科学技術振興機構(JST)は3月17日〜20日、茨城県つくば市において「第6回 科学の甲子園全国大会」を開催。各都道府県の選考を経て選抜された47校・361名の高校生たちが科学に関する知識やその活用能力を競った。本稿では大会3日目の実技競技「ばんえい競争 in つくば」および表彰式の様子を中心にお届けする。

○「科学の甲子園」は今年で6回目

「科学の甲子園」は、国立・公立・私立の高等学校、中等教育学校後期課程および高等専門学校等の生徒を対象としたもの。科学技術・理科・数学などの複数分野の競技を開催することにより、科学好きの裾野を広げるとともにトップ層の生徒の学力を伸ばすことを目的としている。今年で6回目となるが、今回は682校・8244名のエントリーがあり、参加校数は過去最高となった。

全国大会では、理科・数学・情報分野やその複合的な問題を解く筆記競技および実技競技が行われ、1校単位で編成される6〜8名のチームごとにその成果を競い合う。今回は、筆記競技および2つの実技競技(化学、地学分野)が大会2日目に、テーマが事前に公開される実技競技が大会3日目に行われた。

○4足歩行ロボットと電源車を製作してレースを行う実技試験

大会3日目に行われた実技競技「ばんえい競争 in つくば」は、用意されている工具と材料を使って馬に見立てた4足歩行ロボットと4輪の電源車を60分の制限時間内に製作し、それを用いてレースを行うというもの。内容は事前に公開されており、各チームはこれに向けて練習を重ねてきている。

電源は、熱電素子の一種であるペルチェ素子を利用。発熱剤で同素子の片面を温め、保冷剤で片面を冷やし、その温度差により生じる電圧を用いて1.5Vのモータを回転させ、ロボットを動かすという原理になっている。ロボットは、市販のギアボックスを組み立て、モーターで出力シャフトを回し、その動力を4つの足に伝えて歩行をさせるという仕組み。したがって、電源車内の温度差を長時間維持させること、スムーズに4足歩行させることの2点がポイントとなってくる。

レースでは、約4mのコースを同ロボットに走らせ、そのタイムを競う。ゴールできない場合は、120秒の制限時間内に進んだ距離に応じた得点が付与されるというルールになっており、2種のコースで行われる予選を通過した上位8チームが決勝に進出した。

同競技の成績トップとなったのは、予選・決勝とも圧倒的な強さを見せた岐阜県代表の岐阜県立岐阜高等学校。同校のロボットのいちばんの特徴は、足をカンガルーの足のような形にすることで歩行中に重心が上下しないよう工夫されていた点。また、ペルチェ素子の配置や発熱剤の反応時間などを徹底的に研究することで、発電効率を追求した点も勝因になったといえる。

○総合優勝を勝ち取ったのはどのチーム?

3つの実技競技と筆記競技の得点をすべて合わせた総合成績においても、上記の「ばんえい競争inつくば」で最高得点を獲得した岐阜県代表・岐阜県立岐阜高等学校(岐阜高校)が優勝。過去6回すべての全国大会に参加してきた同校にとって、悲願の初優勝となる。第2位は奈良県代表・東大寺学園高等学校、第3位は、愛知県代表・海陽中等教育学校となった。

岐阜高校は、全員が2年生の8名チーム。キャプテンの高島優さんは、「長いあいだこの日の優勝に向かって、8人で先輩・後輩の思いをすべて背負ってきた。難しい問題もあったが、仲間と努力を信じてやってきた成果が優勝に結びついて嬉しい」とコメント。過去の全国大会出場経験から、事前にテーマが公開される実技競技の重要性を把握しており、内容公開後にしっかりと戦略を立てて下準備を進めてきたことが勝因であったと分析していた。同チームは、科学好きな高校生が集う米国のイベント「サイエンス・オリンピアド2017」に招待されるという。

来年度の「第7回 科学の甲子園全国大会」は場所を移し、埼玉県にて開催される。なおつくば市では来年度から、同大会の中学校部門である「科学の甲子園ジュニア」が開催される予定となっている。