■ アルコール依存症の女性が急増している

昨今、アルコール依存症の女性の増加が話題になり、マスコミでもたびたび取り上げられるようになりました。厚生労働省の調査(※1)によるとアルコール依存症の女性は社会進出などを背景に、その数が急増しているといいます。

独身女性だけでなく既婚女性も子育てや家事、仕事、夫婦関係などストレスが多く、台所でお酒を飲んでしまうキッチンドリンカーの存在も見過ごせません。

母娘関係改善カウンセリングを行っている筆者のところにも、依存症まではいかなくても飲酒癖がやめられず悩む方からの相談が寄せられます。

 

■ 実母からのプレッシャーと育児ストレスでキッチンドリンカーに

埼玉県に暮らすD子さん(主婦47歳)は結婚後、子供ができないことを実母や夫の両親から言われ、むしゃくしゃしていたとき口にしたワインがきっかけで飲むようになりました。

「実母が妊娠しない私をひどく責めて、当時は針のむしろでした」とD子さんは言います。

その後、妊娠し出産後しばらくは断酒していたのですが、D子さんの育児を非難する実母にストレスを感じ台所にあった料理酒をひと口。忘れかけていた心地よさが蘇り、その後隠れて飲酒するようになりました。夫は仕事で留守がちなため、小学生の娘がいる前でお酒を飲む日が続きました。ですが娘から「ママ、お酒止めてよ」と言って泣かれ、これではいけないと断酒を決心。ようやく依存から抜け出すことができたと言います。

相変わらず実母とはそりが合いませんが、喧嘩しても以前のようにアルコールに逃げるのではなく、カウンセリングなどを受けて自分と向き合うようにしているD子さん。今の悩みは、酒浸りだった自分を目の当たりにして育った中学生の娘のことです。自分を見る娘の表情に軽蔑が見え隠れするのです。酔って物を投げた思い出も決して忘れていないはず、とD子さんは自分を責めています。

 

たしかに娘さんの記憶を塗り替えることはできませんが、依存を克服した母親を見ていたのも事実です。親子の関係は現在進行形で何度でもやり直せるはず。過去を恥じるより今の関係を大切にすることが何より大事なことではないでしょうか。

[執筆:横山 真香(母娘関係改善カウンセラー), 2016年10月18日]

 

【参考】
※1. 厚生労働省「アルコール依存症 」(参照項目:「患者数」)
※2. 厚生労働省『e-ヘルケアネット』「キッチンドリンカー」