PRESIDENT 2015年11月16日号 掲載

普段は抜け目ない人でも、異性に対してはつい気を許してしまうもの。男女関係を利用してだまし、だまされる場面を日々目撃している探偵が語る人間模様。

探偵歴40年余の経験から言うと、だまされやすい人には共通した傾向がある。人がよくて、他人を疑わず、頼まれたら嫌とはいえない。こういうタイプが多い。

たとえば、新聞の勧誘を断りきれない、上司から無茶な仕事を振られても受けてしまう、といったことに思い当たるフシがあるなら気をつけたほうがいい。

ただし、自分は違うと思っても安心するのは早い。人をだまそうと近づいてくる輩はちょっとした心のスキを見逃さず、言葉巧みにつけこんでくるからである。

一流企業に勤める男性が、バーで知り合ったハーフの女に2000万円を貢がされたという一件がある。その女は「自分はスペイン王室の血筋を引く」などとでまかせを言い、自国に戻ればいくらでもお金はあるが、国の情勢がよくない今は引き出せないから貸してほしいと持ちかけた。「スパイ組織があなたを狙っている」と恐怖心を煽ることもあったという。

男性を信じ込ませるために、あの手この手が駆使された。付き合い始めた頃に「自分が代金を払ったから旅行に行こう」と誘われたこともあったそうだ。しかし、旅行の代金を払ったというのは大ウソ。予約もしていないのに、急用ができて行けなくなったとごまかして、お金があるように見せかけたのである。

恋は盲目というが、スペイン王室だのスパイだの、いかにもうさん臭いと誰もが思うはずだ。なぜ、だまされたのか。男性は40歳を過ぎても独り身で、そろそろ身を固めたいと焦っていたのだ。恋愛経験も乏しかったようで、女と2年間も付き合いながら、手を握ったことさえなかったそうだ。

当然、この逆のパターンも起こりうる。女性は周りの友達が次々と結婚していくと、途端に焦りを感じるようだ。親からのプレッシャーもあるだろう。

そんな女性が駆け込む結婚相談所は、ある意味、カモを狙う男が集まる場所だ。ここでターゲットを見つけて、結婚をチラつかせながら肉体関係を持ち、本人や親の財産を狙う手口は少なくない。探偵の仕事に多いのは結婚相手の素行調査だが、調べてみると2股、3股はよくある話だ。最悪だったのは、結婚式の当日に、花婿になるはずの相手が姿をくらませたというケースだ。新郎側の列席者は誰もいなかった。