今年も飛び交う「日本みたいになるぞ」報道

gooニュース・JAPANなニュース2010年7月27日(火)13:00

英語メディアが伝える「JAPAN」をご紹介するこのコラム、今週は「日本みたいに」という報道についてです。米欧の経済専門家たちがこぞって、「緊縮か景気刺激か」を議論しあう中で、「日本みたいに」というのがひとつの指標として取りざたされています。それは残念ながら「日本みたいになりたい」ではなく、「日本みたいになってしまうぞ」という反面教師としてなのですが。(gooニュース 加藤祐子)

○マイクみたいにはなれないが

かつて1990年代のアメリカには、「Be like Mike」(マイクみたいに)という人気フレーズがありました。アメリカの少年たちの憧れがギュッとつまった言葉でした。というのもこの場合の「マイク」はNBAのスーパースター、マイケル・ジョーダンだったからです。マイケル・ジョーダンが出演するスポーツ飲料CMのキャッチコピーで、つまりマイクみたいにこれを飲めば、マイクみたいになれるよ……という幻想を植え付けるためのものでした。もちろんそれは幻想で、ジョーダンと同じものを飲んでもジョーダンになれるわけはないのですが、それを言ってしまってはテレビCMというものがそもそも成り立たない。いずれにしてもこの「Be like Mike」という言葉には、バスケ少年たちの切なくもキラキラした憧憬が詰め込まれています。

その真逆の意味でここ数年よく使われているのが「日本みたいに(like Japan)」という警告です。「like Mike」のように韻を踏んでいないからイケテないだけでなく、その意味するところも、いやはや……。7月26日付の米『ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)』紙と米『ロサンゼルス・タイムズ』紙が同じ日に、「日本のようなデフレ状態にアメリカも直面するかもしれない」という内容の記事を載せました。それを読んで私は、何とも言えないデジャヴュ感を覚えました。というのもよく似た論調のコラムを、去年の秋に書いた覚えがあったからです。

日本みたいになってしまうぞと英米の経済紙が警告」と去年の10月末に書いたとき、英『フィナンシャル・タイムズ (FT)』紙とWSJは、金融危機以降の各国中央銀行は資金の大量投入で景気刺激をねらったものの、それが実体経済の成長につながっていない懸念がある。それはまさにバブル崩壊後の日本の失われた10年に似てはいないか。とても心配だ——という論調で書いていました。

それから約9カ月。金融システムの破綻は救われたものの、実体経済は成長しない、いよいよデフレの危険が迫ってきたのではないか。しかも日本の二の舞のような、ずるずると10年間も続いて対策の見あたらないデフレが……というそんな危機感が両紙の記事からうかがえます。

WSJのジョン・ヒルセンラス記者はこう書きます。「デフレというおなじみのお化けがアメリカ経済の懸念材料として再登場している。(中略)日本のデフレを10年以上も研究した結果、エコノミストたちは次第に、自分たちはデフレの仕組みを何も分かっていないと気づき始めている」。

いわく、デフレとは大恐慌的な極端な需要と物価の大幅下落のことだと思われていたのだが(1929-1933年にかけて米消費者物価は27%下落)、「日本の経験はそれとは全く違う。ひどく破壊的で数年間に集中するものというよりは、(日本のデフレは)驚くほど緩やかで長期にわたる。日本の消費者物価は15年間も下がり続けているが、単年の下がり幅は2%を超えたことがない。日本のデフレは泥沼ではあるが、多くのエコノミストが予測したような破壊的な下方スパイラルにはなっていない」のだと。そして経済の専門家たちはこの理由が解明できていないのだと。

日本式の長い景気停滞がアメリカでも発生するならば、それは「大恐慌式のデフレスパイラル」ほどひどいことにはならないかもしれない。それは良いことだ。しかし日本式の景気停滞ならば、だらだらと何年も長引くかもしれない。それはよろしくない。いずれにしても、デフレの仕組みがまともに理解されていな いので、良い解決法も見つからないという事態になりかねない——というのです。

記事は、日本の長期的デフレの展開が経済学者の予想を裏切ってきた理由として考えられるものを色々あげていますが、中でも興味味深いのは、消費者心理が経済環境に与える影響です。消費者が「インフレがひどくなると信じれば、賃上げを要求し、価格上昇を引き起こす。人々が、物価は変わらないか下がると思うなら、それに応じて行動し、自分たちが期待する環境を作り出す。日本がゆるやかなデフレ状態にはまりこんでいるのは、そういう状態に日本の家庭や企業が時間を掛けて慣れきってしまったからかもしれない。2002年から2007年にかけて景気が回復した時も、物価は下がり続けた」と。

