映画『お父さんと伊藤さん』で、主人公・彩役を演じた上野樹里(30才)。同棲をはじめた相手は、54才のバツイチ。ふとしたことで呑みにいき、また呑みにいき、またまた呑みにいくことになって…。

「はじめて台本を読んだ時は、えー、こんな男の人、いやだなぁと思ったんですけどね。こんな人を好きになるなんて、あり得ないって(笑い)。でも2人とも、相手にそれほど多くを望まず、側にいることでとっても居心地がいい。あぁ、こういう恋愛もアリだなと思えるようになって」

 彩は、どこにでもいるフツーの女の子だ。『のだめカンタービレ』で演じた自由奔放な天才ピアニスト、野田恵や、1年間、主役を務めたNHK大河ドラマ『江−姫たちの戦国−』のような強いキャラクターの持ち主じゃない。

「世の中の女性、みんながみんな、キャリアウーマンというわけじゃないし、めくるめくようなドラマがあるわけじゃないと思うんです。それでも、どこかで心に折り合いをつけながら毎日を暮らし、ちょっとしたことに喜び、ささいなことに心を痛めている。そういう、なんか心があたたまる、家族モノをやってみたかったんです」

 舞台は、冴えない(?)同棲相手、リリー・フランキー(52才)と、ある日、突然、押しかけてきた父・藤竜也(75才)の3人で暮らすことになった2DKのアパート。3人の絶妙な掛け合いが、物語に深い味わいと、どこか懐かしい彩りを感じさせてくれる。

「私たちは、圧力鍋に入れられた食材…にんじんやじゃがいも、肉のようなもので(笑い)。監督さんは、その食材が自分で味を出すまで、いじらず、じっと待っている。藤竜也さんが、どんどんチャーミングになり、リリーさんが、どんどんカッコよく見えてくるのは、きっとその効果です(笑い)」

 そう話す上野の左手薬指には、今年5月、ロックバンド・TRICERATOPSのボーカリスト・和田唱と結婚した印の指輪がキラリと光っている。

「結婚して何が変わりましたかって、よく聞かれるんですけど(苦笑)。自分の生活と映画の世界は別なので、役者としてのスタンスは何も変わっていないんです。ただ…家族を意識するようにはなりましたね」

 自ら、「今は過渡期です」だと話す上野樹里。年齢を重ねた彼女は、ますます素敵な女性になりそうだ。

撮影■LUCKMAN

※女性セブン2016年10月20日号