白河桃子の「“キャリモテ”の時代」 【第17回】結婚という女の“着地点”に変化あり “ロスジェネ女性”は、なぜフリーターとつき合うのか?
最近「若者論」が盛んだが、未婚女性の結婚への道のりを取材していると、女性たちの“着地点”が世代別に変わってきている、と実感することが多い。『なぜ若者は「半径1m以内」で生活したがるのか?』(岸本裕紀子著、講談社)を読んで「なるほど」と思ったのだが、「半径1メートル以内でまったり暮らしたい」若者の恋愛や結婚観は、その上の世代とは全く違ってきているのだ。
20代後半女性の未婚率は59%(2005年国勢調査)だが、彼女たちの結婚願望は決して低くない。むしろ前の世代よりも保守的で「負け犬恐怖」が強く、30代までに結婚したいと強く望んでいる。結婚情報サービス「オーエムエムジー」の新成人女性の調査によると「早く結婚したい」と答える女性は、2003年は11%なのに、2005年には22.3%になっている。
早婚志望なのに結婚できないのはなぜか? 20代の働くシングル女性によれば、フリーターとつき合っていて、「彼氏の年収が低くて、結婚できない」という話をよく聞く。皆、エビちゃん(モデルの蛯原友里さん)みたいな格好をして、30歳までに一刻も早くいい男と結婚しようと頑張っている。それなのに、なぜ「彼氏がフリーター」ということになるのだろうか。
この連載の第10回で、「紀香的決断」に関して秀逸なコメントをくれたユミさん(25歳、メーカー勤務)と久々に会った。彼女は今、ニートの彼氏とつき合っているというから驚いた。
ユミさんは以前、「仕事ができて高収入、家事も手伝ってくれて、遊んでも楽しい人」という限りなく“狭い着地点”を求めて合コンを繰り返し、「結局、結婚に対して欲張りすぎ」という自分にため息をついていたPRウーマンだ。それが、半年間にこの変わりようである。一体彼女に何が起きたのか?
身近なニート仲間と一緒にいるのが心地よい
今の彼は大学時代の遊び仲間だという。学生時代に起業したそうだが、失敗したらしく、久々に会ったらその仲間のうち2人の男性がニートになっていた。でも彼らは皆、目黒区あたりの一戸建てに親と一緒に住む、裕福な“パラサイトニート”。週末は必ず仲間の家に集まって飲み会。外で飲むと、お金がかかるからだそうだ。
自営業を営む彼の父母とも仲がよく、一緒に深夜まで“家飲み”。親も「しょうがないわねえ」と言いながらも、自分の息子がニートであることを深刻に悩んでいるふうでもない。ぬるい空気が心地よくて、平日の夜にしゃれたバーに集まる金融やIT(情報技術)、マスコミの友人よりも、ニート仲間と家でまったり週末を過ごすことが楽しくなった。
「俺たち、つき合わない?」。花火大会の帰り、2人きりになった瞬間に、彼はユミさんにちゃんと告白してくれた。「藤原紀香の気持ちがよく分かります。こうして、きちんと告白されてつき合うことなんて、もう長い間なかったような気がしたんです」とユミさん。
この後、いつものように仲間の家に行くと、「どうだったの? 結果によっちゃ、シャンパン開けようと思って待ってたのよ」と友達のお母さんに言われた。皆家族仲がよくて、彼女を大切にしてくれる。周りの仲間もみなカップル同士で、「お前たち、いい加減はっきりしろよ」とずっと囃されていたのだ。
前の彼の時は、合コンや遊びに誘う彼の友達はみんな“敵”だった。でも今は、彼の友達もその彼女も、味方ばかりだ。「今までつき合った人は仕事や肩書きが立派で、いつも私の立場が下。彼は忙しいから、電話やメールするのにも気を使っていました。週末だって、彼が仕事でなかなか会えない。…でも、そんな生活に疲れちゃった。今の彼はいつでも会えるし、連絡も“即レス”してくれるから、すごく楽です」
自分に不利益でなければ、相手がニートでもいい。今が楽しければいいというユミさん。様々な経験を経た今、「まず、男性を外見で見なくなった。そして今では、仕事すら、それほどできる人でなくてもいいと思うようになりました」。
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