東京の「銀座4丁目交差点」と聞いてピンとくる人は少ないかもしれないが、「和光の時計台」があるところ、と言えばその光景が浮かんでくる人は多いのではないだろうか。3月31日に「東急プラザ銀座」がオープンした数寄屋橋交差点と並び、銀座の象徴的な風景を作ってきたこの交差点に、9月24日から新たな商業施設がオープンする。サッポロ不動産開発による「GINZA PLACE(以下、銀座プレイス)」だ。

○サッポロと銀座4丁目交差点との古い縁

銀座プレイスの事業主であるサッポロ不動産開発は、サッポロビールに代表されるサッポログループの一員。銀座プレイスが建つ銀座4丁目交差点に面した立地も、サッポロビールの歴史との密接な関係を秘めている。

サッポログループが「日本麦酒醸造会社」として産声を上げたのは、明治20年(1887)のこと。現在の銀座2丁目に設立され、その後は明治32年(1899)に銀座8丁目で日本初のビヤホール「恵比壽ビヤホール」を開業した。このように、もともと銀座との関わりが深い会社ではあったが、同社と「銀座4丁目交差点」との縁が結ばれるのは明治44年(1911)のことだ。

この年、銀座4丁目の角に、築地精養軒(後の上野精養軒)が経営するレストラン「カフェー・ライオン」が誕生。昭和6年(1931)には、日本麦酒醸造会社から社名を改めた大日本麦酒(後のサッポロビール)が同店の経営を始めた。この時、店名も「ライオンヱビスビヤホール」に改名。昭和24年(1949)には愛称であった「銀座ライオン」を正式な店名とし、今に至るまで受け継がれている。

こうして生まれた「銀座ライオン」の1号店は、昭和43年(1968)に建て替えによって惜しまれながらも一度閉店。その後の昭和45年(1970)、同地に「サッポロ銀座ビル」が完工し、「銀座ライオン」も地下で営業を再開した。

そして2016年9月24日、サッポロ銀座ビルは銀座プレイスとして生まれ変わる、というわけだ。地下1階・2階の銀座ライオンも、ビルの開業に先駆けて8月3日から営業を開始している。

○コンセプトは「発信と交流の拠点」

サッポロホールディングス代表取締役社長兼グループCEOの上條努氏は、同施設について「銀座のこの場所から、世界や日本各地に向けて、"常に歴史と伝統を守りながらも新しいものを目指していく"という銀座の良さを発信していきたい。そうした思いも込め、施設のコンセプトを『発信と交流の拠点』としました」と語った。

「発信と交流の拠点」をコンセプトとする銀座プレイスには、主なテナントとして「銀座ライオン」「優雅なきもの つゞれ屋」「NISSAN CROSSING」「common ginza」「ソニー ショールーム/ソニーストア」「ソニーイメージングギャラリー」「THIERRY MARX/BISTRO MARX」などが入居する。また、10月27日には鉄板焼きレストラン「神戸プレジール銀座」、11月22日にはスリランカのスパショップ「SPA CEYLON」もオープン予定だ。

伝統から先端まで、日本の上質な「モノ」「コト」を発信する銀座プレイス。そのテナントを見ていこう。

○「銀座ライオン」でここだけのクラフトビールを!

まずは、地下1,2階の「銀座ライオン GINZA PLACE店」を紹介。前述の通り8月3日に先行オープンしており、銀座駅直結とアクセスも抜群。地下1階は「BRASSERIE LION」(以下、ブラッスリー)、地下2階は「BEER HALL LION」(以下、ビヤホール)と異なる業態で営業している。

「ビヤホール」は、銀座ライオンのオーソドックスな業態となる。なので、ここでは地下1階の「ブラッスリー」に注目したい。同店は、喫茶やランチ、ディナーなど、1日を通してカジュアルな利用が可能。おつまみメニューからメインディッシュまで多彩な料理をそろえている。

中でも注目メニューは、「クラフトラベル」の名を冠した多数のクラフトビールだ。「クラフトラベル 柑橘香る ペールエール」(600円)や「クラフトラベル 香り踊る ジャグリングIPA」(780円)などのほか、月替わりで「クラフトラベル シークレットタップ」と呼ばれる数量限定のドラフトビールも提供。取材時は、秋が深まる季節にピッタリという「ライ麦スタウト樽生」(900円)が用意されていた。

「国産ムール貝のワイン蒸し」(1,980円)や「トマホークステーキ」(4〜5人用・8,600円)など、クラフトビールに合う料理のラインアップも充実。アクセスの良さを生かして、気軽に立ち寄りたい。

●information
銀座ライオン GINZA PLACE店/BRASSERIE LION(ブラッスリー)
階数: 地下1階
席数:全91席
営業時間: 月〜土曜日 10:00〜23:30(L.O.22:45),日曜日・祝日 10:00〜22:30(L.O.21:45)

●information
銀座ライオン GINZA PLACE店/BEER HALL LION(ビヤホール)
席数:全154席
階数: 地下2階
営業時間: 月〜土曜日 11:30〜23:00(L.O.22:15),日曜日・祝日 11:30〜22:00(L.O.21:15)

○フルーツの力あふれる直営カフェ

3階には、サッポロ不動産開発の直営店舗である「common ginza(コモン ギンザ)」がある。カフェ「RAMO FRUTAS CAFE(ラモ フルータス カフェ)」とイベントスペース「PANORAMA GALLERY(パノラマギャラリー)」から成るこの空間は、施設コンセプトの「発信と交流の拠点」を象徴する場でもあるそうだ。

