シニアGP大会の初戦を3週間後に控えた現在だが、すでにジュニアGPシリーズ、Bクラスの試合が世界各地で開催され、本格的なシーズン開幕に向けて盛り上りを見せている。

 中でも羽生結弦はかねてから宣言していたように、試合で初の4回転ループを成功させたニュースで、世界中のファンが注目している。

羽生の4ループ成功、そして衣装初披露も。

 9月30日からカナダのモントリオールで開催されたオータム・クラシックで、羽生はSP、フリーともに4ループを降りた。

 これまで何度も彼がアイスショーやエキジビション、公式練習で見せていたこの4ループ、試合で成功させるのは時間の問題ではあった。それにしても、これまで世界で誰もクリーンに降りたことのないこのジャンプを、羽生はあっけないほど簡単そうに成功させた。

 今シーズンのプログラムの衣装も、ここで初公開。

 SP『レッツ・ゴー・クレイジー』では白を基調としたボディスーツに、グレイと臙脂色の混ざったベストを合わせたもので、プリンスのステージ衣装を意識したデザイン。

 フリー『Hope & Legacy』では鮮やかなグリーンからブルーへのぼかしの入った上半身に黒のパンツ。肩の白いフリルと上半身全体にあしらわれた細かいスパンコールが華やかな印象の衣装だ。

GP大会に向けての課題を口にした羽生。

 もっとも初戦のここは、あくまで新プログラムの足慣らしである。SP、フリーともにミスも出た。

 SPでは予定していた4サルコウが1回転になり、続けた3トウループで転倒。滑り終わると納得のいかない表情で、テイクオフをした氷の上を確認しに行った。

 フリーでは冒頭の4ループ、続けた4サルコウがきれいにきまったが、予定していた2回目の4サルコウが3回転になり、4トウループで転倒。最後の3ルッツでも転倒した。

 総合スコアは260.57と自己ベストには遠く及ばないながらも、余裕で優勝。試合終了後には、4ループの成功よりもまず失敗に対する悔しさを口にした。

「でも今の悔しさは、落胆したり落ち込んだ悔しさではなく、前向きな悔しさと自分の中では感じている」と彼らしく、自分の心の中を分析。

 羽生にとってGP初戦となるスケートカナダまであとおよそ1カ月となったが、

「この状態から本当に(一皮ではなく)10くらい皮が剥けたなと思えるくらいこの1カ月で追い込んでいきたい」と言葉を結んだ。

 難易度をぐっと上げてきた新構成のデビュー戦として、十分な手ごたえを感じさせる初試合だった。

ジャパンオープンでは宇野が4フリップを再び。

 一方日本では、10月1日に埼玉で開催されていたジャパンオープンで、宇野昌磨が4フリップをきれいに着氷した。

 彼が世界で初めてこのジャンプを成功させたのは、4月に米国ワシントン州スポケーンで開催されたチームチャレンジカップでのこと。前回に比べると着氷もまったく危なげなく、回転もよりきれいに見える。

 続いた4トウループで転倒したが残りをノーミスで滑りきり、試合の性質上、公式記録にはカウントされないものの、これまでの自己ベストスコアを上回る198.55(試合はフリーのみ)をマークして、日本チームを勝利に導いた。

 試合終了後に、4月の4フリップのギネス認定証を授与され、笑顔を見せた宇野。

「記録に自分の名前が残ることはすごく嬉しい。みなさんの記憶にも残る選手になれるよう、今後ともがんばりたい」とコメントした。

 宇野のGP初戦は、10月21日からシカゴ郊外で開催されるスケートアメリカになる。

ここまで5種類の4回転が成功し、残りはアクセルのみ!

 1988年にカート・ブラウニングが初の4回転であるトウループを成功させてから、今年で28年になる。

 昨シーズンの宇野昌磨による4フリップ、今回の羽生の4ループの成功により、いよいよトウループ、サルコウ、ループ、フリップ、ルッツと5種類の4回転が出揃った。

 残るは4回転アクセルのみ。

 驚くほどのスピードでジャンプが進化していっている現在の男子フィギュアだが、これもいつか誰かが成功させるのだろうか――。

ジュニア女子では紀平が3アクセル。

 一方8月末から開幕していたジュニアGP大会では、9月末のスロベニアJGP大会で紀平梨花がフリーで3アクセルを成功。ISU公認大会でこのジャンプを降りた7人目の女子となった。14歳の紀平は、このプログラムで6種類の3回転ジャンプを合計8度成功させてSP2位から逆転優勝。

 年齢制限のため次の平昌五輪には出場できないが、2022年北京冬季五輪に向けて、楽しみな新人の登場となった。

 ジュニアGPはあと残すところ1大会で、紀平梨花と横浜JGP大会で優勝した坂本花織がすでにファイナル進出を決めている。

アイスダンス、村元&リード組にも期待。

 9月15日からソルトレイクシティで開催されたUSインターナショナル・フィギュアスケーティング・クラシックでは宮原知子が優勝、無良崇人が2位となり、日本チームは順調なスタートをきった。

 アイスダンスでは村元哉中&クリス・リードが2位に入るという健闘ぶりを見せて、ショートダンス、フリー、総合ともにパーソナルベストスコアを更新させた。

 男女シングルの話題で盛り上がる中、まだ結成2シーズン目の彼らの今シーズンにも期待したい。

文=田村明子

photograph by YUTAKA/AFLO SPORT