銀河系のうち、太陽系を含む「腕」の部分が従来考えられていたより4倍も大きかったことが明らかになった。

 オンライン科学誌「Science Advances」に9月28日付けで発表された論文によると、私たちの周りの星、ガス、塵が集まる領域は2万光年の長さを持つ。ローカル腕やオリオンスパー(弧)、またはオリオン・はくちょう腕などと呼ばれる部分だ。

 つまり銀河系は、かつて科学者が考えていたよりも対称性が少し高く、規則正しい形をしていると、論文の共著者の1人で米ハーバード・スミソニアン天体物理学センターのマーク・J・レイド氏は言う。銀河の構造に詳しくなったところで、重力や私たちに働くその他の力への理解までが変わるわけでないが、今後、銀河系の大規模な特徴をよく知る助けにはなるだろうとレイド氏は記している。

 ローカル腕はそれでも、銀河系の主要な4つの腕と比べるとかなり短い。4つの腕は約8万光年にわたり中心から渦状に伸びている。銀河系の直径はおよそ10万光年とよく言われるが、レイド氏によると、最近の証拠を考慮すれば、星の密度が急激に減少する端の間の直径は7万光年程度だろうという。

「ローカル腕の距離を実際に測定してみて驚きました。近隣の腕にあると思っていた物質の多くが、実はローカル腕の一部だったのです」

 論文では、ローカル腕のピッチ角(銀河の円盤面に対する腕の角度)と星形成速度も、他の大きな腕に近いことも報告された(たて・ケンタウルス腕といて・りゅうこつ腕が2大腕である)。小さな弧の場合は、主要な腕を含めた円盤面と交差する方向に伸びる傾向がある。つまり、私たちの太陽系が含まれるローカル腕は、サイズこそ比較的小さいものの、弧より本当の腕に近い。

 銀河系には数十億(から数千億)の星のほか、たくさんのガスや塵が含まれる。私たちの銀河は(薄さわずか1000光年の)平らな円盤形をしており、全体的に見ると多くの銀河に比較的よく見られる渦状だ。

 太陽系は、銀河系の中心から縁までのおよそ4分の3のところに位置しているとレイド氏。太陽は約2億5000万年かけて銀河を1周する。

 ローカル腕の長さを測るため、5カ国の科学者からなる研究チームは、太平洋のハワイからカリブ海のバージン諸島まで、10カ所に広がる電波望遠鏡群「超長基線アレイ(VLBA)」で電波を観測した。これらの望遠鏡の調整はニューメキシコ州の基地から行った。

 同望遠鏡群は、銀河系の精密な3D地図をつくるという野心的なプロジェクトで使用するため、2010年に完成したものだ。

「銀河系の中にいる私たちは、その全容を見ることはかないません。人々が地球を外から眺めたいと思っていた500年前と同じような状況です。そこでこのプロジェクトでは、さまざまな地域の間の距離を測定することで、銀河系の性質をより深く理解することを目指しています」とレイド氏は述べている。データは銀河系の質量の見直しにも役立つだろう。

 ブラジル、ポルトアルグレにあるリオグランデドスール連邦大学のデニウソ・カマルゴ氏は、ニューヨーク・タイムズ紙のインタビューに答え、新たな論文は「私たちの銀河へのより深い理解に貢献するでしょう」と述べた。カマルゴ氏はこの論文には関わっていない。

 5月には別の科学者らが、銀河系が予想よりもスリムで、わずか太陽の7000億倍の質量に過ぎないことを発表している。