「業績急降下」特効薬は気づきの仕かけにあり−【1】ファミリーマート社長
■業界3位とは三流ということだ!
「ここに来て業績が回復し、社員の表情が見違えるように明るくなってきました。行動も自発的になり、生き生きとしている。その元気さが加盟店にも伝播して、今期の増収増益につながっているんですよ」
ファミリーマート社長の上田準二は、顔をほころばせながら、うれしそうに語りだした。同社の筆頭株主である伊藤忠商事から顧問という立場で送り込まれたのは2000年のことだ。おりしもコンビニ業界は、国内市場の成熟化とやむことのない出店ラッシュのなかで“大競争時代”に突入しようとしていた。
しかし、肝心のファミリーマートは、1998年度から既存店売上高が前年割れに陥ってしまう。そのまま手を拱こまぬいていれば、業界トップのセブン−イレブンやローソンとの差は広がるばかりだったに違いない。
業界3位といえば、確かにイメージはいい。が、上田は「それは三流ということだ!」と社員たちを叱咤した。上田から見れば、彼らは湯の温度がどんどん上がっているのに気づかないカエルだ。すぐにでも叩き起こしてやらなければ、ゆで上がってしまう。
「社内には倦怠感が漂っていました。せっかく時間とコストをかけて策定したとても立派な戦略・戦術はあるのに、社員に『戦闘力』が伴っていない。だから、経営計画も未達に終わり、いつまでも同じような目標を掲げることになってしまっていた。セブン−イレブンは『休まないウサギ』のようにどんどん先を突っ走るなか、これではまずいと変革を決意しました」
02年、改革断行のために社長就任を受けた上田が始めたのが「社長塾」にほかならない。全国を21に分けたディストリクト(地域ごとの管理部署)を対象に、みずからが現地に足を運んだ。その回数は、これまでに100回を超える。
朝一番の飛行機か新幹線で目的のエリアに向かう。上田は着くとまず、地域の加盟店を精力的に回る。売り場を覗き、成功例なら、そのポイントを確認し、その後の運営に生かす。また、沈滞した店の棚の様子もすばやく頭に入れるのだという。
昼食はディストリクトの管理職数人とテーブルを囲み、午後1時から5時半まで、幹部抜きの社長と社員によるダイレクトミーティングに突入していく。参加者は20人ほど。実は、この会合が「社長の顔が見えない」といわれていたファミリーマートの欠点を克服する仕かけになった。
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