30人に1人が体外受精で生まれると言われている今、不妊治療を受ける人も増えています。一般的に、「不妊」とは、妊娠を望む健康な男女が避妊をしないで性交をしているにもかかわらず1年以上妊娠しないことをいいますが、1年がたたなくても「自分は妊娠できるのか」と心配になる女性は少なくなさそう。では、不安を感じたらどのタイミングで病院にいけばいいのでしょう? 産婦人科医の疋田裕美先生に聞きました。

「20代ならしばらく様子を見てもいいですが、30代後半以降のカップルなら、妊娠を希望したらすぐに病院に行くことをおすすめします。年齢が上がれば上がるほど妊娠できる確率は低くなり、うかうかしているとあっという間に時間がたってしまいますので」

年齢を問わず、今まで婦人科にかかったことがない人なら、基礎体温を3周期ほどつけてから1度受診して、子宮や卵巣に異常がないか診てもらうといいそう。

「また、男女ともに特に健康上の問題が無い場合でも、排卵に合わせて月1回の性交渉では確率は低いです。そもそも通常の性交渉というのは週2〜3回を意味しています。しかし、日本人の場合はもともと頻度が少ない人も多いので、病院で改めて性交渉のタイミングについて指導することが多いです」

“タイミング”といっても排卵日に1回ではないそう。基礎体温をつけて排卵日を把握し、排卵日周辺に1日おきに性交渉を行うよう指導されるのが一般的だとか。排卵日前にも行うようにすすめられるのは、精子より卵子の寿命が短いため。排卵前に精子が子宮の中で待っているようにしたほうが妊娠しやすいそうです。

それでも妊娠しない場合は、は「排卵誘発剤」を使って排卵を促すことから始め、精子を子宮内に入れる「人工授精」、そして体外で受精させて受精卵を子宮内に戻す「体外受精」の順で治療が進んでいきます。

しかし、人工授精や体外受精は保険が適用されず、ステップアップすればするほど1回にかかる金額が増加。特に体外受精は病院により差がありますが、1回の治療に30万円ほどかかることも。自治体で助成金が出ることもありますが、年齢制限がある自治体もあるので、不妊治療を早く始めるに越したことはないのです。

30歳前後になると責任ある仕事を任されて、「治療と仕事を両立できるか」と受診をためらう女性もいるかもしれませんが、「人工授精をする場合や体外受精をするために採卵する場合、『明日、また来てね』と医師から急に言われることもあり、働きながらの不妊治療は、やはり難しい面もあります。しかし、子どもができたらできたで、それ以上に仕事の調整は必要になるものなので、思い立ったら早めに治療を始めましょう」と疋田先生。

不妊治療では頻繁に病院に通うことになるため、できるだけ自宅と職場から通いやすい病院を選ぶのがよいでしょう。また男性の状況を把握できたほうが治療しやすいので、早い段階から男女一緒に病院へ行って検査してもらうことも大切だそうです。

(相馬由子)

(R25編集部)

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