欧州連合(EU)の執行機関である欧州委員会(EC)のティエリー・ブルトン氏が、TwitterがEU市場におけるオンライン偽情報に関する行動規範から離脱したことを明らかにした。

ブルトン氏は、27日のTwitterへの投稿で「TwitterはEUの偽情報に関する自主的な行動規範から離脱する。しかし義務は残るため、逃げることはできても隠れることはできない」と述べた。

このブルトン氏のツイート発言は、EUのデジタルサービス法(DSA)における超大型オンラインプラットフォームとして、法的に遵守しなければならない義務を説明したものだ。EUでは昨年11月、Twitterを含む巨大インターネット企業(VLOP)に対し、DSAの下で市民的言説や選挙プロセスに対するシステム的リスクを評価し、軽減するよう求めた。これは4500万人以上のアクティブユーザー数を抱えるプラットフォームを対象に、今年8月25日より義務化される。

この行動規範には、Facebook、Instagramを所有するMetaのほか、TikTok、Google、Microsoft、Twitchその他数十の企業が署名しており、これらの大規模なプラットフォームは、宗教や政治的意見といったセンシティブなデータに基づいてユーザーに広告を表示してはいけなくなる。またディープフェイクと呼ばれる、AIを使用して加工された動画や写真といったコンテンツには、ラベルを付ける必要が発生する。

また企業は、自社のプラットフォームが公衆衛生、子供の安全、表現の自由といったさまざまな問題にもたらすリスクについて、毎年評価を行なわなければならない。そして、そのようなリスクにどのように対処しているか、その対策内容を明確にすることが求められる。その最初の評価は8月25日に完了しなければならないとのことだ。

Twitterは2018年に、当時のバージョンの「偽情報に関する行動規範」に署名した。これには政治広告を追跡し、偽情報の収益化を阻止し、ファクトチェッカーと協力する義務が含まれている。実際のところ、この当時からTwitterのボットネットワークへの対処などは、それほど効果的だったとは言えないかもしれない。

イーロン・マスク氏が買収したあとのTwitterは、それまで偽情報キャンペーン対策を担ってきたモデレーションチームの人員を大きく削減した。さらには、外部の研究者が研究目的でAPIを使用してTwitterのデータへアクセスするのに高額な料金を課すなど、情報操作などの問題に体する外部の研究活動を阻害するような対応をとっている。

2022年6月には、欧州委員会は行動規範の強化版を発表し、その遵守状況を監視するための透明性センターの設置をアナウンスした。また昨年11月にEUは、マスク氏に対してTwitterがDSAに違反しないようにするためには「大量の仕事をこなさなければならない」と伝えている。今年2月にも、Twitterに対し行動規範に基づく報告義務を果たしていないことを警告した。

もしDSAに違反した場合、Twitterは全世界における売上げの最大6%に相当する罰金が科せられる可能性があるという。さらに欧州委員会は、違反が繰り返されるようであれば、EUにおけるサービスへのアクセスを遮断すると警告している。

Source: Thierry Breton(Twitter), European Commission

via: TechCrunch, BBC, Politico