるSean Yang氏は、季節変動でピークシーズンにあたる第3および第4四半期について、「スマートフォンとクライアント向けSSDの需要が急増するので、NANDの供給は第3四半期において徐々にひっ迫しており、価格も今後順調に上昇する見込みであるため、サプライヤの第3四半期の売上高および営業利益はさらに増加する見込みで、第4四半期も引き続き増加することが期待される」と、期待をかけた分析を行っている。

○3D NANDで先行することで売上増を果たしたSamsung

2016年第2四半期におけるSamsungのNAND売上高は前四半期比で約10%の増加となったほか、営業利益も改善した。これは、急成長するエンタープライズ向けSSD市場シェアの増加および大容量eMMC/UFSとeMCP製品の注文の増加によるところが大きい。

また、同四半期のNAND型フラッシュメモリのビット出荷量は、前四半期比で15%の増加となったほか、平均販売価格は5%低下にとどまった。Yang氏は「Samsungの製品戦略に関しては、 3D NANDフラッシュSSDで急速にマーケットシェアを確保している。大容量eMMC/UFSとeMCPのマーケットシェア・リーダーである。同社は3D NANDフラッシュの生産能力を増加し続けており、2016年の3D NANDフラッシュのビット出荷量は、業界平均より多くなるだろう」と分析している。

○新棟の完成による3D NANDの増産によりSamsungを追撃する東芝

東芝は四日市工場の新2号棟が3D NANDの量産をはじめ、第4四半期には月産4万枚体制を敷く予定だ。しかし、同社にとって15nm(2次元)プロセスがいまだに主力製造技術であり、第3四半期のビット出荷量の80%以上を占めると見られる。また、第3四半期の東芝のビット出荷量のうち、5割をTLC(TripleLevel Cell)製品が占めることになるが、主要顧客が第2四半期の終わり頃に追加注文を出したためである。

同社は現在のほんのわずかの主要顧客に頼りすぎているリスクを減じるために、将来顧客を増やす取り組みを進めていくことが見込まれる。また、エンタープライズ向けSSD開発のため、およびクライアントSSDのマーケットシェアを上げるためにリソースを配分ことが考えられ、売り上げの3割が第4四半期からSSD製品で占めるようになるとDRANeXchangeは見ている。

○いまだ15nm品が主力だが3D化を急ピッチで進めるWestern Digital

Western Digital(WD:東芝のパートナーだったSanDiskを買収した企業)の2016年4〜6月期報告書によると、パートナーの東芝と共同出資している四日市のラインで製造している15nm(2次元)NANDが主たる収入源となっている。WDは現在、東芝とともに64層の3D NANDフラッシュ(512Gb/チップ)の開発を急いでおり、コストでの優位性を出すため、TLCアーキテクチャに注力することが予想される。

また、製造に関しては、第2四半期から第3四半期にかけてNANDフラッシュの生産能力を5%増加させている。2016年のビット出荷量は前年比3割ほど増加する見込みで、2017年末までに、ビット出荷量の4割を3D NANDフラッシュが占めることが予想される。Yang氏は「WDはHDDとSSD製品をすべて品ぞろえしており、世の中をリードするストレージ・ソリューションの提供者となりつつある」と語る。

○中国スマホ特需で売上高が37%増と躍進したSK Hynix

第2四半期のSK HynixのNAND売上高は、前四半期比で37%増の8億8200万ドルとなった。中国スマートフォンメーカーからの大きな需要にささえられて、ビット出荷量は同52%増となった。SK HynixはeMMC/UFSおよびeMCPの出荷量を増やすとともに、SSD市場のシェアを上げることに注力するとDRAMeXchngeは見ており、第3四半期のビット出荷量は同15%増となるとしている。

製品開発についてみると、同社は14nm(2次元)プロせスに依存しており、第3四半期以降のビット出荷量の大きな割合を占めるようになると見ている。また、3D NANDに関しては、2016年末に月産2〜3万枚生産する計画である。

○出荷額も量も減少で不振、3D化急いで回復目指すMicron

Micronは、DRAMおよびNANDの価格低下により長期にわたり業績が低下し、時価総額も減額し、企業買収のうわさが絶えなかったが、このところのメモリ価格下げ止まりで、今後は業績改善が期待される。

同社の3〜5月期(同社の事業区分での2016年第3四半期)におけるNANDフラッシュのビット出荷量は前四半期比10%減となった。平均販売価格およびビットコストは、前四半期比で、それぞれ6%および3%の低下となった。これらの結果、同社のNANDフラッシュメモリの売上高は同15.5%の減少となる約9億ドルにとどまった。

同社は現在、3D NANDフラッシュの少量生産を行っているが、これを2016年末までには大量生産に移行する計画である。これによる3D-TLC SSDはすでに主要なPC-OEMへ送られ製品評価が進められている最中である。また同社は、第2世代の3D NANDフラッシュの出荷準備も進めている。これは第1世代品よりコストが3割削減できる見込みで、これによりビット出荷量に占める3D NANDの割合も急速に増える見込みとなり、2017年のビット出荷量は業界平均より多くなる見通しだという。

○不振回復へ向けて中国大連での3Dの量産を急ぐIntel

半導体全体では、世界トップに君臨するIntelも、NAND型フラッシュメモリでは業界6位に甘んじているだけではなく、パートナーのMicronとともに苦戦を強いられている。

第2四半期の同社の売上高は、前四半期で0.5%減となる5億5400万ドルにとどまった。同四半期は、価格競争激化のあおりを受け、平均販売価格が、すべてのNAND製品で前四半期比で10%以上の下落となり苦戦を強いられたことが背景にある。しかし、第2四半期のビット出荷額は同10%以上増となっており、売り上げの減少を抑える結果となった。

現状の同社は、16nmや20nmプロセスに基づくエンタープライズ用SSD製品が主要応用製品となっているが、3D MLCエンタープライズ用SSDの量産体制を第3四半期末までに敷く計画で、これによりコスト競争力が改善することが見込まれる。また、中国大連の半導体ファブを3D NAND量産用に転換する工事も順調に進んでおり、すでに製造装置搬入も終え、試作を始めていることから、2016年第4四半期から量産と出荷を始めるという当初の計画どおりに進む見通しである。