キャンプインを前にFA、トレード、新外国人獲得などプロ野球12球団の補強がほぼ完了した。野球評論家の西本聖氏に今オフの補強について話を聞いた。

 −FA選手を3人も獲得するなど巨人の大補強が目立った

 西本氏 巨人が一番。スキの無い補強をしたと思う。これで優勝できなきゃどうするの? というくらい選手を獲った。ただ何事も表があれば裏もある。良い面ばかりではないということ。メリットは故障者が出ても大丈夫。逆にデメリットは、ポジションは1つしかない。選手は口には出さないが間違いなくやる気がそがれる。元楽天のマギーを獲った。どこを守るの? 一塁には阿部、三塁には村田がいる。3年目の岡本なんてどう思っているのかな? 若い選手の芽を摘んでしまう。新たに選手を獲るということは、ダメだってレッテルを貼っているのと一緒だと思う。

 −投手陣ではFAで山口俊、森福、トレードで日本ハムから吉川光、新外国人でカミネロ(29=マリナーズ)を獲得した

 西本氏 弱点を補うのが補強だが、本当の補強とは「選手を育てる」ことだと思う。僕もドラフト外から入って巨人に育てられたと思っている。高木だって宮国だって10勝する力があるのに伸び悩んでいる。新しい選手を獲ることも必要だが、育てることもしっかり考えていかないと。選手を育てるコーチの補強も大事だと思う。

 −近年、外国人選手の入れ替えが非常に激しい

 西本氏 外国人というのはやってみないと分からない、投げてみないと分からない。しかも良い選手というのはまず日本には来ない。何かしら欠点を持った選手が来るのに1年以内に結果が出ないとすぐにクビにする。1年で結果が出るわけがない。でも指導者さえしっかりしていれば2年目から結果を出すことだってあるはず。数打ちゃ当たるかもしれないが、裏を返せば育てられませんということ。

 −西本さんもコーチ時代に外国人投手を指導した

 西本氏 失敗もあるけど成功した例もある。ロッテではマーフィー。カーブの使い方を教えたらシーズン途中から急に勝てるようになって12勝を挙げた。グライシンガーもそう。ロッテ移籍後の12年、最初は勝てていたのが急に勝てなくなった。「どうしたら勝てますか、教えてください」と言ってきたのでそれまでのチェンジアップとカットボールに加えてカーブの使い方、ボール球の使い方を教えた。12勝を挙げて復活してくれた。オリックスではディクソン。勝てなくなってスタッフ会議で「2軍に落とす」となったが「待ってください」と言って1軍に残した。プレートの踏み方やスローカーブを教えた。元々低めにしっかり投げ込める投手。長打を打たれることが少ないし、悪いところをしっかり把握して直せば結果を残す選手だった。

 −最後にトレードについて。今オフ成立したのは2件。巨人大田、公文と日本ハム吉川、石川慎の2対2のトレードが目立つ程度だった。西本さんも巨人から中日(中尾捕手が巨人へ)に移籍するなどトレードを経験している

 西本氏 トレードというのは新外国人の補強と違い、選手の能力が分かっている。だから計算もできるはずだし有効な手段。僕も巨人が「捕手が欲しい」ということで交換トレードで移籍した。お互いがいい形を作れるはずだし、選手を生かす意味でももっと活発になっていいと思う。