アニメや漫画、ゲームなどが“日本を代表するコンテンツ”として世界で認知され、オタク文化が“恥ずかしくないもの”となって久しいが、同時に最近レベルが上がり何かと話題になっているのがコスプレイヤー、いわゆる“レイヤー”だ。『マツコ会議』(日本テレビ系)の企画「コスプレイヤーの収入事情」に登場すると、そのコスプレのクオリティの高さとキャラクター性が一般層にまで評判となった、えいにゃん。『ナカイの窓』(同)に出演し、「月収は100万円以上」「私くらいのレベルの方(コスプレイヤー)は他にはいない」と発言して話題になった、えなこ。マンガ家・藤島康介氏との“31歳差婚”が物議を醸した御伽ねこむなど、ネットニュースだけでなくテレビで取り上げられることも多くなり、もはやアングラからメジャーな存在となってきたレイヤーたち。果たして彼女たちは、このまま“タレントのいちジャンル”として、芸能界にポジションを確立することができるのだろうか?

◆メイド喫茶の一般層への普及がきっかけ!? ネットだけでなくテレビにも進出したレイヤーたち

 レイヤーたちのなかにはすでに“市民権”を得ている者も多い。先のえなこはプロコスプレイヤーを自認し(本人が「生計を立てている」と言う意味で)、1ステージ30〜40万円を稼ぐと『ナカイの窓』でも発言しているし、御伽ねこむも人気に火が点くと同時に芸能事務所・ホリプロに所属するなど、言ってしまえばもう“タレント”になっているのである。そのルックスからしても相当なレベルでカワイイし、スタイルも抜群。他のアイドルやタレントらと遜色ないほどルックスもよく、さらに“コスプレ効果”も相まって、オタク層以外の一般層が見ても“萌え”てしまうのだ。

「10年ぐらい前までは“レイヤー=コスプレ好き女子の扮装”の範疇を超えず、コミケなどで見かけるレイヤーでも、あくまで“自分の趣味”として、オタクな女子が好きなキャラのコスプレを楽しんでるという状況でした。そこにムサ苦しいオタク男子たちがバズーカ砲のような望遠レンズを装着したカメラを持って群がっている……という構図ですね。そんな状況が一変したのは、『電車男』の大ヒットによるオタク文化の認知と一般化もありますが、一番大きかったのは“メイド喫茶”のブレイクだと思います」(エンタメ誌編集者)

 メイド喫茶が秋葉原に誕生したのは2001年、“猫耳”などを付けたメイド服を着た女性が、「おかえりなさいませ、ご主人様」などと言って客をもてなすスタイルがトピックスとして報道されると、一気にブレイク。あっという間に日本全国どころか世界まで広がり、“カワイイメイド”に仕えられる異世界への憧れは、オタクのみならず一般層の男性を巻き込み、さらには女性もメイド喫茶に足を運ぶようになるのである。

 以後、メイド喫茶やメイドもひとつのエンタテインメントとして認知され、女性がコスプレすることへのハードルはグンと下がる。そして、さまざまな人気アニメやキャラクターに扮するレイヤー層の広がりがあり、その人口が増えながら、コスプレ衣装だけでなく、スタイルやメイクも含めたトータルのビジュアルのクオリティが飛躍的に向上していった。そこから今につながり、そのなかのビジュアル的に秀でた一部のレイヤーがテレビ出演するにまで至り、今後はレイヤー出身のタレントも増えていくのでは、とも言われている。

◆若手タレントを“美人レイヤー”としてメディアに売り込む可能性も

だが、ビジュアルの良さだけで成功するほど芸能界は甘くない。「私はそう簡単にはいかないと思います。レイヤーの女子は多いですが、別に本業があり、バイトをしながらイベントで自費出版の写真集を手売りしたり、撮影会で稼いだりするのが現実です。現に今の“プロっぽい”レイヤーにしても、コスプレに上乗せさせたルックスのカワイさやスタイルのよさ以上の“ウリ”がある人は、まだまだ出現していません。本格的なタレント活動を目指すなら、やはり相当にキャラが立っていないと厳しい。そもそもレイヤーの魅力は、“オタクなのにカワイイ”“カワイイのにオタクっぽい”といった微妙なニュアンス、アングラっぽさにあるんです」(前出・編集者)

 しかし、深夜番組を中心にテレビにレイヤーが出だしている現状がある。それがネットニュースに“逆輸入”され、よりレイヤーの話題を膨らませている。そうなってくると逆に、タレントのレイヤー化のほうが進み、おのののかのブレイクに見る“ビールの売り子方式”のように、芸能事務所が若手タレントにコスプレをさせ“美人レイヤー”としてメディアに売り込む戦略が増えてくることも考えられる。

「それも十分あり得ますが、元ネタのアニメやゲーム作品へのリスペクトがなかったり、本人にオタク知識がない“ビジネスレイヤー”だったりすると、オタク層がいち早く嗅ぎつけ、バッシングを受けてしまう可能性もあります。やはり資質は問われてくるでしょうね」(前出・編集者)

 本気でコスプレが好きな“ネイティブレイヤー”か、あるいは“タレントレイヤー”か。いずれにしろ、レイヤー文化は一般にも浸透し、キワモノ感も少ない今、メディアでも取り上げやすくなっていることは事実であり、ネットでの露出も増えている。そもそもレイヤーたちは人に見られたい人たちであり、“出たがり”も多いことから、今後も増えることがあっても減ることはないであろう。

 コスプレのインパクトとビジュアルのかわいらしさ以上に、タレントとして活躍していくうえで求められるのはキャラクター性。藤田ニコルやペコ&りゅうちぇる、ジェンダーレス系男子読モたちは、そのキャラクターと若年層にアプローチできる潜在力が重宝され、すっかりテレビ情報番組のひな壇の一角を占めるポジションを確立している。オタク層に支持基盤をもつレイヤーたちも、そういった芸能シーンでのタレントのポジションのひとつになってくる可能性もある。そのカギとなるのは、ビジュアル以上のインパクトを放つ、飛び抜けた存在感のキャラクターが現れるかだ。