昨年、コアな箱根駅伝ファンの間で話題沸騰となった、ウェブメディア「駅伝ニュース」の面々による“詳しすぎるレポート”が、今シーズンも週刊ポストに帰ってきた! 主宰者である「博士」こと西本武司氏と相棒の「マニアさん」が、全国のレース現場を手弁当で回って得た見どころ情報を一挙公開します。

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 私たち「駅伝ニュース」にとっての箱根駅伝は、前年大会の復路ゴール翌日の1月4日から始まる。すでに翌年の箱根が待ちきれない。だから新チームの朝練やレースを見るため、全国の現場に足を運ぶ。

 この写真は、今年1月10日の高根沢町ハーフマラソン(栃木県)のスタート場面だ。昨年、当時無名だった青学大・下田裕太(現3年)が、この大会の優勝でブレイク。翌年の箱根で8区区間賞、東京マラソンでは日本人2位に輝いた。

 この大会には “青学大の次期主力候補”が大量出走する。だからこそ、私の相棒・マニアさんは「次の下田」を探しに現地へ赴く。今年は箱根復路を当日メンバー変更で外れた池田生成(4年)が学生1着。衝撃は箱根エントリー外の森田歩希(2年)の同2着入りだ。上位10人中、5人を青学大が占め、層の厚さを見せつけた。

 一方、青学大とともに、この大会に招待される東海大。今季は王者に迫りうるチームと見ている。高根沢ハーフでは青学勢に後れを取ったが、その約3か月後、東海大には“史上最強の新戦力”が加入した。昨年末の全国高校駅伝のエース区間1区で1〜6位に入った選手が揃って入学。6月の日本学生個人選手権(平塚市)5000mでは、關颯人らルーキー軍団が快走し、青学勢を圧倒した。

 東海大に逸材が集う理由は両角速・監督にある。佐久長聖高でリオ五輪代表の大迫傑(ナイキ・オレゴン・プロジェクト)らを育て上げた名将に“教え子をみてもらいたい!”と願う全国の高校指導者が有力選手を進学させてきた。

 10月1日、世田谷陸上競技会5000mも両校が注目を集めた。疲労骨折で出雲駅伝エントリーを外れた東海大主将・荒井七海が「青学には勝て!」と檄を飛ばし、關や鬼塚翔太(1年)ら6人が学生トップ級の13分台をマーク。

 一方の青学大は春先から調子の落ちていた下田がついに13分台に突入。他の主力らはエース・一色恭志(4年)を先頭に集団走、4人が14分7秒で同着した。好調でも出し切らずに設定タイムを守り、ピークは駅伝に――本番から逆算した王者の調整法が垣間見えた。

 1月から見てきた現場は嘘をつかなかった。出雲駅伝では東海大が5区途中までトップに立ち、優勝した青学大を追い詰めた。両校の激突が熱い。熱すぎるのだ。

文■西本武司/1971年福岡県生まれ。メタボ対策のランニング中に近所を走る箱根ランナーに衝撃を受け、箱根駅伝にハマる。そのうちに、同じような箱根中毒の人々とウェブメディア「駅伝ニュース」を立ち上げる。本業はコンテンツプロデューサー。ツイッターアカウント名は「公園橋博士」、相棒は「マニアさん」(アカウント名「@EKIDEN_MANIA」)

撮影■EKIDEN News

※週刊ポスト2016年10月28日号