庭先に鶏を飼い、正月や祝いの日に1羽つぶして食卓を囲む。そんな風習が残る鹿児島で人気が高まっている地鶏が、黒い羽色を持つ黒さつま鶏。県畜産試験場が2006年に開発した。うま味成分のアミノ酸を多く含み、脂の乗ったジューシーな肉汁が味わえる。
 2万羽を飼う指宿市のダイゼンファーム直営「地鶏の鶏膳」(鹿児島市)のイチ押しは鶏刺し。南九州独特の甘いしょうゆに、すったニンニクを少しからめていただく。芋焼酎との相性も抜群だ。
 「本来のやわらかさと甘さが一番分かる」と酉(とり)年生まれの今村宗隆社長(35)。朝に処理した新鮮さが売り。東京から観光で訪れた高橋友華さん(28)は「東京だと生は抵抗があるが、鹿児島なら安心」と満足げ。
 レバー、すし、薫製、鶏飯…。多彩なメニューの中で、炭火焼きも外せない。焼くと硬くなる地鶏のイメージを覆し、冷めてからもやわらかいのが特徴だ。そのままでも香ばしいが、ゆずこしょうを付ければ味が引き立つ。
 現在17戸が飼養する。10年度1400羽から始まった生産は19万羽まで増えた。生産者や県は、黒牛、黒豚に続く「第3の黒」を目指す。来年度には、かごしまブランドに指定される予定だ。今村社長は「地鶏は鹿児島の食文化。おいしさをもっと広めたい」と話す。(南日本新聞社報道部・小野智弘)

メモ:地鶏の鶏膳は鹿児島中央駅から徒歩3分、鹿児島中央ターミナルビル地下1階。鶏刺し(670円)などの単品、ランチメニュー、会席コース、鍋コースがある。定休日なし。TEL099・296・9101。