2016年9月15日、中国は中秋節を迎えた。中秋節というのは、日本で言うところのお月見のこと。この日には、家族や友人が集まり、ともに過ごすという習慣がある。この習慣はアジア各地に伝わるが、これに先立って上海市内ではさまざまなイベントが行われた。伝統文化を味わいながら家族とともに過ごす時間を子どもたちに提供しようという目的のもと開催されたのが「アジア伝統文化交流会月光」だ。

6月にもプレイベントが行われたが、満を持しての本番。200人以上の国籍を異にする観客が、会場を埋めた。出演者も国内外有数の演奏家、舞踏家、そして武術家。上海市内のインターナショナルスクールに勤務し、今回の実行委員長を務めた小坂剛氏は、「きな臭い事件が起きる世界で、子どもたちに漢字文化圏が共有する文化と、家族との時間を享受してもらいたい。この思いに、協賛者・出演者・ボランティア・観客の皆様が応えてくれた」と語る。

ボランティアは、小坂氏の以前の教え子や現在勤務する学校の生徒たち。そして、上海市内在住の日本人や中国人だ。学生ボランティアのなかにはわざわざこのイベントのために日本から帰ってきた学生もいる。また、今回の収益は、孤児院に送られるという。

王建人氏をリーダーとする冠生園民族楽団の演奏の後、在上海日本領事館の岩元領事の挨拶が続き、和太鼓集団和響の豪壮な演奏、そして国内外に生徒を持つヨランダ氏が少数民族の舞を見せた。さらに、徐新華氏の二胡が終わると、残念ながら当日会場には来ることができなかった能楽師川口晃平氏の「石橋」がビデオ放映された。ベリーダンサーで四国を舞台に町おこしにも貢献する紫帆氏が華麗な舞を見せ、陳氏太極拳養芯会の塚本博信氏が和太鼓と太極拳のコラボレーションを見せた。

ボリュームあふれる公演の入場者には、「月餅」が配布され、趣を添えた。中国では、中秋に月餅を送り合い、食べる習慣がある。東アジアに共通する文化である月見、次代を担う子どもたちが、このような習慣を大切にしてくれることを願う。(取材/TK)