ワイドショーなどで初日の様子が映し出され、盛況にさらなる拍車がかかっている「第52回元祖有名駅弁とうまいもの大会」。記者は2日目のこの日も会場に馳せ参じ、あまたの駅弁に舌鼓を打っている。

 平成29年にかけて「肉推し」となっている今大会だが、今年は「酉年」。やはり鳥系駅弁も見逃せない。あまたある鳥系駅弁のなかで、記者が思わず唸った2品を紹介したい。

◆熊本地震に負けるな!運休中の駅からやってきた「幻の駅弁」


 昨年4月に起きた熊本地震で、運休の憂き目にあった第三セクターの南阿蘇鉄道。鉄道マニアの間では日本一名前の長い駅(南阿蘇水の生まれる里白水高原駅)がある鉄道として有名である。17.7kmの運行区間のうち約半分が現在も運休中というが、その運休中の駅の名物駅弁が、現地からの輸送で京王百貨店に初お目見えした。

 白地に赤丸、白抜きで「とり飯」。下には阿蘇山の麓を走るトロッコの可愛いイラスト。ド派手な掛け紙の駅弁が幅を効かせるなか、質実剛健を地で行く掛け紙がひときわ目をひく「南鉄とり飯弁当」(熊本県 南阿蘇鉄道 立野駅/700円)は、現在、販売元の立野駅が閉鎖されているため、販売も停止している「幻の弁当」だ。お値段もそのままで東京にやってきてくれる……思わず応援したくなる弁当なのだ。

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 掛け紙を外すと、飛び込んできたのは大ぶりの阿蘇産の鳥もも肉照り焼き。ひと口噛めば、上に振られたごまの香りも相まって、香ばしく柔らかい。ご飯の上には錦糸玉子、鳥そぼろ。香りの良い阿蘇高菜漬けは白米が進む影の主役だ。付け合せには味のしっかり染みた「がめ煮」(=筑前煮)、そして、くまモンの仕切り用カップに入ったなますがなんとも旨い。

 絶景が見られることで有名な南阿蘇鉄道のトロッコ。阿蘇山麓を見ながら、この弁当を頬張れたらどんなにいいか……現地で食べられる日に思いを馳せながら、じっくりと味わった一品だった。

◆肉肉しくワイルドな味わい、しゃも弁当


 お次も初登場、18日まで実演で出店しているのは「玉屋の奥久慈しゃも弁当」(茨城県 水郡線 常陸大子駅/1000円)だ。

 大子駅前ある「玉屋旅館」がひとつひとつ丁寧につくる「しゃも弁当」。旅館ではお重に入ったものが食べられる名物弁当で、33年前から旅人の舌とお腹を満足させてきた名品だ。

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 袋田の滝が描かれたシンプルな掛け紙に、今や珍しくなった掛け紐。大会初日には初出店の緊張のせいか掛け紐がスムーズに結べず大渋滞を起こしてしまっていたが、それも注文を受けてから一品一品つくる伝統のスタイルのため。女将さんが不備を丁寧にわびていたのが印象的で、思わず「がんばってください!」と声を掛けてしまったほどだ。

 掛け紐を丁寧にほどき、掛け紙を外すと、インパクト満点のしゃも肉が目に飛び込んでくる。卵のそぼろ、そしてささがきのゴボウ。シンプルで力強いビジュアルに思わず腹が鳴る。

 醬油でほんのり色がついたしゃも肉を箸で摘めば、ズシリと重い。かぶりつくと跳ね返されるかと思うほどの歯ごたえ。噛めば噛むほどしゃもの味が口に広がっていく。甘さは抑えめで、肉の味がしっかりと感じられ、思わず唸ってしまったほど。甘辛いゴボウ、卵のそぼろも相性バッチリ。ごはんもフタが盛り上がるほどたっぷりで、これで1000円は実にコストパフォーマンスが良い。

 現地では事前予約しないと手に入らないというこちらも「ハードル高め」の駅弁(出店は18日まで)。他には大定番の「鶏めし弁当」(秋田県 奥羽本線 大館駅/880円)が実演販売されるなど、酉年にふさわしく話題に事欠かない今大会、ぜひ実際に味わってほしい。

 駅弁記者は明日以降も会場に出没し、注目の味、鉄板の味、隠れた逸品、珍品をレポートします!

取材・文・撮影/駅弁記者(参加=10年連続15年目)