高齢者がペットを飼うことには「ペットよりも先に自分が逝ってしまうかもしれない」という不安が常につきまとう。こんな事例がある。

「ひとりで暮らす80歳の女性が猫を飼っていました。猫を通じて、ペット仲間と食事やお茶を楽しんだりもしていたのですが、ある時からプッツリ集まりに来なくなった。

 心配した仲間のひとりが家に様子を見に行くと、彼女は亡くなっており、飼い猫もその傍らで寄り添うようにして息を引き取っていたそうです。猫は痩せ細って餓死していたようだった」(動物保護愛好家の成田司氏)

 高齢化しているのは人間ばかりではないことも不安の種だ。ペットフードの栄養面での進歩や医療環境の改善などにより、ペットの寿命は延び続けている。

 9月14日に発表された東京農工大と日本小動物獣医師会の大規模調査によれば、2014年時点での飼い犬の平均寿命は13.2歳、飼い猫も11.9歳と過去最高齢に達した。

 2012年の動物愛護管理法改正により、「飼養する動物がその命を終えるまで飼養すること」が飼い主の責務に加えられた。60歳以降でペットを飼い始める場合、この条項は無視できない。

 病気などの理由で飼育を続けることが困難になる場合もある。東京都動物愛護相談センターが2013年度に、同センターに引き取りを求めた犬や猫について「飼育できない理由」を尋ねたところ、飼い主の「死亡」と「高齢」がそれぞれ8%。さらに「病気」(31%)にも高齢者がかなりの比率で含まれることを考えると「最期まで飼い切れない」ケースは非常に多いと考えられているのだ。

※週刊ポスト2016年10月7日号