2016年9月26日、中国重慶市で絵画の体験レッスンに遅刻した3歳の女児が放った言葉が、中国社会の闇を象徴している。

中国は日本以上の学歴社会であること、一人っ子政策が続いたことから、子どもに対する教育熱が非常に高い。親は金に糸目をつけず、子どもが小さいころから塾やさまざまな習い事をさせる。

重慶晨報によると、重慶市に住む鄭(ジョン)さんは24日、3歳の娘を絵画の体験レッスンに連れて行こうとしたが、道が渋滞していたため20分遅刻してしまったという。係りの人は、途中から入室するとほかの児童の集中力を切らしてしまうことや、授業時間がすでに半分過ぎてしまっていることから、今回はあきらめて別の授業を予約するよう勧めた。

鄭さんが係りの人に謝罪し、娘に説明しようとした次の瞬間、3歳の娘は「お姉さん、授業受けたい。お金なら持ってるよ!」と叫んだという。その子はなだめられて一度はその場を離れたものの、数分後に戻ってきて再び「授業を受けたいの。お金はあるのよ!」と言った。係りの人はそれでも入室を認めず、最後はあきらめた。

鄭さんは自分の娘の発言にとても驚いたそうだが、係りの人によると、ほぼ毎月、同じようなことを言う子どもがいるのだという。「自分はお金があると言ったり、パパやママがお金を持ってると言ったりする子どもはよくいる」と話す。まだ3歳の子どもが目的を達成できない時に「金」を持ち出すのは、やはり家庭教育の影響が大きいと言える。

重慶市の青少年問題に詳しい張鏡倍(ジャン・ジンベイ)氏は、「子どもの行動から、その家庭の価値観を見ることができる。親は知らないうちに、子どもに『お金があれば何でもできる』という価値観を伝えてしまっている。親は子どもに対して、『お金はいろいろな場面で使えるが、万能ではない』こと、そして『時間を守ることは基本中の基本で、他のものでは置き換えられない』ということを教えなければならない」としている。

「子は親を映す鏡」とよく言われる。経済の急成長を背景に「成金」が増えた中国では、実際に物事を金で解決してしまうケースが多い。そんな親や大人を見ていれば、子どもがそう思ってしまうのも無理はないだろう。塾や習い事で子どもに技術を身に付けさせるのも良いが、お金を持てばこそ人格や心を豊かにする教育も求められる。(翻訳・編集/北田)