にぎり寿司や天ぷら、そばなど、私達が今も愛する料理の多くが江戸時代に考案されています。江戸時代にはたくさんの料理本も出版されており、豆腐料理を集めた「豆腐百珍」などが知られています。町民も当時の食ガイドブック的な書物を参考に、食べ歩きをしていたとか。そんな江戸時代に庶民に親しまれていた江戸レシピをご紹介します。

現在では高価なマグロですが、脂肪分の多いトロは江戸時代には魚が大好物の猫でさえ、またいで通るとして「猫またぎ」という蔑称で呼ばれていました。安価な鰯などと同様に下魚(げぎょ)として取引され、畑の肥料になっていたそう。当時は鯛、ヒラメなどの白身魚や初鰹などが人気もあり、ありがたがられていたようです。トロは一膳飯屋のまかないなどで登場して徐々にそのおいしさが知られるようになったのですが、ネギマ鍋も安いトロを工夫して食べやすいように考えたのが始まりだとか。

【「醤油」の利用が広まる】

三代将軍家光の在位中の1645年ごろ、播磨赤穂藩で塩田の開発が始まったことを受け、下総銚子で浜口儀兵衛が醤油の醸造を始めました(現・ヤマサ醤油の創業)。それまでは今ではなかなか想像しにくいのですが、醤油は使わない味付けが和食の主流だったのです。醤油が普及する前の調味料が、梅干しと鰹節を日本酒で煮詰めて作る「煎り酒」でした。

また、江戸前のにぎり寿司は1820年頃、江戸時代後半にやっと登場します。卵は貴重な動物性タンパク質として、庶民憧れの食材。「卵ふわふわ」という茶碗蒸しのようなお料理も、高級旅館で供されていた一品でした。豆腐は調理法も豊富で、あんかけ豆腐をのせた丼ものも人気でしたし、納豆と並んでお味噌汁の具としても重要な食材だったようです。今回はネギマ鍋、卵ふわふわ、氷豆腐など、江戸時代をしのぶお料理をご紹介。煎り酒の古風な滋味もぜひ味わってみて下さい。