イベントスペースとカフェスペースに境はなく、開催されるイベントによってフレキシブルにその比率を変える。「RAMO FRUTAS CAFE」はスペイン語で"果物のブーケ"を意味し、店名の通りにフレッシュなフルーツをふんだんに使用したメニューを提供する。

「フルーツアラモード(フルーツ&ハム、チーズ)」(1,780円)、「ビーツ&ベリーのレイヤースムージー」「ケール&キウイのレイヤースムージー」(共に880円)、「季節のフルーツパンケーキ」(ドリンク付き・1,550円)、「季節のフルーツブーケパフェ」(1,350円)、「カボチャとアプリコットのグラタン仕立て タルティーヌプレート」(1,680円)など、ドリンクやスイーツから食事まで、野菜やフルーツをふんだんに使ったボリューミーなメニューがそろう。

また、サービスの「Fruit Water(フルーツウォーター)」や「Halb Water(ハーブウォーター)」が充実しているのもうれしい。自然の力で、たまった疲れをリフレッシュできそうな店だ。

●information
RAMO FRUTAS CAFE(ラモ フルータス カフェ)
階数: 3階
席数:全96席
営業時間: 10:00〜21:00(L.O.20:00/ドリンクL.O.20:30)
※イベントの開催により、営業時間および席数の変更、休業の可能性あり

○パリ2つ星レストランが初出店

7階には、フランス・パリの二つ星レストラン「シュール ムジュール パール ティエリー・マルクス」総料理長であるティエリー・マルクス氏の監修による世界初出店のレストランが2店登場する。

1つは、ガストロノミーレストラン「THIERRY MARX(ティエリー・マルクス)」だ。マルクス氏の自宅に招かれたような温かみのある空間で、クリエーティブかつ繊細なフレンチを味わえる。メニューとしては、"さまざまな料理を口の中で同時に味わう"というコンセプトを表現したスペシャリテ「貝のジュレとクリーム、キャビア」などをラインアップ。

同店はランチコース1万5,000円、ディナーコース2万円〜で、ドレスコードとして男性は上着または襟付きシャツの着用を推奨。大切な日に大切な人と楽しみたいレストランだ。

●information
THIERRY MARX(ティエリー・マルクス)
階数: 7階
席数:全32席/個室2室(最大8人)
営業時間: 11:30〜15:00(L.O.14:00)、17:30〜22:00(L.O.21:00)
定休日: 日曜日
※ドレスコードあり。個室以外の席は中学生以上の利用者のみ。サービス料12%。詳細は公式WEBサイトにて

○カジュアルで上質なグランビストロも

同フロアにある「BISTRO MARX(ビストロ マルクス)」は、カジュアルにフレンチを楽しめる"グランビストロ(ワンランク上質なビストロ)"。素材と製法にとことんこだわった「ブリオッシュ」(1,500円)を始め、国産黒毛和牛とブリオッシュのバンズを使った「マルクスバーガー」(2,900円)、築地直送の鮮魚による「市場より 本日の魚介のマリネ」(2,100円)、香味野菜やフレッシュトマトと共に5時間煮込んだ「仔羊の煮込み 白いんげん豆」(3,200円)など、シンプルな素材を生かしきった料理がそろう。

和光の時計塔を正面に臨むテラス席では、夜は「プレミアムテラスバー」として、一流のバーテンダーによるフルーツカクテルやシャンパンを堪能できる。銀座で過ごす時を心ゆくまで楽しめるロケーションも魅力的だ。

●information
BISTRO MARX(ビストロ マルクス)
階数: 7階
席数:全74席/うちテラス席20席
営業時間: 11:00〜23:00(L.O.22:30)、プレミアムテラスバー 23:00〜2:00(L.O.1:30)
定休日: 不定休/プレミアムテラスバーは日曜日および祝日
※サービス料10%

○"伝統と革新"の発信拠点が充実

飲食店以外にも、同施設では日本の伝統・先端技術を発信するテナントが多数入居する。1階の「優雅なきもの つゞれ屋」は、古典きものと帯の数々を扱う老舗呉服店。ファッションの発信基地である銀座において、日本伝統衣装である古典きものを継承しつつも、新たなきもの文化も演出。銀座を訪れた"きものユーザー"にこだわりの品々を紹介する。

1,2階の「NISSAN CROSSING(ニッサン クロッシング)」は、日産自動車の自動車の展示はもちろん、ステージでのプレゼンテーションや大型タッチスクリーンでの情報発信などを実施。"クルマとヒトと社会との新しい関係"を体験できる発信拠点となる。

4〜6階では、ソニーによるショールームやソニーストア、ソニーイメージングギャラリーなどを展開。ソニーストアでは、デジタル一眼カメラやXperia、ウォークマン、PlayStationなど最新のソニー製品を体験・購入できる。また、ソニー製品の使い方や他の機器との接続など、ソニー製品を楽しむためのアドバイスを受けられる総合相談窓口も設置。「ソニーイメージングギャラリー銀座」では、フォトグラファーによる写真ギャラリーを楽しめる。

○銀座はどう変わりゆく?

銀座のシンボルの1つである時計塔を抱く銀座4丁目交差点に、新たに誕生した銀座プレイス。冒頭で触れたように、同じく銀座の象徴的な交差点である数寄屋橋交差点に「東急プラザ銀座」が誕生したことも記憶に新しい。

そして、両施設に共通するのは「伝統と革新」というキーワードだ。国際都市として常に時代の先端を走り続けながらも、この国に古くから伝わる美意識や哲学を継承していく。そんな信条が今の銀座の原動力なのかもしれない。

※価格は全て税別。営業時間および定休日は店舗により異なる。記事中の情報・価格は2016年9月取材時のもの