旅行クチコミサイト大手の「トリップアドバイザー」とそのチケット販売会社ビアターは10月11日、野生動物を残酷に扱う観光地のチケット販売を終了すると発表した。これまでは旅行の宣伝時に動物愛護を考慮することに抵抗を示していたが、方針を転換した。

 世界有数の人気を誇る旅行情報サイトであるトリップアドバイザーは、ゾウに乗ったり、イルカと泳いだり、トラなどの珍しい動物に触ったりできるチケットの販売を取りやめた。この動きは、ロンドンに拠点を置く動物愛護団体ワールド・アニマル・プロテクションが1年半におよぶ反対キャンペーンを行った後に決定された。その経過を取材したナショナル ジオグラフィックのワイルドライフ・ウォッチのレポートによって、多くの旅行会社がそのようなチケットの取り扱いを中止する中でも宣伝を継続していたトリップアドバイザーが注目されることになった。

 このようなアトラクションは、精神的、物理的に動物を傷つけることになり、それによって動物の寿命が縮むとも考えられている。さらに、観光目的で多くの動物が野生環境から捕獲されることにもなる。

 ゾウが観光客を運ぶように訓練される際には、先端に釘がついた棒でたたかれ、小さな檻に閉じこめられる“クラッシュ”と呼ばれる課程を体験することが多い。トラやライオンは、観光客が安全に触ったり写真を撮ったりできるように薬を投与される。観光客と一緒に泳がせるために捕らえられたイルカは、野生でするように狩りをしたり泳ぎまわったり遊んだりはできない。そのため、ストレスがたまり、異常な行動をとることがある。

 ナショナル ジオグラフィックが今年、トリップアドバイザーにその方針について問い合せたところ、広報担当者は、動物のアトラクションに関して顧客を特定の方向に誘導するのはトリップアドバイザーの役割ではないと回答していた。

 しかし今後、トリップアドバイザーは多くの動物関連アトラクションの販売を中止するだけでなく、旅行者向けの教育サイトを開設し、さまざまな野生の観光名所での動物保護や環境保全の重要性について説明するという。このサイトには、ワールド・アニマル・プロテクション、オックスフォード大学の野生生物保護調査ユニット(WildCRU)、動物の倫理的扱いを求める人々の会といった、動物の保護や維持が可能な旅行を提供する団体も関わる予定だ。

 トリップアドバイザーの社長兼CEOであるステファン・カウファー氏は、声明の中で「弊社の新しい予約方針と教育努力は、動物の健康や安全基準の改善を支援するという目的のもと、弊社が担うべき役割を果たすための手段としてデザインされています。これは特に、規制による保護が限定されている市場を視野に入れたものです」と述べている。

 一部のアトラクションのチケットの販売は即時に中止し、その他のチケットも教育サイトがリリースされる2017年初頭までに販売を終了する予定だ。

 動物アトラクションに関するクチコミは、予約できなくなるものも含めてそのまま継続され、今後、教育サイトにリンクされることになる。

「弊社の努力の結果、旅行者は動物アトラクションを訪れるかどうかについて賢明な選択をできるようになり、今までよりも有意義なクチコミを書けるようになると確信しています」とカウファー氏は述べている。

 昨年にワールド・アニマル・プロテクションとWildCRUが合同で行った研究によると、野生動物のアトラクションが人道的なものかどうかを旅行者が判断するのは難しい。トリップアドバイザーでは、専門家が明らかに非人道的だと判断するアトラクションが高い評価を得ることが多いこともわかった。たとえば、投稿者はトラのアトラクションに「すばらしい」「とてもよい」などと非常に高い評価をつけているが、研究者たちはこれをもっとも非人道的な部類に分類している。

 ワールド・アニマル・プロテクションのCEO、スティーブ・マカイバー氏は、トリップアドバイザーが顧客の教育に乗り出すのが重要なのはそのためだと語る。

 マカイバー氏は電子メールにこう書いている。「動物の虐待は、旅行業界の副産物として秘匿されています。トリップアドバイザーでは、毎日数百万人もの人が何を見、何をするかを探しています。これは、たくさんの残酷な野生動物アトラクションの販売を終えることに向かう大きな一歩です。トラと一緒に自撮り写真を撮ったりゾウに乗ったりする野生のエンターテイメントは行うべきではないのです。そのようなメッセージを旅行業界や何百万人もの顧客に送ることができるのです」