2015年9月27日、日中の平和促進と経済発展を目指す政官財言論界有識者会議「東京・北京フォーラム」の政治外交分科会は「東アジアの紛争回避と平和秩序への道筋」をテーマに協議。冷戦後の世界でミリタリーバランス(軍事均衡)が崩れ、世界秩序が大きく揺らいでいると指摘された。

民進党の藤田幸久衆院議員(元防衛副大臣)は、外交の世界には「隣の国の信頼と感謝を勝ち取ること」という鉄則があると指摘。「サンフランシスコ条約に調印しなかった近隣の中国、ロシア、韓国、北朝鮮ともめごとが存在する。バイブル、コーラン、仏典などが介在する宗教紛争と言われる分野でも、政治家が絡み、ポピュリズム、ナショナリズムに訴える。各国は一緒に協力して解決しなければならない」と訴えた。

その上で、「中国は世界の秩序とは違う道を歩み始めている。中国や北朝鮮の脅威が安保法制とか憲法改正とか、安部政権がやろうとしている政策を後押ししている」と述べ、中国などの「脅威」がナショナリズムを煽り、安部政権の人気を支えているとの見方を示した。

趙啓正・中国人民大学ジャーナリズム学院院長(元全国政治協商会議外事委員会主任)は「世界では地政学的な変化が大きい」としながらも、「中国は米国に替る覇権を狙っているという見方があるが誤解だ。覇権を握ろうなどか考えていない」と強調。「中国は内向きの国であり、歴史上も外に出かけて植民地支配などせず、あくまで自国を守ることに徹してきた。近年経済が拡大する中で応分の軍事増強をしているだけだ」と説明した。

中谷元・前防衛相は「ミリタリーバランス(軍事均衡)の変化は世界秩序の変更をもたらす」と指摘。具体的な事例として、「米国が世界より国内に目を向け、英国もEU離脱を選択した。IS(イスラム国)やアルカイダなどによる混乱も続いている。ロシアは東西で軍事を増強、ウクライナに侵攻した」などの事例を列挙。「中国の軍事費はこの28年間に44倍増となった」と指摘した。

黄仁偉・上海社会科学院副院長は「APEC(アジア太平洋経済会議)などには米国が加入し、アジア諸国だけの秩序づくりはうまくいかなかった」と指摘。日本は米国に制限を受けているとし、鳩山由紀夫政権の時に打ち出された「東アジア共同体」構想も実現しなかったと振り返った。

藤崎一郎・上智大国際関係研究所代表(前駐米大使)は、「1992年のソ連崩壊後、資本主義が格差を生み、リーマンショックに遭遇した。2011年のアラブの春の挫折から中東の混乱から難民急増につながった」と解説。さらに「東日本大震災の際の原発事故もあり、『大調整』の時代に入った」との認識を示した。(八牧浩行)