その一番の被害者は、大谷翔平(22)ということになりそうだ。

 3月に行われるWBCで日本代表先発陣の柱と期待されたドジャースの前田健太(28)の不参加が判明。所属するドジャースが派遣に難色を示したためで、ヤンキースの田中将大(28)も同様の理由で辞退が濃厚だ。すでにダルビッシュ(30)もレンジャーズ首脳から「出場NG」を出されており、侍ジャパン先発投手陣の根幹を担うはずだった日本人メジャーの選出は全滅の様相。小久保裕紀監督(45)は頭を抱えているだろう。

「これで、いよいよ大谷の負担が増すはずです。そうでなくても、いまだ大谷の起用法が固まっていない。先発なのか、抑えなのか、あるいは、打者なのか。当然、役割によって、メンタルを含めた準備が変わってくる。起用の選択肢が多岐にわたる異質な“二刀流選手”だけに、小久保監督が決断できずにいるのです。前田、田中、ダルビッシュの3人がいないとなれば、大谷をローテーションの柱に据える先発起用が基本線となるのが普通でしょうが、チーム内には抑え起用を推す声も根強くある。脆弱な先発陣を補うための攻撃力に重きを置いて、大谷を打者として起用したい意向も小久保監督にはある。起用法が固まるのがさらに先延ばしになる可能性がありますから、中ぶらりんのまま調整を続けざるを得ない大谷は大変ですよ」(球界関係者)

■栗山監督の牽制球

 そもそも、投打に計算の立つ大谷には、負担が集中するのではないかという懸念があった。日本ハムの栗山監督が昨年、「WBCでのリアル二刀流は無理。こっちから提案します」と発言したのは、小久保監督への牽制球ともっぱら。続けて「(滑りやすいといわれるWBCの)あのボールで壊れちゃう可能性がある。オレは怖くてしょうがない」と投手起用に関しても、配慮を求めた。

 栗山監督と日本ハムが最も恐れているのが、大谷のストッパー起用だといわれる。

 大谷は日本シリーズ進出を決めた昨季のソフトバンクとのCSで抑え登板。日本最速の165キロをマークした。が、本紙の新春特別号で日本代表の権藤投手コーチと対談した日本ハムの吉井投手コーチは、「あの試合はダメです。1イニング集中で、フォームとか関係なしに、上体の力だけで投げていた。あの投げ方だと近い将来、絶対、大きなケガにつながる。本人も投げ終わった後、『もう、肘、飛ぶかと思いました』と言っていた」と振り返っている。CS以上の注目が集まり、プレッシャーもかかるであろうWBCで、しかも、不慣れなボールを制御の利かない状態で投げたら……。栗山監督の心配はもっともだ。

■先発、抑えの二刀流

 しかし、小久保監督は年明けの日刊スポーツの対談企画で大谷の起用法に触れて、「選手を預かったときに、悪く帰してはいけないと一番に思っている。その視点からいくと、無理はさせられない」と負担の大きいストッパー起用に慎重な見解を示す一方で、「ただ本番では、無理を強いるラインが必ず来る。一応、プランにはあるんですけど……」と続けている。

「先発で起用しながら、勝負どころでは抑えも、という“投手二刀流”まで考えているわけです。アテにしていたメジャーの連中を招集できない以上、当然、大谷への依存度は高まる。野球ファンどころか、国民の注目を集めるWBCは結果がすべて。準決勝で敗退した13年の前回大会では、山本浩二監督が厳しい批判にさらされた。袋叩きにあったあの姿を見れば、小久保監督も奇麗事を言ってはいられない。今回のWBCの結果によっては、WBC以上の大イベントである20年東京五輪の野球代表監督就任の可能性も残る。45歳という年齢を考えれば、古巣のソフトバンク監督などの道もあるため、WBCで失敗してミソをつけるわけにはいかない。勝つためになんでもやりそうな雰囲気があります」(放送局関係者)

 その道連れにされそうな大谷が心配になってくる。