福良淳一監督1年目、2016年のオリックスは、57勝83敗3分と26もの借金を抱えたまま最下位でシーズンを終えた。また、田口壮監督就任1年目の二軍も、40勝68敗8分でウエスタンリーグ最下位に沈んだ。

 不振の要因はいくつもあるが、外国人補強の失敗がチーム成績に影響したことは否めない。7人の外国人選手のうちシーズンを通してチームに貢献したと言えるのは、先発ローテーションを守り9勝を挙げたブランドン・ディクソンだけ。今季加入したブレント・モレルやブライアン・ボグセビック、エリック・コーディエは、オープン戦では期待を持たせる活躍を見せたが、シーズンが開幕するとその期待は大きく外れた。

一軍から抹消された外国人選手が二軍にあふれる事態。

 守護神として開幕を迎えたコーディエは、埼玉西武との開幕戦、4−3とリードして迎えた9回裏のマウンドに上がったが、自慢の速球を簡単に打ち返され、2点を奪われ逆転サヨナラ負けを喫した。この敗戦は、チームにとっても、コーディエにとっても、大きかった。その後もコーディエはストライクが入らないなど不安定な投球が続き、登録抹消となった。

 モレルとボグセビックもなかなか調子が上がらず、一軍と二軍を行ったり来たり。モレルは打率.244、打点38、本塁打8、ボグセビックは打率.187、打点18、本塁打3という寂しい結果に終わった。

 また、契約2年目のトニ・ブランコは27試合のみの出場で、打率.218、打点13、本塁打3。たまに豪快な一発を放つが、膝の痛みがひどいのか、巨体を揺らしながら足を引きずって走る姿が常となっていた。

 その他、パット・ミッシュはわずか3試合の登板で0勝1敗、防御率8.44。シーズン途中に獲得したマット・クラークも11試合のみの出場で打率.172に終わった。

 結果的に、調子が上がらず登録抹消になった外国人選手が二軍にあふれ、二軍のラインナップに外国人が3人並ぶことも珍しくなかった。その分、若手選手の出場機会は減ることになる。

来年チームにいない選手を起用し続けた理由は?

 田口二軍監督にとって、外国人選手の起用法は頭の痛い問題だったのではないか。しかし田口監督はそれを否定した。

「外国人に関しては、いかに話し合いを持つかということが重要ですが、そこは慣れてると言えば慣れている。どうすれば彼らが一番納得するかというのを、僕は知っているので。周りからは外国人びいきに見えるかもしれませんが、そうしないと彼らが動かない、納得しないとわかっていますから」

 現役時代8年間メジャーに在籍し、ワールドチャンピオンに輝いただけでなく、マイナーリーグでの苦難も味わった田口監督ならではの、外国人選手に対する考え方がある。

 9月に入ると、ディクソン、モレル以外の外国人選手に対しては来季の契約を結ばないという報道が出た。

 それでも田口監督は、ウエスタンリーグ最終戦の9月25日まで、おそらく来年はチームにいないであろう外国人選手を起用し続けた。

「1人としていらないメンバーはいないと僕は思っていますから。全員が大事な選手で、僕は全員の人生を預かっている。彼らの野球人生というのは、今年だけではなく、来年も再来年も続いていくし、人生はもっともっと先まで続いていく。それは外国人も日本人も、僕にとっては一緒なんですよ。それだけはちゃんと考えて、最終戦までラインナップは組まなあかん、と思っていました」

「あの球団はいい球団だよ」と思ってもらうために。

 それは若手のチャンスを減らすことになるのでは、という疑問もあるが、田口監督はこう続けた。

「若手の育成はもうずっと継続的にやってきているので、それぞれ課題はちゃんと見つかっている。ここで若手に5打席与えたら変わりますかといったら、急には変わらないですよね。でも中堅、ベテラン選手や外国人選手に5打席与えて、例えばスカウトの方が見ていて、『あいつ、まだいけるやん』となったら、その選手の人生が変わるわけです。選手たちが次の年に、たとえチームが違ったとしてもハッピーにちゃんと野球ができるということも、僕は大事な部分だと思っています。

 その積み重ねが、『あの球団はいい球団だよ』と思ってもらえることにつながる。そうしたら選手がどんどん来てくれる。別に見返りを求めてやっているわけじゃないけども、外国人選手にも、日本に悪いイメージを持ってほしくない。彼らが、『日本に行ったけどずっとファームにおったわ。でも意外とええとこやで、あのチームは』と言ってくれたら、次に外国人選手を獲りにいく時に、『オリックスだったら行きます』となるかもしれない。

 チームを強くしていこうと思ったら、そこの部分は絶対に必要だと思うんですよ。それは、ここ(二軍)でできるチームを強くする方法だと僕は思っています。だから最後までまんべんなく起用しました。『何も考えてない』とか『アホちゃうか』って言われますけど、実はめちゃくちゃ考えてます(笑)」

 田口監督は、苦悩を表に出さず、あっけらかんと笑う。

3年後、4年後にチームを支える選手を作る。

 わけ隔てなく選手1人1人の人生を背負い、チームの将来を考えた上での日々の決断だった。そのまっすぐな指揮官の思いが、帰国していった彼らに伝わっていることを願うばかりだ。

 ウエスタンリーグが終わったからといって、二軍の強化が終わるわけではない。10月3日からはフェニックスリーグがスタートしている。

「ファームの若手はもちろん、一軍にいた吉田正尚や大城滉二といった選手もくる。3年後4年後のチームを支える選手を今から作っていかないとダメなので、ここからの作業が重要ですね」

 新人監督は大きな目をギラギラさせて、ギアを入れ直した。

文=米虫紀子

photograph by Kiichi Matsumoto