放送作家でコラムニストの山田美保子氏が独自の視点で最新芸能ニュースを深掘りする連載「芸能耳年増」。今回は、ちょっと視点を変えて、業界で大不評の東京駅のタクシー乗り場について疑問を呈する。

 * * *
「安全性」や「使い勝手の悪さ」が大問題になっているのは、ご存じ、豊洲新市場だが、「似たようなもの」と芸能人や芸能プロダクション関係者が困っているのが、東京駅八重洲口のタクシー乗り場である。

 東京駅八重洲口に「グランルーフ」なる地下1階、地上3階の商業ゾーンがお目見えしたのは、いまからちょうど3年前。2013年9月28日のことだ。「グランルーフ」は、「グラントウキョウノースタワー」と「同サウスタワー」をつなぐ歩行者空間で、長さ約230メートルの大屋根がアイコンとなっている。

 それに伴い、いわゆる“駅ナカ”もどんどん充実し、百貨店の『大丸東京店』デパ地下を含め、特に「駅弁」に相応しい総菜店の賑わいは群を抜いている。

 昨年12月21日には、『ビューゴールドラウンジ』がオープン。東京駅発の特急・新幹線グリーン車を利用する会員や、グランクラスの乗客などが利用でき、「空港のラウンジのようで快適」と評判。

 1階フロアはキャンペーンや販促などにも使われ、AMEXカードの勧誘はおなじみ。家電やクルマが展示されていることもある。

 つまり、その顔を劇的に変化させている東京駅八重洲口なのだが、唯一、「最悪」「危ない」「利用者のことを無視している」「設計ミス」などと不評なのがタクシーの乗降スペースなのである。

 まずは降り口。丸の内方面から八重洲口を目指すと、東京駅から降りて来る乗客が利用する信号機付き横断歩道のすぐ先にある小さなロータリーが、それだ。

 タクシーも一般車もそのロータリーを利用しているので、中は常に渋滞。その手前も渋滞してしまうので、信号待ちの歩行者の前にタクシーが立ち往生してしまう。

「中がいっぱいなので、ここでいいですか?」とドライバーさんに言われ、トランクからスーツケースを降ろしている乗客もよく見る光景。歩行者の皆さんは、たいへん不愉快だと思うし、タクシーから降りるお客たちも申し訳ない気持ちでいっぱいだろう。

 運よくロータリー内に入れたときも、待ち合わせをしている一般車が停まっていることがあり、タクシーのお客はスムーズに降りられない。

 中央に植え込みがあるパッと見、美しいロータリーではあるのだが、とにかく小さすぎ! 一般車とタクシーは一応分けてあるのだが、ルールを守らないクルマがある限り、今後も渋滞は解消されないだろうし、何より歩行者とタクシーから降りるお客の小競り合いは日常茶飯事なのである。

 次に乗り場だ。こちらもグランルーフの工事に伴い、少しずつ場所の移動を続けているうちに、現在の場所に落ち着いたのだが、「え? これで完成?」と疑いたくなるような使い勝手の悪さなのである。

 9月は東京でも雨の日が多かったのだが、まず、グランルーフのシンボルである大屋根と、タクシー乗り場の屋根の間に隙間があり、雨風が吹き込むのである。初めて利用する人たちは「え? 嘘でしょ?」という表情で再び傘を開いている。名古屋の新幹線口や新大阪駅前のタクシー乗り場はとてもキレイとは言えないが、雨だけはしのげる屋根が付いている。なのに東京駅は、屋根が足りていないのである。

 続いて、乗り場は、ジグザグ式に3列に設計されているのだが、これが芸能人には不評。一般客から声をかけられたら最後、ジグザグが終わるまで会釈をし続けたり笑顔でいなければならない…というのである。

 たとえば新大阪駅の場合は、近距離と中型、小型、さらにはワゴンタイプのタクシーが停車できるスペースがあり、それぞれの列にタクシーが並べる、かなり広いタクシー乗り場だ。名古屋駅も、ほぼ同時に3台のタクシーがお客を拾えるシステム。新幹線の利用客でタクシーを利用する人は複数のスーツケースをトランクに入れたり、助手席も利用したりする大人数だったりもするので、乗降に時間がかかる。

 そこで東京駅のタクシー乗り場には、「混雑時」は、1台目と2台目、同時に乗るように注意書きを記した看板がある。「公益財団法人 東京タクシーセンター」によるものだ。

 が、わざわざ「混雑時」と記しているせいで、乗客独自の判断によって、「それほど混雑してないから、自分の目の前にタクシーが来るまで動かない」という人があまりにも多く、とにかくタクシー待ちの列が動いていかない。

 さらに、同スペースの脇には長距離バス乗り場があり、発車時になると何台もの大型バスがタクシー乗り場の横をすり抜けていく。

 これが本当に危険。なぜなら、スーツケースをトランクに積むサポートをするために外に出て来るタクシードライバーが、大型バスに接触しそうになるからだ。

 タクシードライバーさんに聞くと、大型バスとタクシーの接触事故も「よくあると聞く」と言っていた。タクシーと大型バスが同じ場所から発進。これを設計ミスとは言わないのだろうか。

 時折、「〜タクシーセンター」から派遣されたスタッフの男性が、「何名でご利用ですか?」「トランクは利用なさいますか?」などと聞いてくれたり、外国人客からの質問を受け付けたりしてくれている。

 以前、その男性に、「あまりにも不便なんですけど」と言ってみたら、「我々は利用させていただいている立場なので」と小さくなっていた。つまり、タクシーは「東京駅さま」を使わせていただいて運行している。だから、「JRバス」が、「そこのけ、そこのけ」という運転で発車していくなか、タクシーはいくら不便でも、しかたがない…ということなのである。

 新幹線や電車の利用客でタクシーを利用するお客はたくさんいるだろう。もちろんそれは芸能人に限っていないし、高齢の方や、なかには、お身体の不自由な方もいらっしゃる。

 JRの駅員さんがホームで車椅子を押したり、乗降の際、サポートをしている姿をよく見かけるが、ひとたび駅から出てしまったら「もう知らない」ということではもちろんないだろう。

 なのに、別会社であるタクシーとは連携しない。プロのドライバーである彼らの使い勝手や乗客の利便性を一切考えていないような設計の乗降場のまま、続けていくというのだろうか。

 利用者の意見を聞かなかったばっかりに、トンデモないことになった例で私がいちばんに思い出すのは、某テレビ局のメイク室だ。鏡の前の棚の幅が狭すぎて、メイク用品がほとんど並べられなくて、メイクさんたちも、利用する芸能人たちも「本当に不便」と、いまだにボヤいている。さらには、スタジオの扉が小さすぎて、長寿番組のセットが入らなかったという、笑うに笑えない話も…。

 そして例の豊洲新市場である。

 ワイドショーでいまもっとも長尺でオンエアされる豊洲ネタのVTRやCM中、「なんだか東京駅八重洲口のタクシー乗り場みたい」と言うコメンテーターの多いこと、多いこと。本当に、どうにかしてほしい。秋の行楽シーズン、新幹線を始め、JRの電車と共にタクシーを利用するお客はさらに増えると思うのに、「東京の玄関」があれでは恥ずかしいのでは…?