運動中あるいは運動後に頭痛を感じた事はありませんか? それが拍動性のもの(自分の脈に一致するようなズキンズキンとしたもの)で、運動時以外には出現しないのであれば、労作性頭痛と言います。対策は、元も子もないことですが、運動をしないことです。どうしても運動がしたい場合は、運動前にあらかじめ鎮痛剤を内服しておくことです。ただ、多くの人が数年内に頭痛が自然消失していきます。 どうして運動時のみに頭痛が出現するのか、詳しいことは分かっていませんが、脳腫瘍や脳血管障害、さらには高血圧や心臓病など、他の疾患を伴う場合があるので注意が必要です。しかし、このタイプの頭痛を持つ方は決して多くはありません。 これとは別に、いわゆる慢性頭痛を持つ人が、運動後に頭痛を生じてくることがあります。そのうち、運動による影響を受けやすいのは緊張型頭痛(筋収縮性頭痛)です。緊張型頭痛は、例外はあるものの、後頚部(けいぶ)(首の後ろ)筋群の過剰な筋収縮により引き起こされると考えられています。 したがって、後頚筋群への負担が大きい運動では頭痛を生じる恐れがあります。上肢への負担が大きい筋肉トレーニングや格闘技、首の上下運動の激しい球技(バドミントン、バレーボール、バスケットボール)では、運動前の準備運動やストレッチが不十分な場合は、後頚筋群へのダメージが原因で頭痛を生じることがあります。その予防には、十分な準備運動を欠かさないこと、過重な筋肉への負担を避けることが大切です。 いったん、頭痛が生じた場合は、鎮痛剤や筋弛緩(しかん)剤の内服・湿布剤などの貼付・ダメージを受けた筋肉のマッサージなどの物理療法が有効です。また、回復に乏しい場合は、思い切って運動をしばらく休むことも大切です。 これまでのところ、頭痛への悪影響ばかり述べてきましたが、実は、運動することはむしろ頭痛の軽減・予防に非常に有効なことが多いのです。後頚筋群の適度な運動は、筋緊張の低下・心身のリラクセーションに効果的で、緊張型頭痛の軽減・予防に役立ちます。片頭痛の場合も、肩こりや後頚筋群の筋緊張亢進(こうしん)を伴っているような場合は、頭痛発作の予防に役立ちます。ジョギングやウオーキングなどの有酸素運動が最も効果的とされますが、個人差や好みの問題もあります。 どのような種類の運動でも、日常生活の一部に習慣として取り入れて、どの程度の運動をどのような頻度で実施すれば効果的か、自分自身で確認しながら進めていくことが大切です。(久田均 脳外科クリニックくだ)