つまり消費者心理が冷えきってしまって回復しないということかと思います。加えて、よく言われる、回復の実感なき景気拡大の問題と、内部留保の問題と。もっとお金を使いましょう、でないと経済が回らないといくら言われても日本人が使わないのは、それは所得が増えた実感がないから。そして、社会保障のセーフティネットが信じられないから。だとすると、そこから先はエコノミストではなく政治家の仕事のように思うのですが。余談として。


ブログCheck   

この記事の内容に類似する記事


注目のトップニュース
天皇陛下17日入院…前日まで公務
志位氏、橋下氏の職員調査を批判
わずか16mm、最小カメレオン発見
インフルで出社、業務が完全停止
サラリーマン川柳に節電とスマホ
スマホ液晶強化でも保護は必要?
小雪、出産後も変わらぬ美しさ
「ポスト・ダル」作る必要なし?

東日本大震災におけるNTTグループの取り組み


gooニュースのおすすめ
r-talk
どこでも電話会議ができる「R-Talk」 軽くて簡単、乾電池でも作動!固定電話もケータイも繋がる「R-Talk」の実力とは
bizfax
インターネットFAXソリューション「BizFAX」 クラウド技術でFAXはここまで進化した!仕事の効率を高める「インターネットFAX」とは
ロイター銘柄レポート ・株式投資の初心者からプロ級の方までしっかりサポート
・上場全銘柄の最新詳細データを掲載
東日本大震災情報
東日本大震災情報 東日本大震災情報震災・原発事故、被災者の方への最新情報はこちらから
ニュース畑復興へ、あなたの提言をニュースを議論する場「ニュース畑」では、復興へ向けたさまざまな提言を募集します。
ピックアップ写真

すべてのメガピクチャーを見る

 
投票

テレビ、何台ある?

  • 1台
  • 2台
  • 3台
  • 4台
  • 5台
  • 6台以上
  • テレビありません
Twitterで話題のニュース
Twitterの検索結果からツイート数が急上昇したニュース記事を表示しています。
1 CNN.co.jp:「ハートアタックグリル」の客が心臓発作、6千キロカロリーのバーガーで(CNN.co.jp)
1 食後すぐの歯磨きはNG 虫歯予防の新常識(日本経済新聞)
1 capsuleヤスタカ制作「ライアーゲーム」サントラ試聴開始(ナタリー)
1 GLAY真夏の大阪でスタジアムライブ「HOTEL GLAY」2日間(ナタリー)
1 札幌市営地下鉄南北線3000形が3月引退! 記念の共通ウィズユーカードを発売 | ライフ(マイナビニュース)
最新ランキングを見る
注目の経済ニュース
燃える氷の資源化、温暖化も課題
初代「のぞみ」の指定券、即完売
家庭向けの値上げ7月に?東電
日銀の緩和にBBC「嬉しい驚き」
中国企業がiPad販売差し止め圧力
遠隔手術ロボット開発で副産物も
レクサス、米品質調査で再び首位
ホンダに転機?異例のNSXナイト
写真ギャラリー
写真ギャラリー
鉄道
出発進行!国内外の列車
おすすめ動画 - gooブロードバンドナビ
毎週水曜更新!大前研一ライブ大前研一が世界の1週間を動画で解説する人気番組
毎月更新 戦略家の心得新サービス、新規事業を立ち上げる時に求められる「戦略を構想する力」を学ぶ
「高速×安全×便利」でgooへのアクセスがさらに快適に
おすすめコンテンツ
gooのお知らせ
gooランキング通信寒い冬のアツアツお鍋「欠かせない王道の具」といえば?手作り温かレシピにチャレンジ!
gooトップページ「アクエリオンEVOL」の声優さんらのサイン入りレアグッズが当たるキャンペーン実施中!
gooニューススマホやケータイ、普通の電話機が音声会議システムに変身!?簡単過ぎるタブレット型音声会議とは?
IE9.0goo版「Internet Explorer 9.0」「高速×安全×便利」でgooへのアクセスがさらに快適に
gooランキング通信“モテ女”への近道?今、押さえておきたいメークのポイントをランキングでチェック!
gooニュースサービス説明