ある日会社にいくと幹部全員坊主だった――パワハラは立派な犯罪!では何罪?昨今いじめ加害者に対する厳罰化が広まってきている。これはいじめは子ども間のじゃれあいなどではなく、人を追い詰めるれっきとした犯罪であるという認識が広まっていることをも示している。しかし、構図は同じでもパワハラはまだこの段階にない。所詮忌むべき文化や職場の雰囲気の問題として片付けられ、被害者が泣き寝入りするしかないことも多い。「教えて!goo」に寄せられたQ&A「社長から『坊主にしてこい!』と言われた」では、社長のパワハラに対してどう向き合うべきかで議論が熱を帯びている。

■権力に屈する人、抗う人

質問者曰く、「私の部署の幹部の方が揃って坊主頭になっていました。聞くところによると、仕事上のトラブルで社長から『坊主にしてこい!』と言われたそうです」とのこと。幹部達は本当に坊主にしたようだが、この社長の発言に対し、「真に受けて実行しなければいけないのでしょうか?」と問うている。

パワハラの一番のネックは、訴え出たところでその後の自分の人生に大きなプラスが生まれないところにある。寄せられた回答を見てみると、一時の圧力を我慢してでもやり過ごそうと言う意見があった。

「一度は素直に従うが、二度目は言う。そうも何度も男に恥を晒すとはとても男を知る者とは思えない。貴方が男ではない事を証明した上で命令なさるのであれば従います」(jamiruさん)

「一応法に抵触してますが、敏腕弁護士ならおこずかい稼いでくれますが、あなたの人生はそれでおしまいです。坊主にしたくなければ自由ですが、きっと心象を害し、評価は下がるでしょう」(noname#110649さん)

一方で、パワハラには断固として立ち向かう意見も同数見られた。

「パワハラです。罪に問えます」(kotoby2003さん)

「今時こんな会社があるのですね。社長の明らかな行き過ぎです。今で言う『パワハラ』かな。労働組合にご相談になりませんか。知恵を出してくれるかも知れません」(t87300さん)

意見を概観すると、パワハラを甘受する場合も、それに抗う場合もその根底には一応、パワハラが法に抵触しているかもしれないという意識があるようだ。では、パワハラはどういった罪に当たるのだろうか。

■パワハラは恐喝罪!

どうもパワハラは法律違反らしい。では具体的にどこはいけなくて、どのような犯罪に該当するのだろうか。そこでパワハラの罪責について、企業問題に詳しい武蔵浦和法律事務所峯岸孝浩弁護士に解説していただいた。

「罪に問われるとしたら恐喝罪でしょう。ただし、通常の業務命令との区別がしにくいため、よほど悪質な事案でない限りは、恐喝罪に問うのは立証が難しいと考えます」

と話す。さらに峯岸弁護士は、実例を教えてくれた。

「しかしパワーハラスメントとして熊本市の職員が停職6ヵ月の懲戒処分を受けた事件があるのですが、これは恐喝罪に該当する可能性があると思います。この事件では、上司が部下に対し『床に正座をさせて長時間に亘り説教する』、『書類の決裁をしない』などの嫌がらせをしたうえ、寿司や焼肉など合計100万円以上を奢らせました。恐喝罪として処理されたか否かは不明ですが、普段の行為態様の悪質さからすると上司という立場を濫用して無理矢理奢らせたことは想像に難しくありませんし、金額も非常識なほど高額ですのでとても交際の一環とはいえません。さすがにこのレベルでは恐喝罪に該当するのではないかと思われます」

我々は会社に飼われているのではない。我々は賃金と引き換えに労働力を支出しているのであり、これは会社の健全な成長のために費やされねばならない。したがって、立場を傘にした不当な命令に対して、我々に「NO」という必要がある。なぜなら、それは自分の労働力の無駄遣いでもあるし、会社の成長にとっての無駄でもあるからだ。

(樹木悠)

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