観ようと思っていた映画の内容を友達にバラされたという経験はありませんか?バラした本人には悪気がなく、ついつい口を滑らせてしまっただけかもしれません。でも、バラされた相手にとっては、「訴えたいくらい腹が立つ!」と怒りがおさまらないことも…。では、実際にネタバレした相手を訴えることはできるのでしょうか?アディーレ法律事務所の弁護士・吉岡一誠先生に伺いました。

■ ネタバレは訴えることができる!

すごく楽しみにしていた映画や、読み終わっていない小説のラストをバラされると、楽しみを奪われてとてもショックですよね。その「精神的苦痛」を被った場合には、ネタバレしてきた相手を訴えることができるのです。

>吉岡先生「裁判上、精神的苦痛もれっきとした損害であり、金銭的価値に置き換えられて損害額が算定されます。したがって、未読の小説や未見の映画のラストをばらされたことによって精神的苦痛を被ったということであれば、訴えること自体は可能です」

※ 精神的苦痛を理由に損害賠償請求を起こすことができる

◎ 慰謝料を請求するには?

裁判所に訴え出ることは可能ですが、必ずしも慰謝料がもらえるわけではありません。ネタバレ行為を「不法行為」にあたるとして損害賠償責任が認められるためには、一定の要件を満たす必要があります。実際に慰謝料が認められるためには、高いハードルがあるそうです。「権利または法的に保護される利益の侵害があった」といえることが必要になります。

>吉岡先生「例えば、小説の場合、まだ購入すらしていないようなケースでは、いくら本人が『ラストを明かされたくない』と思っていても、その期待が法的保護に値する利益とは認められない可能性が高いと思われます。長年そのシリーズのファンであったとか、その小説をすでに購入していて近々読む予定であったとか、様々な事情から、法律上の保護に値すると認められる必要があるでしょう」

※ 慰謝料を請求するためには、「利益の侵害」を証明することが必要

◎ 慰謝料はいくらもらえる?

慰謝料の請求が認められた場合、一体いくらもらえるのか気になりますよね?"小説や映画のラストを明かされない法的利益"の侵害による精神的苦痛が裁判上認定されたとしても、かかる権利利益の価値は一般的にそれほど重要なものとは捉えられていないようです。

>吉岡先生「ケースバイケースではあるものの、通常はそこまで大きな金額になるとは考えられないので、慰謝料をもらえたとしても数万円から十数万程度かと思われます」

◎ ネタバレされる前に告知する!

そもそも、自分がその映画を観たいということを知っていながらネタバレをしたのだとしたら許せませんが、わざとではない場合でも訴えることができるのでしょうか?損害賠償請求が認められるのは、相手がまだその映画を観ていない、あるいは小説を読んでいないことを知っていながらネタバレをした場合になるようです。また、見ていない、読んでいないことを知っていながら、不注意のためにネタバレしてしまった場合も該当します。

>吉岡先生「普段からネタバレするような友人に対しては、自分の観たい映画をあらかじめ告知しておくのが望ましいでしょう」

※ 故意(わざとやった)または過失(注意すれば避けられたのに不注意でやってしまった)という事実がなければ損害賠償請求は認められない。

■ 先手を打っておくべき

自分の周りにネタバレをしやすい友人がいる場合は、ネタバレされないように先手を打っておいた方がいいでしょう。面白かった映画の話はついつい誰かに話したくなるもの。でも、うっかりネタバレしてしまうと人間関係にヒビが入り、訴訟問題に発展するかもしれませんので、自分自身も加害者にならないように気をつけたいですね。

◎ 取材協力

アディーレ法律事務所・吉岡一誠(よしおか いっせい)先生:

弁護士(東京弁護士会所属)。関西学院大学法学部卒業、甲南大学法科大学院修了。弁護士法人アディーレ法律事務所。友人がとても困っているのに、相談に乗ることしかできない自分自身に憤りを覚え、弁護士になることを決意。現在は悩んでいる方のために、慰謝料問題や借金問題などを解決すべく、日々奔走している。

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(著&編集:nanapi編集部)