NHKで放送されたリオデジャネイロパラリンピック番組で、V6の三宅健が披露した手話がわかりやすいと評判だ。AKBグループも手話を習っているメンバーが複数いるし、峯岸みなみや元メンバーの大島優子らは簡単なコミュニケーションなら手話が使えるという。ももいろクローバーZの佐々木彩夏も19日の初ソロコンサートで、一曲まるごと手話でパフォーマンスしたと話題になっている。4年後の東京パラ五輪開催がきっかけになっているのだろうか?

 アイドルのマネージャー経験があるフリーライターの小川裕夫さんは、東京でパラ五輪が開かれることも無関係ではないだろうが、東日本大震災をきっかけに、手話などボランティア活動に関わるものが身近になっている影響が大きいと言う。

「2011年3月11日の東日本大震災から、政府の会見にはすべて手話通訳がつくようになり、以前より手話は身近な存在になりました。また震災後、アイドルがボランティアに参加する機会も増えました。そのとき、ひとりでも多くの人とコミュニケーションをとろうと考えると、車いすなどの場合は会場などハード面の問題なのでアイドル自身にできることは限られます。でも、自分で出来るソフト面の対応策として手話が選ばれていると思います」

 もうひとつ、ファンと直接、接触する機会が増えていることも大きな理由になっているだろうという。

「かつて、アイドルはメディアに露出することが最も効果的なプロモーションでした。ところがCDが売れない時代になり、売るために握手会をセッティングすることが増えました。そこで色々な人と接触するうち、耳が不自由な人が思っていたよりも多いことに気づかされます。そして自分で出来ることだからと手話を習えば、彼らと笑顔で話せるようになる。このコミュニケーションは、体力的に厳しいこともある握手会を楽しみな場所に変えているようです」

 前出の三宅健は震災より前、2005年に行なわれたV6デビュー10周年握手会で、手話で話しかけてきた耳が不自由なファンと交流できなかったことがきっかけだと伝えられている。AKBグループのメンバーも、やはり握手会がきっかけで手話を習い始めたそうだ。あーりんの場合は、2年前から手話を習い始めた母に影響され「音楽は全ての人に平等に与えられるものだよね」と考えてソロコンサートの企画としてみずから提案したという。

 いずれも、自分で決めて、自分で行動してつかんだ結果だ。彼らは、市販の教本や街の手話講座で少しずつ習ったり、人前で披露するために手話パフォーマーの講師からレッスンを受けるなどして手話を習得している。

 ライブや握手会の現場で、アイドル自身が手話を使うと、手話で会話をする当事者は満面の笑みを浮かべて手話を返し、そばで見ているファンにはその光景にもらい泣きをしてしまう人もいる。

 2010年代になってからは、地下からメジャーまで数えきれないほどのアイドルが活動している。多くのアイドルが握手会などのイベントを開催するなか、応援してくれるファンと一緒に楽しみや喜びを分かち合いたいと願う人ほど、手話をはじめとしたソフト面の対応に熱心だ。今後は、多様な発展した形が見られるのではないかと前出の小川さんは予想している。

「最近のアイドルのライブや握手会には、インドネシアやタイなど英語を話さないアジアからのお客さんの姿が目立ってきたと聞いています。そういったお客さんとコミュニケーションをとるために、語学を習得するアイドルが増えるんじゃないでしょうか。また、お客さんの高齢化もすすんでいるので、高齢者対応できるのが当たり前になっていくかもしれないですね」

 アイドルとは、ファンを喜ばせるための努力を惜しまず、行動に移す勇気がある人たちらしい。