中性的な容姿とハスキーボイスでファンを魅了し、1990年代、セカンドシングル『サヨナラ』がミリオンヒットとなった歌手のGAO。今年デビュー25周年を迎えた彼女の近況や、音楽への熱い胸中を語ってもらった。

――今年でデビュー25周年、一番力を入れていることは?

GAO:今はインディペンデントな立場で、音楽制作やGAO主催のイベントをしています。月に2、3日くらいはライブをしています。

 私が音楽を始めたのは中学生の頃です。姉たちが使わなくなったアコースティックギターを引っ張り出して、弾き語りを練習したのが、初めての音楽活動でした。その頃の心境に戻って作った即興ソングをTwitterにアップしています。即興なので、どんなメロディーが出てくるのか、自分でもわからないんですけど、自分の中にしみついているルーツみたいなものが出て、おもしろいですね。

 真夜中に部屋で弾くこともあって、囁くように歌っていたりします。聴いた方からは「部屋の中にGAOさんがいて、隣りで弾き語りをしている感じがする」という感想をよくもらいます。即興ソングが好評だったので、臨場感をそのままにCDにして、その曲のライブを行いました。

――プライベートではまっていることは?

GAO:音楽づくめですね。ずっとアコギを弾いていたので、今年は指先にまめができました。まめができるまでは痛いんですけど、できてしまえば痛くないんですよね。

 ここ数年、はまっているのは筋トレです。筋肉は死ぬまで発達するものだそうで、大人になっても成長するものがあるんだって、すごく惹かれて。今では、腕はアスリート並みの筋肉量になりました(笑い)。

――テレビではデニム愛を熱く語るなど、楽しい人柄でしたが、キャラクター変更をした?

GAO:いえ、普段はあんな感じですよ。みなさん、プロモーションビデオのイメージが定着しているんでしょうね。デビューして数年はクールなイメージで作っていたので、写真を撮るときは、笑わないことが多かったんです。

―― 一時、ヒップホップをしていましたね。

GAO:それは自然な流れなんです。レコーディングのためにニューヨークに行っていたんですけど、1990年代の初めはヒップホップ全盛期。打ち込みとかサンプリング音楽とか、そういうものが主流になりつつあった時期なんです。

 ニューヨークのクラブで、その頃のヒップホップを聞いたりしているうちに、自分で作ってみたいと思って、REAL Gとして活動したんです。

――それで改名したんですね。

GAO:ヒップホップらしい一面を表現して、これも自分だという音楽活動でした。だから改名というよりも、名義が違うだけですね。区別したいので、GAOの活動をしている時はREAL Gで活動をしない。予定はありませんが、もしREAL Gの活動をすることになったら、GAOは休止したいと思っています。

――代表曲の『サヨナラ』は、最近では柴咲コウさんなど、たくさん人がカバーしています。

GAO:歌ってみたいと思ってくださったり、影響を受けてくださった曲だと聞くと、すごく嬉しいです。あの曲は難しい曲だと思います。指一本で弾けるようなシンプルなメロディーだからこそ、いかに個性を入れるかというのを試される気がします。歌う人の本質がそのまま投影される曲だと思いますね。

――即興ソングのライブや弾き語りの公開ライブレコーディングなど、GAOさんは新たなライブの形を開拓しているように感じます。

GAO:自分のやり方を築くことに、ここ何年か意識を置いているんです。音楽業界は、CDがメディアとして必要とされていない時期が来ています。かといって、一時期盛り上がった音楽配信も下火になって、曲に値段が付けられない時代になってきました。

 この時代に音楽家はどういう活動をすればいいのかと考えた時、参考にさせていただこうと思ったのは、マドンナや亡くなったプリンスが大手メジャーを辞めて、自分のやり方を模索していたことでした。日本でも誰かが、自分のペースで、長くアーティスト活動を続けていくさまを残して行かないと、音楽活動をする若い人たちが、夢を持てないんじゃないかなと思うんです。

 音楽はYouTubeやSNSで、ただで聞ける時代です。だけど、ライブで聞いた時に受ける衝撃や感動って、また違うものがあると思うんです。だからみなさんにそれを味わってほしい。SNSではなく、音楽を通じて人が顔と顔を合わせて出会うことは、ライブでないと経験できないと思うんですよね。

――最後に、今後の目標は?

GAO:ほぼ手作り状態で活動しているのですが、それを大きくしていきたいと思っています。仲間を増やして、ライブの規模を大きくしたり、プロジェクトを立ち上げたりして。音楽業界がもっと元気になるようなイベントを、自分で企画したいと思っています。

【GAO(がお)】
9月14日生まれ。山口県出身。1990年、NHK『全日本勝ち抜きロック選手権 BSヤングバトル』にバンド・GAOとして出場し優勝。翌年、ソロシンガーとしてメジャーデビュー。1992年4月、セカンドシングル『サヨナラ』が累計123.6万枚のミリオンセラーに。1996年3月GAOの活動を休止、2000年よりギャングスタラッパー・REAL Gと名前を変えて活動。2009年、GAOとしての活動を再開。

撮影■黒石あみ