NHKは、関連団体であるNHK放送技術研究所(技研)が、インターネット上の有害な偽情報・誤情報に対処するための技術開発に向けて、コンテンツの出どころと認証に関する標準化団体Coalition for Content Provenance and Authenticity(C2PA)に加入したことを発表した。

C2PAは2021年に設立された団体で、コンテンツの制作者や編集履歴などの来歴情報をユーザに提示するためのオープンな技術仕様を策定するとともに、グローバルスタンダードを目指した普及・促進活動を通して、コンテンツの透明性と信頼性を高めることに取り組んでいる。放送局やメーカー、IT企業など、コンテンツ制作や配信に関わり、信頼できるインターネットの構築に関心のある世界各国のメディアや企業が参加しているという。

C2PAは、2022年1月、コンテンツの来歴情報に関する世界初の標準仕様を発表。NHK技研では、この仕様に準拠したオープンソースソフトウェアを用いてコンテンツの来歴情報提示システムのプロトタイプを開発したとのことで、6月1日〜4日に開催する「技研公開2023」で展示を行う。

なお、NHKは2022年11月より、有害な偽情報・誤情報に関する知見や対策方法を共有する国際的なメディアネットワーク「Trusted News Initiative」に参加している。NHK技研は、今回のC2PA加入により、偽情報・誤情報に関する知見の共有だけでなく、偽情報・誤情報のまん延を防止するための技術的対策についても研究開発を進めるとともに、標準化にも寄与していくと案内。「今後も、視聴者のみなさまに信頼される情報空間の構築に努めていく」としている。