日本財団が2016年8月に「自殺意識調査2016」を実施、その結果を公表しました(※1)。調査結果によると、「1年以内に自殺未遂を経験した」人数は全国でおよそ53万人超と推計され、そのうち20〜30代が半数以上を占め「最も自殺のリスクが高い世代」であるとしています。また、自殺未遂者のうち、女性の49%が4回以上の未遂回数であることも明らかになっています。

 

■ 事故死よりも多い自殺

日本における年間自殺者数は1998年に初めて3万人を突破、以降2011年まで連続14年間にわたり3万人超の水準が続きました。そこからゆるやかに減少を続け、現在では約2万4千人となっています。

しかし、10万人当たりの自殺率は18.7人(2013年)と、先進国(G7)の中でワースト1位(※2)であり、統計を公開した経済協力開発機構(OECD)から注意勧告がされている状況です。またこのG7の中で、15歳〜34歳の死因の1位が自殺であるのは日本だけであり、事故死の2.5倍以上という異常事態となっています。

 

■ 自殺の要因

自殺の動機や背景には様々な要因が複雑に絡み合っているものですが、WHO(世界保健機関)によると、自殺に及ぶ前に、躁うつ病やアルコール依存症など、何らかのメンタルヘルス疾患であった割合は実に9割以上に上ると言われています。

自殺は、様々な悩みによってストレスを抱えて心理的に追い込まれ、正常な判断を行えなくなった結果生じるものです。これらの悩みに対して周りが適切に関わることによって、自殺を防ぐことができます。

 

■ ひとりひとりがゲートキーパーに

自殺予防のためには、私たちひとりひとりが身近な人の自殺のサインに気づき、話を受け止め、状況によってはカウンセラーや精神科医などの専門家へ相談するように「つなぐ」ことが求められます。

この「つなぐ」役割を果たす人をゲートキーパーと呼びますが、特別なスキルが必要なわけではありません。自殺を考えている人は、普段と違う様子(表情に覇気がない、元気がない、食欲不振、不眠など)がみられることが多く、これらのサインにまず気づくことがカギとなります。

つらくても自分から相談できない人も多いので、ぜひ周りの人が変化に気づき、積極的に声掛けをするところから始めてみましょう。変化に気づくためには、普段から相手のことを気にかける姿勢が必要です。「無関心」から「ゲートキーパー」に。ゲートキーパーが増えることが、自殺予防の大きな対策になるのです。

[執筆:浅賀 桃子(メンタル心理・キャリアカウンセラー), 2016年9月30日]

 

【参考】
※1. 日本財団「自殺意識調査2016(速報)」2016年9月7日
※2. OECD Data Suicide rates(2013)
※写真:PIXTA、本文とは関係ありません