独特のピッチングフォームで「マサカリ投法」と呼ばれた村田兆治氏(66)は、今でも130キロを超える球速を誇る。村田氏が大切にしている「お宝」は、現役時代、最後に使っていたグローブだ。ローリングス社製の特注品で、背番号である29の文字と「村田」の刺繍が目を引くグローブについて、村田氏が語った。

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 現役晩年に使っていた特注品。200勝したのもこのグローブです。私は引退して26年になるが、このグローブの手入れは今でも怠っておらず、始球式やイベントでは“現役”として活躍してもらっています。

 このグローブは今の現役のピッチャーたちが使っているモデルよりはるかに重い。全盛期にはさらにひと回り大きくて、重いものを使っていました。
 
 理由は左手に重いグローブを持っていると、力のあるボールが投げられるから。テークバック時に右膝が沈み込むために、壁ができて体が開きにくくなり、右腕が楽に使えるんです。重いからゴロは捕りにくいが、打たせなきゃいいんですよ(笑い)。

 職人さんと一緒に革の選定から形まで試行錯誤しながら、完成品を水に漬けて重さを調整したのが懐かしいですね。このグローブには現役時代の私のすべてが詰まっています。

撮影■山崎力夫

※週刊ポスト2016年10月7日号