国連事務総長を退任した潘基文(バンキムン)氏が12日、米ニューヨークから韓国に帰国した。仁川国際空港で記者会見した潘氏は、「分裂した韓国を一つにまとめ、再び一流国家にする覚悟がある」と述べ、年内に実施される次期大統領選に立候補する決意を改めて示した。近く正式に出馬表明するとみられる。

 潘氏は、旧日本軍の従軍慰安婦問題を巡る2015年末の日韓合意について、当時「歓迎する」と評価していたが、「韓日間の懸案について合意したことを歓迎した」と釈明。「完璧な合意は元慰安婦の女性たちの恨みを晴らす水準に(まで)なるべきだ」と述べ、合意は十分でないとの認識を示した。

 釜山の日本総領事館前の少女像設置については「日本からの異議は承知している」とし、「過去を直視し、未来志向的に考えなければならない」と何らかの解決策が必要との考えを明らかにした。

 朴槿恵(パククネ)大統領の弾劾手続きが進む韓国の現状について、潘氏は「国はずたずたになり、経済は活力を失い、社会は不条理と不誠実さに満ちている」と指摘。その上で「政権交代ではなく、政治の交代が求められている」と強調し、朴氏の弾劾を主導し大統領選に向けて勢いに乗る最大野党「共に民主党」の文在寅(ムンジェイン)前代表らをけん制した。

 潘氏は少なくとも月末の旧正月までは表立った政治活動を控え、故郷の忠清北道訪問や市民との対話などを通じて政局の流れを見極める方針。与党「セヌリ党」や同党離党組などが潘氏の擁立を模索しており、政界再編の動きとともに韓国は本格的な「大統領選モード」に突入する。

=2017/01/13付 西日本新聞朝刊=